翻訳ラジオ
若手の IT 翻訳者が書いています。
2018-12-02T20:41:48+09:00
TransRadio
Hatena::Blog
hatenablog://blog/8599973812334190130
用語集の名前の付け方も大切だなと感じた (Pay Attention リストとか)
hatenablog://entry/17391345971623086216
2018-03-08T00:29:24+09:00
2018-03-08T00:29:24+09:00 用語集とひとくくりに言うけれど、用語集を参照して行ってほしい対応や、用語集に掲載した意図はさまざまである。 用語集に掲載されている用語を必ず適用してほしい場合(固有名詞など) ほとんどのケース(80%~90%)で適用できる訳語を掲載している場合 ごく比較的少数のケースでしか使用しないけれど、注意喚起のために掲載している場合(browse は Web で行うときは「閲覧」だけど、ファイルを指定するときは「参照」など) このように、さまざまな出自の「用語」が掲載されていても、翻訳者が「用語集」という言葉から想像するのは圧倒的に「1対1対応」の訳語を必ず適用しなければならない、というイメージのようだ…
<p>用語集とひとくくりに言うけれど、用語集を参照して行ってほしい対応や、用語集に掲載した意図はさまざまである。</p>
<p> </p>
<p>用語集に掲載されている用語を必ず適用してほしい場合(固有名詞など)</p>
<p>ほとんどのケース(80%~90%)で適用できる訳語を掲載している場合</p>
<p>ごく比較的少数のケースでしか使用しないけれど、注意喚起のために掲載している場合(browse は Web で行うときは「閲覧」だけど、ファイルを指定するときは「参照」など)</p>
<p> </p>
<p>このように、さまざまな出自の「用語」が掲載されていても、翻訳者が「用語集」という言葉から想像するのは圧倒的に「1対1対応」の訳語を必ず適用しなければならない、というイメージのようだ。</p>
<p>そこにギャップがある。</p>
<p> </p>
<p>そういう場合、1対1対応でなく、むしろ「訳し分け」推奨のような用語は、Pay Attention リストのように名前も変えて、分けて配布する方がよいのかなあとふと思った。</p>
<p>用語集のファイルが分かれること自体は、Xbenchなどで十分に対応できるし。</p>
<p>1つの用語集ファイルの中でカテゴリを分ける方がメンテナンスなどは楽かもしれないけど、複数の用語集ファイルなら、Xbenchでの優先度の設定やKeytermとしての設定の有無も分けて設定できるし。</p>
<p> </p>
<p>それと、Xbenchのツールチェックとかで、翻訳語のチェックに有用な用語集と、翻訳中に検索して有用な用語集がちょっと異なる、というのも常々感じる。</p>
TransRadio
たとえば「rooted and jailbroken」をどう訳すかで計る翻訳者の資質
hatenablog://entry/17391345971621286125
2018-03-02T21:50:07+09:00
2018-03-02T21:50:07+09:00 アメリアの入会金0円のキャンペーン、こんなに頻度多かったですっけ? 3月末まで、入会金の5000円が免除です。 一部コンテンツが会員以外にも公開されていて、たとえば、アメリア会員が応募できる全求人一覧(291件)も閲覧できるようです:【アメリア】JOB全件表示 今日の話題は同じく公開されていたアメリアのブログ記事からです。 では、その翻訳力を構成するものはどんなスキルなのか? よく言われるのは、以下の3要素です。 原文読解力 表現力(和訳であれば日本語力 調査スキル アメリア事務局公式ブログ 翻訳の仕事と資格 この3つ、自分も新人の頃にレビュアー・PMの上司から伝えられました。 それでIT翻訳…
<p>アメリアの入会金0円のキャンペーン、こんなに頻度多かったですっけ?</p>
<p>3月末まで、入会金の5000円が免除です。</p>
<p><a href="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2Z8G4N+F8XOJ6+8FM+67JU9" target="_blank" rel="nofollow"> <img src="https://www24.a8.net/svt/bgt?aid=180113063922&wid=001&eno=01&mid=s00000001093001043000&mc=1" alt="" width="336" height="280" border="0" /></a> <img src="https://www12.a8.net/0.gif?a8mat=2Z8G4N+F8XOJ6+8FM+67JU9" alt="" width="1" height="1" border="0" /></p>
<p> </p>
<p>一部コンテンツが会員以外にも公開されていて、たとえば、アメリア会員が応募できる全求人一覧(291件)も閲覧できるようです:<a href="https://www.amelia.ne.jp/userTopJobList.do">【アメリア】JOB全件表示</a></p>
<p> </p>
<p>今日の話題は同じく公開されていたアメリアのブログ記事からです。</p>
<blockquote cite="https://amelianetwork.blog.fc2.com/blog-entry-1443.html">
<p>では、その翻訳力を構成するものはどんなスキルなのか?</p>
<p>よく言われるのは、以下の3要素です。</p>
<p><strong>原文読解力</strong></p>
<p><strong>表現力</strong>(和訳であれば日本語力</p>
<p><strong> 調査スキル</strong></p>
<cite><a href="https://amelianetwork.blog.fc2.com/blog-entry-1443.html" target="_blank">アメリア事務局公式ブログ 翻訳の仕事と資格</a></cite></blockquote>
<p>この3つ、自分も新人の頃にレビュアー・PMの上司から伝えられました。</p>
<p>それでIT翻訳(に限らずかもしれませんが)だと、「調査スキル」として、「深堀りする能力」だけでなく、プロジェクト全体(または改定箇所)を翻訳しながら、「全体像を図示できるようなかたちで手早く把握する能力」も必要だなあと感じました。</p>
<p>たとえば、AndroidとiOSのモバイル製品を対象にしたある製品の機能について翻訳していたときに「jailbroken」や「rooted」という単語が頻出で、少しずつ理解を深めながら、終わり近くに次のような文章に出会ったとします。</p>
<blockquote cite="http://www.certero.com/enterprise-needs-jailbreak-detection/">
<p>(XXX) solution has the ability to detect <strong>rooted and jailbroken devices</strong></p>
<cite><a href="http://www.certero.com/enterprise-needs-jailbreak-detection/" target="_blank">Why your Enterprise Needs Jailbreak Detection | EMM | MDM - Certero</a></cite></blockquote>
<p>rootedは「ルート化」、jailbrokenは「脱獄」でしょと、ここまでこまめに調べ物をしながら訳してきたあなたはすらすらと訳語を確定します。</p>
<p>しかし、これを「XXX ソリューションは、<strong>ルート化して脱獄した</strong>デバイスを検出できます。」と訳したら台無しです。 </p>
<p>「ルート化」とは何か、「脱獄」とは何か、という深堀りはそこまで必要ありません。</p>
<p>単純に、「ルート化」という単語はAndroidについて、「脱獄」はという単語はiOSについてそれぞれ使用されているな程度の「見取り図」がここまでにできていればこの誤訳は防げるはずです。</p>
<p>この見取り図さえできていれば、「ルート化」と「脱獄」が同じデバイスでは生じないだろうという理解に沿って「ルート化したデバイスと脱獄したデバイス」とか、いっそ「and」を「or」に寄せて訳して「ルート化または脱獄を行ったデバイス」などと訳せたのではないかなあと。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="「開始 > 実行の順にクリックして、cmd と入力し」という悲しいミス - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F02%2F06%2Fstart-run-mistranslation" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/02/06/start-run-mistranslation">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>こちらの記事でも書きましたが、IT翻訳では製品知識が必要だと言われるにせよ、最初に「差が付く」ラインは大分手前、このあたりなのではないかなあと。</p>
<p> </p>
<p>余談:</p>
<p>ちなみに文頭を「Our solution ~」にしてGoogle翻訳とMicrosoft Translatorにもかけましたがひどいですね(2018年3月2日)。</p>
<p>ニューラルになってからこんなにひどいの久しぶりに見たな。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180302211352p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180302/20180302211352.png" alt="f:id:TransRadio:20180302211352p:plain" /></p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180302211331p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180302/20180302211331.png" alt="f:id:TransRadio:20180302211331p:plain" /></p>
TransRadio
文中の possible の意味を見分けて適切に訳す (possible follow-up questions とか)
hatenablog://entry/17391345971620028042
2018-02-27T00:53:48+09:00
2018-02-27T00:53:48+09:00 このブログを書いていて、少し整理される部分、少し自分の翻訳がうまくなったなという部分(翻訳のレビュー中に修正のアイディアが系統的に出てきやすくなったなという部分)があり、よかったなと思っています。 ちょっと思ってたことを吐き出せて、しかもtwitterなどで共感的なリプライを頂けたことは非常に嬉しかったのですが、「少し吐き出せたな」より、「少し整理できた」や「少し自分の翻訳・レビューの質が上がった」の方が継続していけそうなので、そういう記事を増やしていこうかなと思います。 大きなものを「速く」作る 大きなものをちゃんとタスク管理して作っていく、ということをやっていたのですが、タスク管理するにし…
<p>このブログを書いていて、少し整理される部分、少し自分の翻訳がうまくなったなという部分(翻訳のレビュー中に修正のアイディアが系統的に出てきやすくなったなという部分)があり、よかったなと思っています。</p>
<p>ちょっと思ってたことを吐き出せて、しかもtwitterなどで共感的なリプライを頂けたことは非常に嬉しかったのですが、「少し吐き出せたな」より、「少し整理できた」や「少し自分の翻訳・レビューの質が上がった」の方が継続していけそうなので、そういう記事を増やしていこうかなと思います。</p>
<p> </p>
<blockquote cite="https://medium.com/@timakin/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%92%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%9B%B8%E3%81%8D%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%EF%BC%92%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%9F-871e70903a1f">
<p><strong>大きなものを「速く」作る</strong></p>
<p>大きなものをちゃんとタスク管理して作っていく、ということをやっていたのですが、タスク管理するにしても期限を現場レベルで管理する必要があるな、と感じました。</p>
<p>そう感じたかきっかけですが、自分が無駄にアーキテクチャを複雑に追求してしまったり、リファクタリングに時間をかけていくことで、自己満足な実装時間を取ってしまっていると自責の念を抱くことが多くなった、というのがあります。</p>
<p>これは本当に無駄なことです。</p>
<p>プライベート開発において、コードを書くモチベーションが削れるのが一番天敵ですが、この自責の念はかなり重くのしかかります。</p>
<p>その自己満足な時間を取らないように、スケジュールを厳格に区切ってみようと思い立ちました。</p>
<p>また、タスクの洗い出し粒度は大体エンドポイント単位にしており、もし複雑な実装ならその子要素として要所要所をタスクとして切っておきます。</p>
<cite><a href="https://medium.com/@timakin/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%92%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%9B%B8%E3%81%8D%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%EF%BC%92%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%9F-871e70903a1f" target="_blank">プライベートでコードを毎日書き続けて2年以上が過ぎた – timakin – Medium</a></cite></blockquote>
<p>「大きなものを早く作る」ってなんだか力強い言葉ですよね。</p>
<p>ローカライズでも、「アサインまでが8割」みたいなプロジェクトコーディネーションとは別に、中流・下流の工程で出てきたアイディアや懸念をうまく吸い上げながら、なおかつ「大きなものを早く作る」に合致するような、そういうチームを作っていけたり、経験・ナレッジを蓄積させていけたらなあということをちょっと考えました。</p>
<p>リンギストドリブン、でなおかつ「大きなものを早く作る」は、魅力的なテーマだな。</p>
<p> </p>
<p>話が逸れましたね。</p>
<p>同じ引用元なのですが、こっちの方が直接関係します↓</p>
