タイトルで完結する記事ですね。
辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしばある気がします。
トラブルシューティングなどで、エラーが発生した手順を「再現する」という意味での「replicate (=reproduce)」などはさすがに訳し間違えないかと思うのですが、次の例などはいかがでしょうか?
This paper presents an elite system well known as Expert Systems, which tries to replicate the behavior of a ‛Human Expert’.
Ontology based expert systems – replication of human learning | SpringerLink
砕けた文章なら「その道のプロの行動を真似する」などがありえると思うのですが、IT翻訳で「真似する」を使用すると、他の地の文から浮いてしまうという問題があるかなと思います。
(普段のフィードバックでは、「企業向けの文章としてのトーンに合わない」といったかたちで指摘することが多いですが、実際には「IT翻訳を普通にやった時の他の文から浮いてしまう」という方が正確かなと今気づきました)
「模倣する」も、好みかもしれませんがちょっと合わないかなあと。
そういうとき、「各分野のエキスパートの行動を再現する~」などと訳すと、意外とうまくいくかなあという印象です。
アルゴリズムとか、機械学習、機械推論などの技術を活用している分野で、これから使う頻度が増えていくかもしれない訳語ですね。