翻訳ラジオ

若手の IT 翻訳者が書いています。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

文中の possible の意味を見分けて適切に訳す (possible follow-up questions とか)

このブログを書いていて、少し整理される部分、少し自分の翻訳がうまくなったなという部分(翻訳のレビュー中に修正のアイディアが系統的に出てきやすくなったなという部分)があり、よかったなと思っています。 ちょっと思ってたことを吐き出せて、しかもtw…

投手の「コマンド」と「コントロール」がIT翻訳者に求められるそれぞれの場面

日本では「あのピッチャーはコントロールがよい」と大まかな物言いをすることが多いですが、メジャーリーグなどでは「コマンド」と「コントロール」を次のように区別することが多いようです。 コマンド=狙ったところに投げる能力 コントロール=ストライクを…

「replicate」を「複製」でなく「再現」と訳すとうまくいくことがある

タイトルで完結する記事ですね。 辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしば…

「Allow the file time to upload.」は文型を意識しないと誤訳する

「ファイル時間」と訳してもうまくいかないから「file time」をMSランゲージポータルで検索して、「ファイル時刻」が定訳かあ、などと進むと失敗するパターンです、今回は。 単独ではちょっと難しくても、次の文脈を見るとなんとなく意味が分かる方も多いか…

「A More link is provided」 は IT 英語では文法ミスではない

単数・複数の観点から、「A」を削除して修正した「More links are provided」が正しいはずと思われるかもしれませんが、IT翻訳が対象とする分野では「A More link is ~」という形は適切な英文です。 The suggestion box displays a maximum of 25 results. I…

「If you fail to ~」を「失敗」という単語で訳すと不自然になりやすい

IT翻訳・ローカライゼーションの場では、用語集が提供されるせいで「1語1訳」という意識が知らず知らずのうちに生まれてしまうのかもしれません。 けれども「fail」=「失敗」というように条件反射的に訳すと、不自然な日本語を量産してしまう結果になりが…

建築のように材料費に人件費をまぶせないから見積もりがシビアな翻訳業界

サイボウズ式の記事を集中して読んでいた時期に、発想にすごく衝撃を受けたのが、「納品をしない受託開発」、「月額定額のシステム開発」を行っているソニックガーデン社長の倉貫義人氏のインタビュー記事でした。 自分は建築業界について知識ゼロなのでその…

「開始 > 実行の順にクリックして、cmd と入力し」という悲しいミス

「[開始]>[実行]をクリックします」という訳文、どこに修正点があるかピンと来ますか? 所要時間20秒ほどのアンケートを作成しましたので、よろしければ回答を行ってからこの先にお進みください。 2018年のはてなブログでどういう結果が出るのか…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:「must」の誤訳も意外と多いです

助動詞の「must」といえば、中学校でも習う基本単語ですが、実務翻訳・IT翻訳の現場では思わぬ誤訳をされてしまうこともしばしばです。 The validation error must be caused by a bug or a hacking attempt. node.js - Handling Mongoose validation errors…

QA は翻訳品質を改善しない:体重計で体重を量るのと同じ

「他業種に学ぶ」カテゴリーの「翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?」という記事では、ソフトウェア開発の現場の話を通して翻訳の現場を客観的に眺められないかということを試してみました。 どうやら、QAというフェーズに、…

まだ発生していない「consequence」の訳語は「結果」より「影響」の方がうまくいきやすい

「consequence(s)」の訳語としては「結果」がファーストチョイスになってしまいがちですが、IT翻訳の現場では、重大な影響を伴う操作について、次のように「consequence(s)」を事前に想定した上で判断してくださいという例文がしばしば見られます。 Consider…

「~担当者」の英訳は「~ + er」で結構いける説:承認担当者は Approver とかね

「担当者」という日本語の英訳を求めて Web を検索する人は結構多いようです。 検索ですぐに見つかるページには「person in charge」や「personell」、「staff」、「representative」、「contact」、「owner」などの訳語が見つかるかと思います。 もしくは手…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:Evergreen (旧 Forest) の序章で品詞を極める

「英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編」で予告していた英文法編です。 そして、じゃじゃーん、『総合英語フォレスト Forest』とその後継とされる『総合英語エバーグリーン Evergreen』を購入しました。 しかし、わざわざ古本で Forest を…