<blockquote cite="https://medium.com/@timakin/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%92%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%9B%B8%E3%81%8D%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%EF%BC%92%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%9F-871e70903a1f">
<p>そもそも登壇しやすいように、ただのREST APIだけではなく、ジョブキューとか検索、Push、認証などの機構の実装に手を出していくことで、<strong>外部発信をでき、かつ他の人があまりオープンにしないネタを、プライベート開発だからこそオープンに晒していく、というテクニック</strong>を取っています。<strong>企業の中で開発してると、そういうセキュアな分野はあまりオープンにできない</strong>ので、あえてそこを攻めると発信しやすいです。</p>
<p>(*太字は引用者による)</p>
<cite><a href="https://medium.com/@timakin/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%92%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%9B%B8%E3%81%8D%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%EF%BC%92%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%9F-871e70903a1f" target="_blank">プライベートでコードを毎日書き続けて2年以上が過ぎた – timakin – Medium</a></cite></blockquote>
<p>日々の業務の中で拾ったことで記事を書いていくのが一番効率がいいのですが、翻訳対象の文章を直接ネタにはできないというのが、毎回のネックなんですよね。</p>
<p>類似の文はさくっと見つかるときもあれば、結構手間がかかるときもあり。</p>
<p>プライベート翻訳、いいかもしれないです。</p>
<p>Wordpressのプラグインの翻訳(POeditというツールを使う)に少し興味を持ってます。</p>
<p> </p>
<p>さて、possible の例文:</p>
<blockquote cite="http://unchartedparent.com/2010/02/the-dangers-of-a-pre-paleontologist/">
<p>I waited for possible follow-up questions, but there were none. </p>
<cite><a href="http://unchartedparent.com/2010/02/the-dangers-of-a-pre-paleontologist/" target="_blank">The Dangers of a Pre-Paleontologist | UnchartedParent.com</a></cite></blockquote>
<p> 元の例文だとさらに紛らわしかったのですが、いかがでしょうか?</p>
<p>Google翻訳(2018年2月27日)は、今回はちょっといけてないですね。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180227000858p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180227/20180227000858.png" alt="f:id:TransRadio:20180227000858p:plain" /></p>
<p>Microsoft Translation も同様。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180227000922p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180227/20180227000922.png" alt="f:id:TransRadio:20180227000922p:plain" /></p>
<p> </p>
<p>問題は「可能な」という訳語ですよね。</p>
<p>「可能な」と書くと、やはり「誰かにとって可能な」という含意が出て、「選択しさえすれば実行できる」という意味が出てしまいますよね。</p>
<blockquote cite="https://ejje.weblio.jp/content/possible">
<p><strong>3a〈もの・事が〉ありそうな,起こりうる. </strong></p>
<p>a possible war 起こるかもしれない戦争.</p>
<p>Frost is possible even in May. 5月でも霜が降りることがある.</p>
<p><strong>b[it の仮主語の構文で] 〈…は〉ありそうで,起こりえて.</strong></p>
<p>It is possible to drown in a few inches of water. 数インチぐらいの深さの水の中でもおぼれることはありうる.</p>
<p>It is possible that she will be late. 彼女は遅れるかもしれない.</p>
<p> </p>
<cite><a href="https://ejje.weblio.jp/content/possible" target="_blank">possibleの意味・使い方 - 英和辞典 Weblio辞書</a></cite></blockquote>
<p>この文での possible の意味合いとしては、「起こる可能性のある(起こらない可能性もある)」という意味合いだと「見分ける」までが第一段階。</p>
<p>ただ、その上で、この「起こる可能性のある」って日本語としてしっくり来にくいんですよね。</p>
<p>「私は、生じる可能性のある質問を待ったが~」なんて訳しても、むむむ、って感じですし。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="『英文翻訳術』を読み返す(3)動詞が隠れた名詞と、翻訳を開いたり凝縮する感覚 - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F15%2Fnoun-verb-conversion" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/15/noun-verb-conversion">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>ここは、「possible」を形容詞から副詞に転換する、もしくは「possible question」を文に開く、という方向で攻めるのがよいかなあという気がします。</p>
<p>「<strong>おそらく</strong>質問があるのではないかと待ったが、質問はなかった」ですとか、「wait」を「待つ」と訳すせいでぎこちないなら「質問があるかもしれないと思ったが、会話はそこで終わった」などですかね。</p>
<p>英日翻訳では、ともすれば「起こる可能性のある~」のような連体修飾語が増えてしまうので、形容詞の副詞への品詞転換などは利用価値が高いと思います。</p>
<p>ただ、ローカライズに限れば、全体の文を整える上では、なんでもかんでも開けばよいというものでもなく、ピンポイントで、解決したい問題を明確に意識した上で使っていくのがよいのかなあとは思います。</p>
<blockquote cite="https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/dry-monday-followed-by-possible-snow/vi-BBnY46I">
<p>Dry Monday followed by <strong>possible</strong> snow</p>
<cite><a href="https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/dry-monday-followed-by-possible-snow/vi-BBnY46I" target="_blank">Dry Monday followed by possible snow</a></cite></blockquote>
<p> これも同じタイプの possible ですね。</p>
<p>「月曜日は乾燥したお天気になりそうですが、その後一転して雪が降るおそれもあります」とまで噛み砕けそうですが、タイトルにするならもう少し引き締めた方がよいのか。</p>
TransRadio
投手の「コマンド」と「コントロール」がIT翻訳者に求められるそれぞれの場面
hatenablog://entry/17391345971618523681
2018-02-21T22:21:48+09:00
2018-02-21T22:21:48+09:00 日本では「あのピッチャーはコントロールがよい」と大まかな物言いをすることが多いですが、メジャーリーグなどでは「コマンド」と「コントロール」を次のように区別することが多いようです。 コマンド=狙ったところに投げる能力 コントロール=ストライクを投げる能力 コマンドとコントロール | コマンドは狙ったところにピンポイントで投げる能力、コントロールの方は「ストライクゾーン」と呼ばれる一定の「枠」の中に収める能力(=その枠の中では散らばっていてもよい)と言い換えられますね。 翻訳者も、「コマンド」に当たるピンポイント力と、「コントロール」に当たる大枠力と、区別した方が解像度が上がるよなあというのが常日…
<p>日本では「あのピッチャーはコントロールがよい」と大まかな物言いをすることが多いですが、メジャーリーグなどでは「コマンド」と「コントロール」を次のように区別することが多いようです。</p>
<blockquote cite="http://mlblab.com/blog/archives/157">
<p>コマンド=狙ったところに投げる能力</p>
<p>コントロール=ストライクを投げる能力</p>
<cite><a href="http://mlblab.com/blog/archives/157" target="_blank">コマンドとコントロール |</a></cite></blockquote>
<p>コマンドは狙ったところにピンポイントで投げる能力、コントロールの方は「ストライクゾーン」と呼ばれる一定の「枠」の中に収める能力(=その枠の中では散らばっていてもよい)と言い換えられますね。</p>
<p>翻訳者も、「コマンド」に当たるピンポイント力と、「コントロール」に当たる大枠力と、区別した方が解像度が上がるよなあというのが常日頃考えていることです。</p>
<p> </p>
<p>例えば、納品物について、納品を受ける側が基本的に求めているのは「大枠力」の方なんですよね。</p>
<p>翻訳者は自分も含めて「ピンポイント」であることに気持ち良さを感じる人も多いかとは思いますが、それはそれとして、仕事は仕事なので、ビジネス的には「大枠」に投げ込んだ上で時間当たりのアウトプット(=生産性)を上げる方向で頑張っていくのが、いわゆる1つの right direction かなあという気がします。</p>
<p> </p>
<p>とはいえ、「大枠」に投げ込めばいいやっていう翻訳の仕方ばかりしてると、進歩がないどころか下手になるとは思いますけどね。</p>
<p> </p>
<p>別の場面では、翻訳をレビューした人(特にベンダー所属のレビュアー)からのフィードバックで「妙にピンポイントだなあ」と感じることがあったら、それはおそらく妙にピンポイントなだけだと思います。</p>
<p>たまにあるんですよね、クライアントとひと悶着あった表現・単語とか、「ここだけはきっちりせなあかんで」みたいな。</p>
<p>そういう「歴史あり」、「要マーク」の用語だけは、不自然なくらいに修正する、というのが、クライアントに直接納品する立場のベンダーでは発生しがちかもしれません。</p>
<p>そして、クライアントとのひと悶着みたいな情報までうまく情報共有できるプロジェクトはあまり多くないというのが現実かもしれません。</p>
<p>(そんな情報までフリーランスの方に流していては情報量過多になってしまって申し訳ない、というような気持からの場合も含めて)</p>
<p> </p>
<p>本当は、</p>
<p>「なんかこれ妙に細かいですけど、なんかありました?」、</p>
<p>「いえ、実はかくかくしかじか」</p>
<p>「OK、わかったー。今度から気を付けてみるね(ローラ風)」くらいに風通しがよい方が、いろいろみんなハッピーだとは思うんですけどね。</p>
<p> </p>
<p><strong>以下、余談 </strong></p>
<p>あと、ちょっと気になる話は、フリーランスの翻訳者は、作業ファイルの不備や、指示書に記載のない不明事項などが発生したときに、依頼者への報告義務があるのかという点です。</p>
<blockquote cite="https://qiita.com/kazukichi/items/c458aa9e763b9a3eb25b">
<p>準委任契約は、色々な責任がない分、「報告」が求められます。 なので、客から求められたら進捗を報告する義務があります。</p>
<p>(中略)</p>
<p>請負は報告義務はありません。</p>
<p>仕事の完成を提供して対価を得る契約なので、ぶっちゃけ「その間のこと」はどうでもいいんです。</p>
<p>自由です。</p>
<p>ちゃんと納期に開発を終わらせれば、現場に来る必要もなければ、進捗を報告する必要もありません。</p>
<p>よく請負契約なのに「お前会社員かよ」っていうくらい、毎日出社して朝会で進捗報告している奴がいますが、僕から言わせれば「アホ」です。(マネジメント側とかなら別ですが。)</p>
<p>そういうフリーランスは事業として絶対に発展(売り上げ拡大)できません。</p>
<cite><a href="https://qiita.com/kazukichi/items/c458aa9e763b9a3eb25b" target="_blank">「お前らのフリーランスになるメリットは間違っている」というお話 - Qiita</a></cite></blockquote>
<p>発注者としては報告して頂けた方が絶対にメリットだし、そのためには「報告した者が損をする」ことだけは絶対に避ける仕組み作りが必要ですよね。</p>
<p>その上で、そういう報告に関する仕組みをできるだけクリアに契約書に反映させられたらよいのになあ、と思うのですが。</p>
<p> </p>
<p>JTFの契約書のテンプレートを見ても、納期遅延の話だけなんだよなあ。</p>
<p> </p>
<blockquote cite="https://www.jtf.jp/jp/useful/report_bk/contract.html">
<p><納期遅延></p>
<p>第11条</p>
<p>乙の責めに帰すべき事由により、仕様書に明記する納期内に、当該翻訳業務が完了しない危険が生じた場合には、乙は速やかにその旨を甲に通知し、とるべき措置(業務の遂行方法など)については、甲、乙協議するものとする。</p>
<p>なお、当該協議により合意が得られない場合、乙に生じ得べき本契約上の責任が免除されるものではない。</p>
<cite><a href="https://www.jtf.jp/jp/useful/report_bk/contract.html" target="_blank">翻訳基本契約の雛形|JTF 日本翻訳連盟</a></cite></blockquote>
<p>発注者側が速やかに査収するとか、フリーランスの方による再外注の禁止とかはばっちり盛り込まれているのに。</p>
<p> </p>
<p>フリーランスの方からの納期遅延って、あんまり現場では見ないけど、それよりベンダーがハンドオフしたタスクが、タスクと呼べるほど整理されてなくて問題発生みたいなケースの方が頻出だという気が。。</p>
<p>CATツール使ってたり、間にファイルの変換や翻訳メモリの適用が挟まれてると、いろいろ起きますよね。</p>
TransRadio
「replicate」を「複製」でなく「再現」と訳すとうまくいくことがある
hatenablog://entry/17391345971616698340
2018-02-15T21:55:47+09:00
2018-02-15T21:55:47+09:00 タイトルで完結する記事ですね。 辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしばある気がします。 トラブルシューティングなどで、エラーが発生した手順を「再現する」という意味での「replicate (=reproduce)」などはさすがに訳し間違えないかと思うのですが、次の例などはいかがでしょうか? This paper presents an elite system well known as Expert Systems, wh…
<p>タイトルで完結する記事ですね。</p>
<p>辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしばある気がします。</p>
<p>トラブルシューティングなどで、エラーが発生した手順を「再現する」という意味での「replicate (=reproduce)」などはさすがに訳し間違えないかと思うのですが、次の例などはいかがでしょうか?</p>
<blockquote cite="https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-81-8489-989-4_7">
<p>This paper presents an elite system well known as Expert Systems, which tries to <strong>replicate</strong> the behavior of a ‛Human Expert’.</p>
<cite><a href="https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-81-8489-989-4_7"">Ontology based expert systems – replication of human learning | SpringerLink</a></cite></blockquote>
<p>砕けた文章なら「その道のプロの行動を真似する」などがありえると思うのですが、IT翻訳で「真似する」を使用すると、他の地の文から浮いてしまうという問題があるかなと思います。</p>
<p>(普段のフィードバックでは、「企業向けの文章としてのトーンに合わない」といったかたちで指摘することが多いですが、実際には「IT翻訳を普通にやった時の他の文から浮いてしまう」という方が正確かなと今気づきました)</p>
<p>「模倣する」も、好みかもしれませんがちょっと合わないかなあと。</p>
<p> </p>
<p>そういうとき、「各分野のエキスパートの行動を<strong>再現する</strong>~」などと訳すと、意外とうまくいくかなあという印象です。</p>
<p>アルゴリズムとか、機械学習、機械推論などの技術を活用している分野で、これから使う頻度が増えていくかもしれない訳語ですね。</p>
TransRadio
「Allow the file time to upload.」は文型を意識しないと誤訳する
hatenablog://entry/17391345971616126470
2018-02-13T21:28:44+09:00
2018-02-18T17:12:40+09:00 「ファイル時間」と訳してもうまくいかないから「file time」をMSランゲージポータルで検索して、「ファイル時刻」が定訳かあ、などと進むと失敗するパターンです、今回は。 単独ではちょっと難しくても、次の文脈を見るとなんとなく意味が分かる方も多いかもしれません。 Allow the file time to upload. The length of time to upload will vary based on your Internet connection speed and the size of the file. Once the file has finished uplo…
<p>「ファイル時間」と訳してもうまくいかないから「file time」を<a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language/default.aspx">MSランゲージポータル</a>で検索して、「ファイル時刻」が定訳かあ、などと進むと失敗するパターンです、今回は。</p>
<p>単独ではちょっと難しくても、次の文脈を見るとなんとなく意味が分かる方も多いかもしれません。</p>
<blockquote cite="https://www.mygovernmentonline.org/MyGovernmentOnlineCustomerPortalInstructions.pdf">
<p><strong>Allow the file time to upload.</strong> The length of time to upload will vary based on your Internet connection speed and the size of the file. Once the file has finished uploading you will see the File Name in the window. You may enter a short description in the Description box but it is not required. Click the Save button to complete the file upload process.</p>
<cite><a href="https://www.mygovernmentonline.org/MyGovernmentOnlineCustomerPortalInstructions.pdf" target="_blank">MyGovernmentOnlineCustomerPortalInstructions.pdf</a></cite></blockquote>
<p> 「allow」という見慣れた単語ですが、辞書を引くと、</p>
<blockquote cite="https://ejje.weblio.jp/content/allow">
<p>〔+間接目的語+直接目的語 / +目的語+to+(代)名詞〕</p>
<p>〈人に〉〈金・時間を〉与える; 〔人に〕〈金・時間を〉与える.</p>
<p>He allows his son 30 pounds a month.</p>
<p>=He allows 30 pounds a month to his son.</p>
<p>彼は息子に月 30 ポンドを与えている.</p>
<cite><a href="https://ejje.weblio.jp/content/allow" target="_blank">allowの意味・使い方 - 英和辞典 Weblio辞書</a></cite></blockquote>
<p>実は「allow」も「S+V+O+O」のかたちを取る、というのが第一のポイントでした。</p>
<p>第二のポイントとしては、IT翻訳の原文解釈の上では、ファイルなどの「もの」も、何らかのアクションを行うアクターだという観点が重要です。</p>
<p>Weblioでは「人に」という限定がついていますが、「allow + the file + time」というかたちも立派に成立します。</p>
<p>「ファイルがアップロードする猶予を与える」といったイメージが、原文の解釈になるかと思います。</p>
<p>その上で、ユーザー目線で書き直せば「ファイルのアップロードが完了するまでしばらく待機します。」ですし、「ファイルのアップロードには一定の時間がかかります。」と書くだけでも、言外の意味として「しばらくお待ちください。」というメッセージは十分に伝わるのではないかと思います。</p>
<p> </p>
<p>今回の例文では文脈がしっかりしていたため類推も可能でしたが「allow the file time to ~」のようなかたちが唐突に表れた場合でも、解釈の有力な可能性として「S+V+O+O」ではないかということを考えられるとよいですね。</p>
TransRadio
「A More link is provided」 は IT 英語では文法ミスではない
hatenablog://entry/17391345971615225910
2018-02-10T23:47:02+09:00
2018-02-18T17:13:56+09:00 単数・複数の観点から、「A」を削除して修正した「More links are provided」が正しいはずと思われるかもしれませんが、IT翻訳が対象とする分野では「A More link is ~」という形は適切な英文です。 The suggestion box displays a maximum of 25 results. If there are more matches, a More link is provided that you can click to view all suggested matches. NetSuite Global Search Auto Sugg…
<p>単数・複数の観点から、「A」を削除して修正した「More link<strong>s</strong> <strong>are</strong> provided」が正しいはずと思われるかもしれませんが、IT翻訳が対象とする分野では「A More link is ~」という形は適切な英文です。</p>
<blockquote cite="https://www.exploreconsulting.com/tips/global-search-auto-suggest/">
<p>The suggestion box displays a maximum of 25 results. If there are more matches, <strong>a More link is provided</strong> that you can click to view all suggested matches.</p>
<cite><a href="https://www.exploreconsulting.com/tips/global-search-auto-suggest/" target="_blank">NetSuite Global Search Auto Suggest | Explore Consulting</a></cite></blockquote>
<p> 日本語だと「詳細はこちら」や「続きを読む」などと訳される「More」というボタン・リンクを指して、一個の「More」リンクという意味で「a More link」と述べているのですね。</p>
<p>ちなみに、ここでの「provided」は、ユーザー目線で「表示されます」と訳して、「[詳細を確認]リンクが表示されます」などとするのがよいかなと思います。</p>
<p>「More」の部分も、UIとして、この例文で示されているような機能なら「その他の結果」などと訳すのもよいかもしれません。</p>
<p> </p>
<p>冬季五輪開催中だけに「リンク」のネタにしてみました。</p>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180210234533"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180210/20180210234533.jpg" alt="link.jpg" /></a></p>
TransRadio
「If you fail to ~」を「失敗」という単語で訳すと不自然になりやすい
hatenablog://entry/17391345971614924160
2018-02-09T23:53:45+09:00
2018-02-18T17:17:20+09:00 IT翻訳・ローカライゼーションの場では、用語集が提供されるせいで「1語1訳」という意識が知らず知らずのうちに生まれてしまうのかもしれません。 けれども「fail」=「失敗」というように条件反射的に訳すと、不自然な日本語を量産してしまう結果になりがちです。 たとえばNASAのある求人情報からとった次の例文などはどうでしょう。 If you fail to provide the requested documents within the stated time period, we may withdraw the job offer and/or remove you from furthe…
<p>IT翻訳・ローカライゼーションの場では、用語集が提供されるせいで「1語1訳」という意識が知らず知らずのうちに生まれてしまうのかもしれません。</p>
<p>けれども「fail」=「失敗」というように条件反射的に訳すと、不自然な日本語を量産してしまう結果になりがちです。</p>
<p>たとえばNASAのある求人情報からとった次の例文などはどうでしょう。</p>
<blockquote cite="https://www.usajobs.gov/GetJob/ViewDetails/489350900">
<p><strong>If you fail to</strong> provide the requested documents within the stated time period, we may withdraw the job offer and/or remove you from further consideration.</p>
<cite><a href="https://www.usajobs.gov/GetJob/ViewDetails/489350900" target="_blank">USAJOBS - Job Announcement</a></cite></blockquote>
<p>これを「 募集要項に定められた書類を期間内に提出する<strong>ことに失敗すると</strong>~」なんて翻訳するとちょっと不穏な雰囲気が出てしまいますよね。</p>
<p>提出するかどうかに成功と失敗がありえるなんて、何か特殊な提出方法が求められるのかとドキドキしちゃいます。</p>
<p>その違和感を大切にしつつ、いくつか情報を参照してみましょう。</p>
<p>まずは <a href="https://ejje.weblio.jp/content/fail" target="_blank">Weblio の fail のページ</a>:</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209223700p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209223700.png" alt="f:id:TransRadio:20180209223700p:plain" /></p>
<p>「コアの意味」などが記載されているところはいいなあと思いますが、辞書のように用例が場合分けされておらずに、単語帳的にずらっと並んでいるのは、ある程度ロジカルに訳語を判断しようとする上では弊害もあるかもしれません。</p>
<p>ただし、これば冒頭に表示されるカードなので、そこからさらに研究者の新英和中辞典を使用している箇所まで進むと、求めているのに近い情報がありました。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209224038p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209224038.png" alt="f:id:TransRadio:20180209224038p:plain" /></p>
<p>「失敗」ということばを使わずに訳す例が「fail to do」という語法に対して提示されています。</p>
<p>さらに、Weblioは複数の辞書を串刺しで引けるところも面白くて、</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209224241p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209224241.png" alt="f:id:TransRadio:20180209224241p:plain" /></p>
<p>Eゲイト英和辞典のこの項目もいいですね。</p>
<p>「~し忘れた」のように訳せる場合もあることが分かりました。</p>
<p> </p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="failの意味・用例" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Feow.alc.co.jp%2Fsearch%3Fq%3Dfail" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://eow.alc.co.jp/search?q=fail">eow.alc.co.jp</a></cite></p>
<p>それに対して英辞郎の方は、こういった文法面での記述や場合分けという面からは少し弱いです。</p>
<p>どちらかというと「真意の解釈」という場面では使うことはなくて、それを日本語でどう表現するかというオプション出しのときには結構便利な辞書になります。</p>
<p> </p>
<p>今回割愛しますが、オンラインで引けるCambridge、Macmillan、Oxford、Longmanなんかの英英辞書も「fail」には「not succeed」という意味以外に「not do something」というより機能的な役割があるという理解を補強できます。</p>
<p>(IT翻訳で、to不定詞を取る動詞などで、強い意味を捨ててより機能的な働きをしているにも関わらず、元の強い意味の「失敗する」などをあてて不自然な日本語にしてしまうエラーは多いです。)</p>
<p> </p>
<p>と、ここまで無料で参照できる辞書ばかり見てきましたが、紙の辞書も結構捨てたものではありません。</p>
<p>「fail」に関して今回手元にある中で一番よかったのはスーパーアンカーの次の記述です。</p>
<blockquote>
<p>【<strong>fail to</strong> do】 …しない、できない、しそこなう</p>
<p>He failed to come. 彼は(当然来るべきであったのに)来なかった(➤彼の怠慢によるのか、やむをえない事情によるのかは前後の文脈による)</p>
<p>(中略)</p>
<p><strong>語法</strong></p>
<p>(1)不注意や能力不足などが原因でできない場合にも用いるが、単に do not... の意味でも用いる。</p>
<p>(2)大げさな言い方とみなされることがある。</p>
</blockquote>
<p> お見事、ですよね。</p>
<p>「不注意や能力不足などが原因でできない場合にも用いるが、<strong>単に do not... の意味でも用いる。</strong>」という部分に、知りたかったことが凝縮されています。</p>
<p>変なレビュアーから「失敗」の訳抜けですとか、「fail = 失敗」という用語集の適用ミスですなどと言われたら、スーパーアンカーを写メ(死語?)ってメールに添付しましょう。</p>
<p> </p>
<p>ついでなので、他の辞書で少し気になった部分を追加すると、</p>
<p>ジーニアスは「She failed to appear. 彼女は現れなかった」という例文の後に「fail to do は主に書き言葉で堅い言い方。日常語では She didn't appear とするのがふつう」とあるのは、今のご時世、やや誤解を招きそうな気もしますね。</p>
<p>「written English」で使いますと言われたら、ああそうっぽいですね、と素直に思えるのですが、日本語で「書き言葉」と言われて、その対立項に「日常語」と言われてしまうと。。</p>
<p>Web の登場以降、「書き言葉」という言葉の指示する内容やポジションが変化したのかなあとか。</p>
<p>少なくとも、NASAがWebに掲載しているインターンシップの求人には「If you fail to」という言葉が使われていますし、</p>
<blockquote cite="https://github.com/ya-mouse/dos-utils/tree/master/watt32">
<p><em> REXEC host [user [pass]] cmd</em></p>
<p>If you fail to specify either the password or the userid, you will be prompted for them.</p>
<cite><a href="https://github.com/ya-mouse/dos-utils/tree/master/watt32" target="_blank">dos-utils/watt32 at master · ya-mouse/dos-utils · GitHub</a></cite></blockquote>
<p> GitHub の英語は「Written English」だとしても、「書き言葉」であり「日常語ではない」のかというと、うーん、って感じしませんか?</p>
<p>ちなみにこれも「失敗」を使って訳すと、堅苦しくなりますね。</p>
<p>単にニュートラルに、「 REXEC host [user [pass]] cmd」というコマンドのオプションでユーザーIDとパスワードを入力しなかった場合ということで、「失敗した」わけではないので。</p>
<p>完全に余談ですが、エンタープライズ向けを中心に、GUIだけでなくコマンドラインで操作するアプリケーションも非常に多いので、その辺のイメージが少しあるだけでもIT翻訳者として一歩か二歩、優位に立てるのではと思います。</p>
<p> </p>
<p>もう一つ気になったのはウィズダム英和辞典で、こちらは「fail to do」という語法に対して意味を掲載するのではなく、「失敗する」系の意味と「怠る」系の意味と両方に「fail to do」の語法を掲載していました。</p>
<p> </p>
<p>短めの記事の予定が、辞書を引いてたら楽しくてついつい長くなってしまいました。</p>
<p>なかなか業務の中でここまでしっかり辞書を引ききることは少ないですね。</p>
<p>Webで引けるものはかなり引く方ですけど。</p>
<p>IT翻訳では、訳語選定に絶対的な「正しさ」の根拠を求めるよりは、違和感を覚えるかどうかと「適切さ」の方がより大切になることが多いかもしれません。</p>
<p>しかし、今回、スーパーアンカーの記述には、とても頷きました。</p>
<p> </p>
<p>最後に、2つの例文のニューラル翻訳もかけてみました(2018年2月9日)。</p>
<p>If you fail to provide the requested documents within the stated time period, we may withdraw the job offer and/or remove you from further consideration.</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209233741p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209233741.png" alt="f:id:TransRadio:20180209233741p:plain" /></p>
<p>こちらはGoogle。ほぼ完璧ですね。ポストエディットでなら、まずは、NASAの求人なので「当社」を「当機関」などに修正して、さて残りはどうしようというところでしょうか。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209234053p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209234053.png" alt="f:id:TransRadio:20180209234053p:plain" /></p>
<p>BingのMicrosoft Translatorの方はちょっと厳しいですね。</p>
<p>一般的な例文にはちょっと弱いのかな。</p>
<p> </p>
<p>しかし、こちらの方は</p>
<p>If you fail to specify either the password or the userid, you will be prompted for them.</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209234228p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209234228.png" alt="f:id:TransRadio:20180209234228p:plain" /></p>
<p>いいですね。MSの学習素材がIT系に偏ってるんですかね?</p>
<p>まあ、prompted はここでは、「入力を求める」まで含むと思うので、その内容をポストエディットで盛り込みたいですね。</p>
<p>単にメッセージが表示されるだと、少し情報不足だと思います。</p>
<p> </p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180209234443p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180209/20180209234443.png" alt="f:id:TransRadio:20180209234443p:plain" /></p>
<p>それに対してGoogleは、「失敗」が一つ減点。</p>
<p>あと、AIに向かって文句言うのも野暮ですが、最後の「them」をなんでパスワードだけ指すと思ったし?、とは言いたいですよね。</p>
<p>入力を求められるのはパスワードもユーザーIDもです。</p>
TransRadio
建築のように材料費に人件費をまぶせないから見積もりがシビアな翻訳業界
hatenablog://entry/8599973812344779586
2018-02-07T22:44:56+09:00
2018-02-18T17:20:22+09:00 サイボウズ式の記事を集中して読んでいた時期に、発想にすごく衝撃を受けたのが、「納品をしない受託開発」、「月額定額のシステム開発」を行っているソニックガーデン社長の倉貫義人氏のインタビュー記事でした。 自分は建築業界について知識ゼロなのでその部分の判断はつかないのですが、見積もり額がピュアに人件費のみになりやすいということでの次の指摘にはものすごく説得されました。 僕は見積もりが好きじゃないんですよ。SIerの見積もりってだいたい外れるんです。ビルや家を建てる時って、人件費を材料代にまぶして見積もるんですよ。だから見積もり金額にそんなに大きなブレはない。 でも、ソフトウェアって材料代がないですよ…
<p>サイボウズ式の記事を集中して読んでいた時期に、発想にすごく衝撃を受けたのが、「納品をしない受託開発」、「月額定額のシステム開発」を行っているソニックガーデン社長の倉貫義人氏のインタビュー記事でした。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="幸福なシステム開発は実現できるか?――ソニックカーデン倉貫義人とサイボウズ青野慶久が考えた | サイボウズ式" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fcybozushiki.cybozu.co.jp%2Farticles%2Fm000363.html" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"></cite></p>
<p>自分は建築業界について知識ゼロなのでその部分の判断はつかないのですが、見積もり額がピュアに人件費のみになりやすいということでの次の指摘にはものすごく説得されました。</p>
<blockquote cite="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000363.html">
<p>僕は見積もりが好きじゃないんですよ。SIerの見積もりってだいたい外れるんです。ビルや家を建てる時って、人件費を材料代にまぶして見積もるんですよ。だから見積もり金額にそんなに大きなブレはない。</p>
<p>でも、ソフトウェアって材料代がないですよね? 人件費というブレる要素しかないわけです。人月だと優秀な人とそうでない人で差が出るのは当たり前だから、人月で見積もってもうまくいくはずないですよね。</p>
<cite><a href="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000363.html" target="_blank">幸福なシステム開発は実現できるか?――ソニックカーデン倉貫義人とサイボウズ青野慶久が考えた | サイボウズ式</a></cite></blockquote>
<p>自分がフリーランスを選ぶ強さがないのは、キャリアが浅いためこのブレや振れ幅がまだまだ大きいのと、そのブレを会社に抱えてもらう以外でうまく処理できるイメージが浮かばないという点があります。 </p>
<blockquote cite="http://otihateten.hatenablog.com/entry/2018/02/01/030805" data-uuid="8599973812344766249">
<p>新規開発では、非常に反省した案件で1.6倍の見積もりブレを出したのですが、コードの修正だと数倍の見積もりブレが出ます。「ちょろっと」で直ることもあれば無理なこともあります。 開けてビックリ玉手箱です。 それを請負でやると相当盛らない限り詰むわけですが、クラウドソーシングでは盛ることはできません。最低限ギリギリのラインを割ったラインが受注ラインですから。 というわけで、まあいい感じに詰んでいます。</p>
<cite><a href="http://otihateten.hatenablog.com/entry/2018/02/01/030805" target="_blank">クラウドソーシング、二度とやるまいと思った話 - IT業界で気づいたことをこっそり書くブログ</a></cite></blockquote>
<p>こちらは購読しているブログで目に留まった記事なのですが、翻訳でも「開けてビックリ玉手箱」は結構あります。</p>
<p>ツール関係で問題が発生したり、翻訳メモリだったり、スタイルだったり、周辺的なところでいろいろ発生するんですよね。</p>
<p>こういうとき、正面から受け止めすぎずに「えっ、聞いてないよ?」とか「えっ、知ってた?」とか、「えっ、初耳だよ」とか、気付いた瞬間にごくごく短いメールを送っておくのは大切だと思います。</p>
<p> </p>
<p>でも、いろいろ言っても、「翻訳は結局のところワード数で請求するしかないでしょ」と思われる方もいるかもしれませんが、先ほどのソニックガーデン社の倉貫さんの記事ではその点でも「なぬー」と思わされる部分がありました。</p>
<blockquote cite="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000363.html">
<p>人月での見積もりはそもそもソフトウェア開発に向いていない。じゃあ見積もりをやめるにはどうすればいいかというと、金額をあらかじめ決めて、その金額に応じて仕事をマネジメントするしかない、という発想なんです。</p>
<cite><a href="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000363.html" target="_blank">幸福なシステム開発は実現できるか?――ソニックカーデン倉貫義人とサイボウズ青野慶久が考えた | サイボウズ式</a></cite></blockquote>
<p>これを次の、「営業らしい営業」をなくして「質の良い通常業務を営業と見なせばよい」という部分とセットでやれれば、翻訳・ローカライゼーション業界も大きく変わると思うんですよね。</p>
<blockquote cite="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000364.html">
<p>ソニックガーデンさんには営業パーソンもいないんですよね。その一方で、最初の1カ月は「お試し期間」として無料にしている。これって僕はまさに営業行為だと思うんです。(by 青野さん)</p>
<p>おっしゃるとおりです。営業なんですよ。そこを看破されたのは青野さんが初めてです。</p>
<p>1カ月間、プレゼン資料を持って営業活動をするのも、プログラミングするのも同じコストがかかりますよね?だったら僕らはプログラマーなんだからプログラミングをしようよ、という考え方です。(by 倉貫さん)</p>
<p>実は営業行為だとピンときたのは、サイボウズのあるパートナーも同じようなことをやっていたからなんです。当社の「kintone」という製品にも30日間のお試し期間があるのですが、そのパートナーは「この30日間、お客様の相談に何でも乗ります」ということを始めて、ものすごくたくさん受注した。「よくそのやり方を思いつきましたね」と言ったら、「どっちにしても営業行為なんだから、だったらわざわざ営業パーソンを雇わず、SEにプログラムを作らせたほうがいい」と言っていたんです。しかも、作ったものを別の会社にも提案できるから一石二鳥だろうと。(by 青野さん)</p>
<p>まったく同じ思考ですよね。うちの場合、月額定額だから、お客様から続けていただけるということは、翌月の営業をしているようなものなんですよ。(by 倉貫さん)</p>
<cite><a href="https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000364.html" target="_blank">日本のサラリーマンは「35歳定年」でいい――倉貫義人×青野慶久、プログラマーを再定義する | サイボウズ式</a></cite></blockquote>
<p>乱暴ですが、翻訳会社も全部この発想でいいんじゃないかという気さえします。</p>
<p>あんまり営業って必要ないんじゃないかなあ、とか。</p>
<p> </p>
<p>倉貫さんの対談記事、他にも、総務系の部門だけ完全に別会社にして、しかも子会社ではなく総務サービスを他企業にも提供する独立の会社にしていたり、発想が大胆かつめちゃくちゃ参考になるので、是非元記事を読んでみてください。</p>
TransRadio
「開始 > 実行の順にクリックして、cmd と入力し」という悲しいミス
hatenablog://entry/8599973812344492904
2018-02-06T23:54:34+09:00
2018-03-02T21:23:12+09:00 「[開始]>[実行]をクリックします」という訳文、どこに修正点があるかピンと来ますか? 所要時間20秒ほどのアンケートを作成しましたので、よろしければ回答を行ってからこの先にお進みください。 2018年のはてなブログでどういう結果が出るのか、かなり興味深いです。 さて、Webを検索してみると、いくつも例が引っかかるのですが、リンク先のIBM Knowledge Centerの記事にも次のような文が見つかりました。 「cmd と入力し」や「regedit と入力し」などの文章が続くところもヒントになるかと思うのですが、いかがでしょうか? あまり引っ張らずに種明かしをすると、これは Windows…
<p>「[開始]>[実行]をクリックします」という訳文、どこに修正点があるかピンと来ますか?</p>
<p>所要時間20秒ほどのアンケートを作成しましたので、よろしければ回答を行ってからこの先にお進みください。</p>
<p>2018年のはてなブログでどういう結果が出るのか、かなり興味深いです。</p>
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<script async="" src="//static.apester.com/js/sdk/v2.0/apester-javascript-sdk.min.js"></script>
<p> </p>
<p>さて、Webを検索してみると、いくつも例が引っかかるのですが、リンク先の<a href="https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SS9JLE_8.2.1/com.ibm.itamesso.doc_8.2.1/Installation_Guide/tasks/starting_middleware.html" target="_blank">IBM Knowledge Center</a>の記事にも次のような文が見つかりました。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180206214108p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180206/20180206214108.png" alt="f:id:TransRadio:20180206214108p:plain" /></p>
<p>「cmd と入力し」や「regedit と入力し」などの文章が続くところもヒントになるかと思うのですが、いかがでしょうか?</p>
<p> </p>
<p>あまり引っ張らずに種明かしをすると、これは Windows での [Start] > [Run] の翻訳におけるエラーですね。</p>
<p>スタートメニューを押した後の[Run]が、日本語版では[ファイル名を指定して実行]と訳されているため、ドキュメントで[実行]と訳すとUIと対応が取れなくなってしまうわけです。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180206225335p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180206/20180206225335.png" alt="f:id:TransRadio:20180206225335p:plain" /></p>
<p> </p>
<p>以前に、次のような記事を書いたとき、「Watch」の訳が「視聴する」ではおかしいからといって、「変更通知を受け取る」にまでカスタマイズすると、他との整合性でいろいろな問題が発生すると述べました。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="Watch の訳語は常に「視聴する」でよいのか問題: プロジェクト管理ツールの Trello - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F27%2FTrello-watch-UI-translation" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/27/Trello-watch-UI-translation">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>Windows の日本語 UI も、「Run」の翻訳を「ファイル名を指定して実行」にカスタマイズしているわけですが、これくらいの攻め方で、しかも翻訳者が簡単に確認できるような OS の UI でも、ドキュメントでの訳がずれる可能性があるというのが現実です。</p>
<p> </p>
<p>ここで少し視点を変えて、IT翻訳で必要とされる「製品知識」、「専門知識」、「IT知識」について考えると、一つの基準は、ここで[Start]と[Run]を、スタートメニューから[ファイル名を指定して実行]をクリックし、と適切に訳せるかどうかにあるような気もしています。</p>
<p>開発系のプログラムのローカライズを除く、などの但し書きは必要かもしれませんが、案件数の多いボリュームゾーンのお仕事では、このレベルでも「差が付く」というのが偽らざる事実ではないかなと。</p>
<p>こういうミスを、最初の失敗から学んでその後繰り返さないようにできる人、こういう階段を一つ一つクリアしていける人は、後追いで「あの人は製品知識があるから」と言ってもらえるようになる業界ではないか、ということですね。</p>
<p> </p>
<p>ただし、最初からフリーランスで、納期に追われまくるという仕事の受け方だと、こういった階段を一つ一つクリアしていくことが難しい場合もあるかもしれません。</p>
<p>次の文章の太字にした箇所、とても頷きます。 </p>
<blockquote cite="https://sites.google.com/site/smallmediajp/home/20000802">
<p>はじめに「専門知識」に欠ける場合ですが、これは技術的なバックグラウンドがないままに翻訳会社に就職してチェッカーをやっている人の一部や、学校でも実務でも専門知識を身に付ける機会がないままに翻訳者を志して、翻訳学校で一通りのライティング スキルを身に付けた人によく見受けられます。</p>
<p>納品された日本語は整っているのですが、内容を理解できていない箇所で誤訳します。<strong>本当はそういう人は翻訳の発注元であるソフトウェア ベンダーなどのソース クライアントで仕事をするのが一番効率のいい修行になります。なぜなら、仕事の上流工程を担うソース クライアントの立場にあるほうが、業務に必要な専門知識の範囲を絞り込めるからです。</strong></p>
<p>仕事の下流工程を担う<strong>フリーランスの翻訳者</strong>は、翻訳会社の営業結果に応じて <strong>IT 翻訳の中のいろいろな分野</strong>を翻訳しなければならないため (今日はデータベースで明日はネットワーク、という感じで...)、<strong>カバーしなければならない専門分野の範囲が拡がってしまい、短期間に効果的に知識習得するのがより難しくなります。</strong></p>
<cite><a href="https://sites.google.com/site/smallmediajp/home/20000802" target="_blank">IT翻訳入門09:IT翻訳の最短学習法 - smallmedia.jp 言語技術を考える</a></cite></blockquote>
<p>キャリアの最初にオンサイトの仕事を検討するというのは、結構合理的だと思いますね。</p>
<p>フリーランスの翻訳者の方にお仕事を出すときは、一定レベル以上の納品物を求めると思うのですが、オンサイトの仕事の方が、ある程度の「伸びしろ」込みでの就業が可能なケースも多そうな気がします。</p>
<p>英語力という基礎の上で、製品知識らしきものを身に着けていくまでの「修業中」の身の、言葉は悪いかもしれませんが「時間稼ぎ」として、キャリアの最初の方で上流工程に飛び込むというのは、ありな選択かもしれません。</p>
<p>冒頭のアンケートの結果、楽しみにします。</p>
TransRadio
英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:「must」の誤訳も意外と多いです
hatenablog://entry/8599973812344140876
2018-02-05T21:59:12+09:00
2018-02-18T17:24:01+09:00 助動詞の「must」といえば、中学校でも習う基本単語ですが、実務翻訳・IT翻訳の現場では思わぬ誤訳をされてしまうこともしばしばです。 The validation error must be caused by a bug or a hacking attempt. node.js - Handling Mongoose validation errors – where and how? - Stack Overflow 上の例文に対する典型的な誤訳は「認証エラーは、バグまたはハッキング行為によって生じている必要があります。」 IT翻訳に親しんでいない方からすると「えっ!?」と思われる訳例か…
<p>助動詞の「must」といえば、中学校でも習う基本単語ですが、実務翻訳・IT翻訳の現場では思わぬ誤訳をされてしまうこともしばしばです。</p>
<blockquote cite="https://stackoverflow.com/questions/15012250/handling-mongoose-validation-errors-where-and-how">
<p>The validation error <strong>must be caused by</strong> a bug or a hacking attempt.</p>
<cite><a href="https://stackoverflow.com/questions/15012250/handling-mongoose-validation-errors-where-and-how" target="_blank">node.js - Handling Mongoose validation errors – where and how? - Stack Overflow</a></cite></blockquote>
<p>上の例文に対する典型的な誤訳は「認証エラーは、バグまたはハッキング行為によって生じている<strong>必要があります</strong>。」 </p>
<p>IT翻訳に親しんでいない方からすると「えっ!?」と思われる訳例かもしれませんが、誤訳の背景として、訳語の統一のために「must」の訳に「~する必要があります」という日本語をあてるスタイルガイドが多いことがありそうです。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180205212137p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180205/20180205212137.png" alt="f:id:TransRadio:20180205212137p:plain" /></p>
<p>例えば、こちらは次のページからダウンロードできるMSのスタイルガイドですね。</p>
<p><a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language/StyleGuides" target="_blank">スタイルガイドをダウンロード - マイクロソフト | ランゲージ ポータル</a></p>
<p>原文を見ると、「often」が使われていて、特定の文脈においてのみ「~必要があります」とすると但し書きがあるにも関わらず、実務の現場ではしばしば短絡が起こってしまうようです。</p>
<p> </p>
<p>冒頭の文に戻ると、これは英文法で習うところの「~に違いない」と訳すタイプの「must」ですよね。</p>
<p>The validation error <strong>must be caused by</strong> a bug or a hacking attempt.</p>
<p>「~に違いない」という訳語をもろもろの事情で避けるとすると、「認証エラーはバグまたはハッキング行為によって生じたと判断できます。」などと訳すことができると思います。</p>
<p>要は「must」が伝えたかった「確実さ」の感覚を日本語にどう移すかということですからね。</p>
<p>単に「認証エラーはバグまたはハッキング行為によって生じています。」と断言するだけでも、場合によってはOKかもしれません。</p>
<p>「必要があります。」はこの場合NGです。辛い。</p>
<p> </p>
<p>The field must not contain line breaks.</p>
<p>NG訳例: フィールドには改行を含め<strong>ない必要があります</strong>。</p>
<p> </p>
<p>誤訳というよりは変な日本語ですね。</p>
<p>これも、もしかしたら10年後にはOKになるのかもしれませんが、きつい。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180205213228p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180205/20180205213228.png" alt="f:id:TransRadio:20180205213228p:plain" /></p>
<p><a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language/default.aspx" target="_blank">MSのランゲージポータル</a>からですが、「~することはできません」というのが、英文法でいうところの「禁止」の「must not」をIT翻訳で訳するときの一番ポピュラーな訳かなと思います。</p>
<p>クライアントによっては「フィールドには改行を含めないでください」や「フィールドには改行を入力しないでください」などの訳が好まれる場合もあるかもしれませんが、この辺は好み(preference)の領域ですよね。</p>
<p> </p>
<p>ただ、同じMSでも、次のような訳が存在するんですけどね。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180205213951p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180205/20180205213951.png" alt="f:id:TransRadio:20180205213951p:plain" /></p>
<p>4文目なんかは、文脈次第ですが、「クラスター上に存在するユーザーを選択することはできません」などへの変更が浮かびます。</p>
<p>まあ、大規模・短納期かつ多くの翻訳者が関わって、翻訳メモリなども最大限活用しながらやっているような中では、ある程度仕方ないとも思いますけどね。</p>
TransRadio
QA は翻訳品質を改善しない:体重計で体重を量るのと同じ
hatenablog://entry/8599973812343856367
2018-02-04T23:13:52+09:00
2018-02-04T23:26:15+09:00 「他業種に学ぶ」カテゴリーの「翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?」という記事では、ソフトウェア開発の現場の話を通して翻訳の現場を客観的に眺められないかということを試してみました。 どうやら、QAというフェーズに、本来負うべきではない過剰な役割が期待されてしまうのも、翻訳とソフトウェア開発の現場で共通する問題のようです。 体重計に乗ったとしてもその人の体重が減らないのと同様に、テストをすることが、ソフトウェアの品質を改善したりしません。テストはソフトウェアの品質レベルを知る手段ですが、ソフトウェアの品質を保証する手段ではありません(スティーブ・マコネル『ソフトウェ…
<p>「<a href="http://blog.traradio.com/archive/category/%E4%BB%96%E6%A5%AD%E7%A8%AE%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6">他業種に学ぶ</a>」カテゴリーの「<a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/10/objectivity-translation-work">翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?</a>」という記事では、ソフトウェア開発の現場の話を通して翻訳の現場を客観的に眺められないかということを試してみました。</p>
<p>どうやら、QAというフェーズに、本来負うべきではない過剰な役割が期待されてしまうのも、翻訳とソフトウェア開発の現場で共通する問題のようです。</p>
<blockquote>
<p>体重計に乗ったとしてもその人の体重が減らないのと同様に、テストをすることが、ソフトウェアの品質を改善したりしません。テストはソフトウェアの品質レベルを知る手段ですが、ソフトウェアの品質を保証する手段ではありません(スティーブ・マコネル『ソフトウェアプロジェクトサバイバルガイド』)。</p>
<p>体重計に乗ることにより、体重が減る効果はゼロです。つまり、何回体重計に乗っても体重は減りません。単に体重がわかるだけです。ソフトウェアのテストでも同じであり、単にソフトウェアの品質がわかるだけです。</p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>スティーブ・マコネルの孫引き部分も含めてこちらの本からの引用です。</p>
<div class="amazlet-box" style="margin-bottom: 0px;">
<div class="amazlet-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774143847/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank"><img style="border: none;" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51-XOvzPXbL.jpg" alt="プログラマー”まだまだ”現役続行 (技評SE選書)" /></a></div>
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;">こういった発言を翻訳現場にそのまま当てはめようとすれば「えっ、QAでは誤字・脱字や、用語の不統一なんかのミスを修正するでしょ?」という意見が返ってくるかもしれません。</div>
<div>しかし、翻訳会社などで使われる言葉は違っても、「QA」と「レビュー/エディット」には明確に異なるプロダクティビティ(単位時間当たりの作業量)が想定されているはずです。</div>
<div>つまり、「QA」と「レビュー/エディット」は目的を異にする作業であり、QAには一定の限界が設定されているといえます。</div>
<div>特に翻訳の一部だけをチェックするスポットQAに顕著ですが、QAの主たる目的は納品物の<strong>スコアを出す</strong>ということです。</div>
<div>そして、そのスコアが納品に求められる品質要件を満たすのならば、納品プロセスに移るはずですし、スコアが基準に満たないとなれば、そこでQAとは別個に品質改善の打ち手をPMが打たなければならないと思います。</div>
<div>この部分を曖昧にして、「QAで品質が悪ければQAの間で修正してね」というていでPMがプロジェクトに臨んでしまうと、QAに本来割り当てられていた時間を超過して作業をさせることになり、プロジェクト全体に別のかたちでひずみが生じてしまいます。</div>
</div>
<p> </p>
<blockquote>
<p>実際には、テストによって品質を上げていると思われるかもしれませんが、そうではないのです。体重計に乗っても体重は減りませんが、自分の体重を知って、ダイエットや運動などをすることで、結果として体重が減るのです。</p>
<p>同様に、ソフトウェアのテストにより、ソフトウェアの品質が分かり、多くの悪い部分(つまり不具合)を発見して、それらの悪い部品を改良する(つまり、不具合の原因であるバグを修正する)ことにより、結果として品質が向上するのです。 </p>
</blockquote>
<p>そして、もう一つ、QAの主たる目的をスコアの測定に置くうえで重要なのは、納品物の品質は定められた「要件」に対して測られるべきであり、「完璧さ」に向けてなされるべきではないという点だと思います。</p>
<p>ビジネスとして実行できる品質保証は、欠陥をゼロにすることが目的ではなく、欠陥率を一定の割合以下(たとえば千、三つ)に抑え込むことのはずです。</p>
<p> </p>
<p>さらにもう一点重要なのは、翻訳プロジェクトを管理するPMが、スコアが一定以下のときに取りうる打ち手を確保しているか、また初期段階からこまめに品質チェックを行っているかという点です。</p>
<blockquote>
<p>特に、プロジェクトマネジャーが、「機能が正しく作りこまれてコーディングされていること」よりも<strong>「最初に決めたコーディング期間が予定どおり終了すること」を優先したプロジェクト管理</strong>を行うと、コンパイルが<strong>終わったというだけで</strong>、 機能を全部正しく作りこんでいなくても「コーディングが終わった」と担当者は報告しがちです。</p>
</blockquote>
<p> この「納期優先」の感じ、どこのローカライゼーションの現場やねんというくらい既視感があります。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="翻訳者が日本語ノンネイティブのクライアントやPMとやり取りした例を公開してみるよ - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F23%2Fnon-native-client" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/23/non-native-client">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p> 以前に上のような記事を書きましたが、特に、これから増えていくであろう、ノンネイティブのPMやクライアントが自分自身で納品物の品質を測定できない状況では、「スコアを出す」し全員で共有するというQAの役割が大きくなっていくと思います。</p>
<p>そうした中でのやり取りで、「QAは品質を測定するけれど、改善するためのものではない。改善できたとしても微々たるもの」であるとか、「Q(品質)、C(コスト)、D(納期)は相関してるから、このQの設定で対応できるのはここまで」だとか、翻訳者の側でもきっちり主張できることが大切になってくるのかなと思っています。 </p>
TransRadio
まだ発生していない「consequence」の訳語は「結果」より「影響」の方がうまくいきやすい
hatenablog://entry/8599973812343561750
2018-02-03T23:44:28+09:00
2018-02-18T17:26:13+09:00 「consequence(s)」の訳語としては「結果」がファーストチョイスになってしまいがちですが、IT翻訳の現場では、重大な影響を伴う操作について、次のように「consequence(s)」を事前に想定した上で判断してくださいという例文がしばしば見られます。 Consider the consequences of this carefully before implementing automatic reboots. Event Handlers この「consequence(s)」、「結果」と訳すと、既に発生している事態のように響いてしまって、あまりうまくいかないんですよね。 かといっ…
<p> 「consequence(s)」の訳語としては「結果」がファーストチョイスになってしまいがちですが、IT翻訳の現場では、重大な影響を伴う操作について、次のように「consequence(s)」を事前に想定した上で判断してくださいという例文がしばしば見られます。 </p>
<blockquote cite="https://assets.nagios.com/downloads/nagioscore/docs/nagioscore/3/en/eventhandlers.html">
<p>Consider the consequences of this carefully before implementing automatic reboots.</p>
<cite><a href="https://assets.nagios.com/downloads/nagioscore/docs/nagioscore/3/en/eventhandlers.html" target="_blank">Event Handlers</a></cite></blockquote>
<p> この「consequence(s)」、「結果」と訳すと、既に発生している事態のように響いてしまって、あまりうまくいかないんですよね。</p>
<p>かといって「(操作の)帰結」、「成り行き」、「余波」などと訳すと、それはそれで仰々しくなりすぎてしまい、IT翻訳の他の文から浮いてしまいます。</p>
<p>ここはシンプルに「影響」として「影響を十分に検討してから~」などと訳すのがよいかなと思います。</p>
<p> </p>
<p>「結果」という言葉に、まだ発生していない状況に言及する用法がないわけではないですが、その場合、次のようにポジティブな結果を指すことが多いようです。</p>
<p>例「この事業で結果を出せば(=成功を収めれば)昇進も夢ではない」</p>
<p>これに対して「consequence(s)」を未来の状況について述べるときは、しばしばネガティブな事態を想定しているため、「結果」をあててしまうとうまく文意が通りにくくなるのかなと思います。</p>
<p>こういった単語については辞書で一番最初にある訳語を鵜呑みにせず、少し気を付けて、文脈上適切な訳語を選ぶようにしたいですね。</p>
TransRadio
「~担当者」の英訳は「~ + er」で結構いける説:承認担当者は Approver とかね
hatenablog://entry/8599973812342974114
2018-02-02T01:14:14+09:00
2018-02-18T17:26:55+09:00 「担当者」という日本語の英訳を求めて Web を検索する人は結構多いようです。 検索ですぐに見つかるページには「person in charge」や「personell」、「staff」、「representative」、「contact」、「owner」などの訳語が見つかるかと思います。 もしくは手紙や英文メールの書き出しの「担当者様」なら「To whom it may concern」などの決まり文句を用いるでしょう。 でも、ちょっと待って。 「担当者」という日本語の訳語を求めているときって、実際は「~担当者」という風に「~」の情報を特定できるときが大半で、「担当者」という漠然とした言葉を…
<p>「担当者」という日本語の英訳を求めて Web を検索する人は結構多いようです。</p>
<p>検索ですぐに見つかるページには「person in charge」や「personell」、「staff」、「representative」、「contact」、「owner」などの訳語が見つかるかと思います。</p>
<p>もしくは手紙や英文メールの書き出しの「担当者様」なら「To whom it may concern」などの決まり文句を用いるでしょう。</p>
<p> </p>
<p>でも、ちょっと待って。</p>
<p>「担当者」という日本語の訳語を求めているときって、実際は「~担当者」という風に「~」の情報を特定できるときが大半で、「担当者」という漠然とした言葉を探しているわけではないんじゃないという気がします。</p>
<p>そして、こういう単語って、特定した方がぴたりとくる英訳が見つかりやすいんです。</p>
<p>例として、英語で開発されているMicrosoft製品の用語で、日本語化の際に「~担当者」と訳されているものをピックアップしてみました。</p>
<p>(<a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language/" target="_blank">マイクロソフト | ランゲージ ポータル</a>を使用しました:実は IT 系の英和翻訳だけでなく、ビジネス全般の和英の検索にも有効なんです)</p>
<p> </p>
<p>購入担当者:Buyer</p>
<p>購買担当者:Purchaser</p>
<p>テスト担当者:Tester</p>
<p>監査担当者:Auditor</p>
<p>レビュー担当者:Reviewer</p>
<p>配送担当者:Driver (運転して配送する場合)</p>
<p>承認担当者:Approver</p>
<p>リクルーティング担当者(採用担当者):Recruiter</p>
<p> </p>
<p>いかがでしょうか、「~担当」の多くが、実は「~」+「担当者」という2語以上のフレーズではなく「~ + er」という1語でシンプルに表現できるんですよね。</p>
<p>「担当者」のような便利で漠然とした日本語には、意外と1対1対応する英語が見つかりにくいので、状況によって意味を絞り込んであげると、ぴったりくる英語が見つかりやすくなる場合があります。</p>
<p> </p>
<p>その他</p>
<p>技術担当者:Expert</p>
<p>営業担当者:Salesperson</p>
<p>経理担当者:Accounting Staff / Accounting Manager (社内)<a href="#f-27d1b00f" name="fn-27d1b00f" title="当初 Accountant としていましたが、社内のスタッフだけでなく会計士 (Certified Accountant) も含む表現のようなので変更しました。Facebookでご指摘いただきありがとうございました。">*1</a></p>
<p>人事担当者:HR personell</p>
<p>サポート担当者:Customer Support</p>
<p>広報担当者:PR agent</p>
<p> </p>
<p>最後に、英文メールなんかでは、無理に「担当者」を訳そうとせずに、複数の英文に分けるとうまくいったりしますよね。</p>
<p> </p>
<p>例「TransRadio が本プロジェクトの翻訳担当者です」</p>
<p>→I added TransRadio in CC. He/She'll provide linguistic support for your localization project.</p>
<p>などなど。</p><div class="footnote">
<p class="footnote"><a href="#fn-27d1b00f" name="f-27d1b00f" class="footnote-number">*1</a><span class="footnote-delimiter">:</span><span class="footnote-text">当初 Accountant としていましたが、社内のスタッフだけでなく会計士 (Certified Accountant) も含む表現のようなので変更しました。Facebookでご指摘いただきありがとうございました。</span></p>
</div>
TransRadio
英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:Evergreen (旧 Forest) の序章で品詞を極める
hatenablog://entry/8599973812342648110
2018-02-01T00:26:52+09:00
2018-02-01T09:14:02+09:00 「英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編」で予告していた英文法編です。 そして、じゃじゃーん、『総合英語フォレスト Forest』とその後継とされる『総合英語エバーグリーン Evergreen』を購入しました。 しかし、わざわざ古本で Forest を購入する必要はないですね。 詳細に見比べたわけではないですが、各章の例文や説明もほぼほぼ同じですし、目次で見比べた限り章の構成の変更も Evergreen の方でいくつかの章がPart 1-3 の 3 節構成から Part 1-4 の構成の 4 節構成になっているくらいのようです。 1.どうせやるなら効率的に:スタートラインまでの早…
<p>「<a href="http://blog.traradio.com/entry/English-grammar-translation">英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編</a>」で予告していた英文法編です。</p>
<p>そして、じゃじゃーん、『総合英語フォレスト Forest』とその後継とされる『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864602425/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">総合英語エバーグリーン Evergreen</a>』を購入しました。</p>
<p>しかし、わざわざ古本で Forest を購入する必要はないですね。</p>
<p>詳細に見比べたわけではないですが、各章の例文や説明もほぼほぼ同じですし、目次で見比べた限り章の構成の変更も Evergreen の方でいくつかの章がPart 1-3 の 3 節構成から Part 1-4 の構成の 4 節構成になっているくらいのようです。</p>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180131224309"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180131/20180131224309.jpg" alt="Evergreen-Forest.jpg" /></a></p>
<p> </p>
<ul class="table-of-contents">
<li><a href="#1どうせやるなら効率的にスタートラインまでの早さと効き具合を意識する">1.どうせやるなら効率的に:スタートラインまでの早さと効き具合を意識する</a></li>
<li><a href="#210個の品詞5個の文の要素5文型">2.10個の品詞、5個の文の要素、5文型</a></li>
<li><a href="#3品詞と文の要素のマトリックス">3.品詞と文の要素のマトリックス</a></li>
<li><a href="#終わりに英文法の品詞文の要素文型のシンプルさに奉仕するその他の文法事項たち">終わりに:英文法の品詞・文の要素・文型のシンプルさに奉仕するその他の文法事項たち</a></li>
</ul>
<p> </p>
<h3 id="1どうせやるなら効率的にスタートラインまでの早さと効き具合を意識する">1.どうせやるなら効率的に:スタートラインまでの早さと効き具合を意識する</h3>
<p> 「<a href="http://blog.traradio.com/archive/category/『英文翻訳術』を読み返す">『英文翻訳術』を読み返す</a>」シリーズをお読みいただいた方はなんとなく察しが付くかもしれませんが、自分は結構せっかちな性格です。</p>
<p>なにせ終章まで残り20章を残した第2章までで(完)にしてしまうくらいですからね。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="『英文翻訳術』を読み返す(完)282ページ中最初の45ページが大切だという結論 - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http://blog.traradio.com/entry/2018/01/16/translation-method-summary" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/16/translation-method-summary">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p> </p>
<p>Evergreen を素材に英文法について各シリーズは細く長く続けられればと思うのですが、初回で英文法の一番大切な部分はカバーしてしまいたいと思います。</p>
<p>それはずばり、序章「文の成り立ち (わずか7ページ)」と(第1章は飛ばして)第2章「動詞と文型 (24ページ)」の内容になります。</p>
<p> </p>
<h3 id="210個の品詞5個の文の要素5文型">2.10個の品詞、5個の文の要素、5文型</h3>
<p>「<a href="http://blog.traradio.com/entry/English-grammar-translation">英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編</a>」のまとめでも書きましたが、英文法の強力なところは(仮想的にでも)閉じているところ、文型なら5個、品詞なら10個、文の要素なら5個と、選択肢が閉じていて、必ずどれかに当てはまるところだと思います。</p>
<p>列挙すると、</p>
<p><strong>品詞:名詞、冠詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞、助動詞、前置詞、接続し、間投詞の10個</strong></p>
<p>(↓『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864602425/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">Evergreen</a>』に次のように10個すべての品詞を含む例文が掲載されていました。)</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180131230921p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180131/20180131230921.png" alt="f:id:TransRadio:20180131230921p:plain" /></p>
<p> </p>
<p><strong> 文の要素:主部(S)、述部(V)、目的語(O)、補語(C)、修飾語の5個</strong></p>
<p> </p>
<p><strong>5文型:5個(と、There + be 動詞とか)</strong></p>
<p> </p>
<p>そして、この10個の品詞、5個の文の要素、5個の文型という切り分け方が、相互に連関していることがポイントです。</p>
<p>たとえば、5文型の1つ1つの文型は「S+V (+修飾語)」など、文の要素の組み合わせとして表現されます。</p>
<p>また、Evergreen の品詞の説明(pp.11-12)を見るとよく分かるとおり、各品詞ごとにどのような文の要素になれるかが決まっています。</p>
<p>(また、どの品詞とどの品詞がどの順番でくっつけるか・くっつけないかも書いてあります)</p>
<p>品詞識別とは、いってしまえば、品詞⇔文の要素⇔五文型という3種類の切り分け方を行き来しながら、限られた可能性の中で全体の整合性が取れる判断をくだす作業なんですよね。</p>
<p>辞書も参照しますが、辞書でできるのは品詞の絞り込みまでです。</p>
<p>たとえば「cold」は冠詞や助動詞、間投詞、代名詞、接続詞、前置詞ではありえませんが(10個中6個の可能性をつぶしました)、「風邪」の意味の名詞や「寒い」という意味の形容詞の可能性は残ります。</p>
<p>そこから、文の要素や五文型、どのように単語を並べられるか・並べられないかというルールの中で、整合性をとれる解釈を見出すわけです。</p>
<p> </p>
<h3 id="3品詞と文の要素のマトリックス">3.品詞と文の要素のマトリックス</h3>
<p> <img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180131234407p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180131/20180131234407.png" alt="f:id:TransRadio:20180131234407p:plain" /></p>
<p> というわけで、10個の品詞⇔5個の文の要素の連関表を作成しました。</p>
<p>この表の見方はいろいろあると思うのですが、まず、文の要素についていえば「修飾語」という項目だけがふわっとしてますよね。</p>
<p>カテゴリに分けていくと「その他大勢」的なカテゴリができてしまうと思うのですが、修飾語、というのもこうしたその他が放り込まれるゴミ箱的な枠(までいうと失礼ですが)です。</p>
<p>また、10個の品詞が、実はそれほど対等でないことにも目が行くと思います。</p>
<p>接続詞と間投詞がまず毛色が違いますよね。</p>
<p>そして、冠詞と前置詞も、文の要素の中心にならずに「名詞とくっついて」働くという特性があります。</p>
<p>助動詞も動詞のサポート役。</p>
<p>代名詞も、大きくは名詞側ですね。</p>
<p> </p>
<p>興味深いことに、ここで挙げた6つの品詞、接続詞 (50個以内?)、間投詞、冠詞、前置詞 (100個以内?)、助動詞 (15個前後)、代名詞は属する単語の数が限られている品詞でもあります。</p>
<p> </p>
<p>それに対して、名詞、動詞、形容詞、副詞はたくさん存在しますよね。</p>
<p>名詞・代名詞は述部以外で大活躍です(I am a student を「私は学生です」という訳から考えると「学生=student」が述部の構成要素のようですが、ここでの述部はbe動詞の「am」で、「a student」は補語です)。</p>
<p>動詞は、述部担当ですが、動名詞になったり分詞になったりして、述部以外の文の要素にもなれる忍者的なキャラでしょうか。</p>
<p> </p>
<h3 id="終わりに英文法の品詞文の要素文型のシンプルさに奉仕するその他の文法事項たち">終わりに:英文法の品詞・文の要素・文型のシンプルさに奉仕するその他の文法事項たち</h3>
<p>いかがでしょうか? せっかちかつコスパ重視な自分の性格から、可能性が「限られているか?」という観点で10個の品詞、5個の文法要素、5文型という部分にまず着目してみました。</p>
<p>また、品詞の中でも、6個(接続詞、間投詞、冠詞、前置詞、助動詞、代名詞)は単語の数も限られていることにさらっと触れてみました。</p>
<p> </p>
<p>原則のシンプルさを優先したせいで、マトリックスの部分など、やや詰めが甘いと感じられた方もいるかもしれません。</p>
<p>ただ、これは自分の説明不足だけでなく、英文法の本質にも起因する部分があるのかなあと感じています。</p>
<p>たとえば、動詞というと、to不定詞や動名詞、現在分詞や過去分詞といろいろな説明がありましたが、あれもどれも、品詞⇔文の要素⇔五文型のシンプルさを保つために奉仕する補足説明という性格があるのかなあと思います。</p>
<p>形容詞の限定用法と叙述用法とかも、要は、修飾語になるときと補語になるときという区分を説明するものですし。</p>
<p>第2章まで一気に扱う予定でしたが、文型や自動詞・他動詞などの内容は次回(場合によっては次々回)に移そうと思います。</p>
<p>ただ、文型だけを独立して扱ってもあまり意味がないので、品詞⇔文の要素⇔五文型という観点はしっかり引き継ぎたいと思います。</p>
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</div>
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</div>
TransRadio
「maintain a consistent brand identity」などでの形容詞「consistent」の訳語処理
hatenablog://entry/8599973812342404697
2018-01-31T09:18:39+09:00
2018-01-31T09:26:07+09:00 英文法の方の記事も書いていきたいのですが、よい素材となる英文を見つけるのが難しいというのが一番のネックですね。 訳語の選択や翻訳技法の森はオープンエンドなので尻込みする部分もありつつ、ネタは豊富だし、原文を紹介しやすいということで、少し手を染めてみます。 www.ducttapemarketing.com さて、「maintain a consistent brand identity」を素直に訳すと、「一貫したブランドアイデンティティの維持」や「統一されたブランドイメージを維持する」などになるかと思います。 このままでも悪くはないのですが、IT翻訳の中でもマーケティング翻訳としてお値段が高く…
<p><a href="http://blog.traradio.com/entry/English-grammar-translation">英文法の方の記事</a>も書いていきたいのですが、よい素材となる英文を見つけるのが難しいというのが一番のネックですね。</p>
<p>訳語の選択や翻訳技法の森はオープンエンドなので尻込みする部分もありつつ、ネタは豊富だし、原文を紹介しやすいということで、少し手を染めてみます。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="Maintain a Consistent Brand Identity in Social Media" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https://www.ducttapemarketing.com/social-brand-identity/" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.ducttapemarketing.com/social-brand-identity/">www.ducttapemarketing.com</a></cite></p>
<p> </p>
<p>さて、「maintain a consistent brand identity」を素直に訳すと、「一貫したブランドアイデンティティの維持」や「統一されたブランドイメージを維持する」などになるかと思います。</p>
<p>このままでも悪くはないのですが、IT翻訳の中でもマーケティング翻訳としてお値段が高く設定されていたり、原文がより複雑で長いときはもう一歩処理しておきたいという気持ちもあります。</p>
<p> </p>
<p>そういうときに便利なのがこちらの富井篤さんのKindle本で紹介されているような、</p>
<p>英語「形容詞A+名詞B」⇔日本語「名詞B+名詞A」という品詞転換の技術です。</p>
<p> </p>
<div class="amazlet-box" style="margin-bottom: 0px;">
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> </div>
<div>こちらの本では日英翻訳の技術として以下のようなものが紹介されていました。</div>
<div>回路の不良 → Faulty circuit</div>
<div>スイッチの不良 → Defective switch</div>
<div> </div>
<div>この品詞転換を「consistent brand identity」に逆向きに適用してやると</div>
<div>consistent brand identity → ブランドイメージの統一感</div>
<div>という訳語のオプションが得られると思います。</div>
<div> </div>
<div>全体としては「ブランドイメージの統一感の維持」ですね。</div>
<div>「統一されたブランドイメージの維持」とほとんど変わらないように感じられるかもしれませんが、原文の1文が長かったりしたときには、この小さな工夫で他の部分の調整が簡単になるという効果もあります。</div>
<div> </div>
<div>英語「形容詞A+名詞B」⇔日本語「名詞B+名詞A」という品詞転換、意外と効果的なオプション出しの方法なので是非お試しください。</div>
<div>「形容詞」が「過去分詞」の場合などにも使えます。</div>
</div>
TransRadio
英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編
hatenablog://entry/8599973812341981128
2018-01-30T00:44:02+09:00
2018-02-18T17:29:33+09:00 翻訳の話題においては、辞書や翻訳技法がいわば花形で、文法はどちらかといえば地味な存在かもしれません。 一方で、例えば翻訳者の成田あゆみさんは英文法の重要性について次のように述べています。 翻訳において必要な英語力とは、 「原文のすべての語の役割を、論理的に言葉で説明できる」 ということです。 ここでいう「役割」には、ある語が全体の中で持つ意味や、文脈の中での意味ももちろん含まれますが、ここであえて強調したいのは文法的役割です。 翻訳者は、英文法の知識があることが大前提です。 どんな海外経験があってもこの点には例外はないと、経験上断言できます。 文法の重要性は、いくら強調してもしすぎることはあり…
<p>翻訳の話題においては、辞書や翻訳技法がいわば花形で、文法はどちらかといえば地味な存在かもしれません。</p>
<p>一方で、例えば翻訳者の成田あゆみさんは英文法の重要性について次のように述べています。</p>
<blockquote>
<p>翻訳において必要な英語力とは、 「原文のすべての語の役割を、論理的に言葉で説明できる」 ということです。</p>
<p>ここでいう「役割」には、ある語が全体の中で持つ意味や、文脈の中での意味ももちろん含まれますが、ここであえて強調したいのは文法的役割です。</p>
<p>翻訳者は、英文法の知識があることが大前提です。</p>
<p>どんな海外経験があってもこの点には例外はないと、経験上断言できます。</p>
<p>文法の重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。</p>
<p><a href="https://haken.issjp.com/articles/careers/a_narita_06" target="_blank">プロ通訳者・翻訳者コラム | 成田あゆみ先生のコラム 『実務翻訳のあれこれ』 | 第6回:翻訳と文法 |</a></p>
</blockquote>
<p>力強い言葉ですね。</p>
<p>全体の構想はあまり固まっていませんが、これから不定期で何回かに分けて、英日翻訳での誤訳につながりがちなポイントを中心に英文法に関わる記事を書いていきたいと考えています。</p>
<p>第一回目となる今回の記事では、佐藤洋一さんや成田あゆみさんが翻訳者に必要な能力について述べている内容も参考に、英日翻訳における英文法の重要性を確認した上で、IT翻訳の英文から力試し的な品詞識別の例題を紹介してみます。 </p>
<ul class="table-of-contents">
<li><a href="#1そもそも翻訳者にとって必要な能力とは-英文法は必要">1.そもそも翻訳者にとって必要な能力とは? 英文法は必要?</a><ul>
<li><a href="#11佐藤洋一さんが述べる翻訳者に必要な能力">1−1.佐藤洋一さんが述べる翻訳者に必要な能力</a></li>
<li><a href="#12成田あゆみさんが述べる翻訳者に必要な能力">1−2.成田あゆみさんが述べる翻訳者に必要な能力</a></li>
</ul>
</li>
<li><a href="#2品詞識別の力試し問題文">2.品詞識別の力試し:問題文</a></li>
<li><a href="#3品詞識別の力試し解答編">3.品詞識別の力試し:解答編</a></li>
<li><a href="#4ニューラル機械翻訳の実力は">4.ニューラル機械翻訳の実力は?</a></li>
<li><a href="#終わりに収束できる閉じた学習事項としての文法">終わりに:収束できる・閉じた学習事項としての文法</a></li>
</ul>
<p> </p>
<h3 id="1そもそも翻訳者にとって必要な能力とは-英文法は必要">1.そもそも翻訳者にとって必要な能力とは? 英文法は必要?</h3>
<p>ここでは佐藤洋一さんと成田あゆみさんが翻訳者に必要な能力について述べている内容を簡単に確認してみましょう。</p>
<p> </p>
<h4 id="11佐藤洋一さんが述べる翻訳者に必要な能力">1−1.佐藤洋一さんが述べる翻訳者に必要な能力</h4>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180129223517"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180129/20180129223517.png" alt="translation-requirement.png" /></a></p>
<p>「<a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/22/free-translation-course">実務翻訳の基礎を無料で学べるサイトといえばこれ: 佐藤洋一さんに学べ!</a>」という記事でも紹介した『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757406118/transradio-22/ref=nosim/" target="_blank" rel="noopener noreferrer" name="amazletlink">コンピュータ翻訳入門</a>』から抜粋した図です。</p>
<p>シンプルかつ美しいですよね。</p>
<p>この3ステップの中でいえば、原文解釈(読み)の「真意を汲み取る」という作業で英文法は活躍するといえるでしょう。</p>
<p> </p>
<h4 id="12成田あゆみさんが述べる翻訳者に必要な能力">1−2.成田あゆみさんが述べる翻訳者に必要な能力</h4>
<p> 佐藤さんの明快さに対して、成田さんの述べる内容はややウィットに富んでいます。</p>
<blockquote>
<p>翻訳者を志す人が最も知りたいことの一つに 「いったいどのくらいの英語力があれば実務翻訳者になれるのか?」 ということがあるでしょう。</p>
<p>あえて先に答えを申しますと、<br />「原書で小説を楽しめるくらいの語学力があれば実務翻訳はできます。 ただ、日本語の運用力のほうがある意味重要かもしれません」<br />となるかと思います。</p>
</blockquote>
<p>そして、「原書で小説を楽しめるくらいの語学力」とはどれくらいかをもう少し噛み砕くと</p>
<blockquote>
<p>小説を楽しみながら読める程度の単語・文法的知識があること。</p>
<p>「この人は本当は何がいいたいのか」という言外の含みを読み取る力があること。</p>
<p>これらをクリアすれば、実務翻訳に必要な外国語能力はあると言えるでしょう。</p>
</blockquote>
<p>ということになり、やはり「真意の把握」に通じるような文法的知識が必要だとされています。</p>
<p>ここでの成田さんの回答に込められた含意の全体像については、ご自身の「小学校帰国で、大人になってから英文法を叩き直した」経験も含め、かなり読み応えのある記事にまとめられていますので、是非<a href="https://haken.issjp.com/articles/careers/a_narita_06" target="_blank">元の記事</a>で確認してもらえればと思います。</p>
<p> </p>
<h3 id="2品詞識別の力試し問題文">2.品詞識別の力試し:問題文</h3>
<p>それでは、「原文のすべての語の役割を、論理的に言葉で説明できる」 状態への第一歩として、次の例文の品詞識別を行ってみたいと思います。</p>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180129234938"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180129/20180129234938.png" alt="question.png" /></a></p>
<p>いかがでしょう? すらすらと各単語の品詞が判断できるでしょうか?</p>
<p>「XYZ」は製品名として固有名詞扱いとしてください。</p>
<p>また、今回ポイントでない箇所は先に答えを言ってしまうと、「up」は前置詞ではなく副詞、「whrein」も関係副詞(副詞)となります。</p>
<p>参考までに、Excite翻訳では「XYZデータは、XYZ DataNodesストリームデータが複数のバックアップホストに同時に塞ぐ平行したストリームにバックアップされる。」といった日本語訳が得られました。</p>
<p> </p>
<p>ある程度品詞の識別に慣れている方なら次の段階まではすらすらと判断できるのではないかと思います。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180129235914p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180129/20180129235914.png" alt="f:id:TransRadio:20180129235914p:plain" /></p>
<p>そして、関係副詞 wherein の後なので「stream data blocks」のどこかに動詞が隠れているはずなのですが。。。</p>
<p>解答編に移る前に、品詞識別と合わせて、ざっくりとした訳文まで作成するとなおよいかもしれません。</p>
<p> </p>
<h3 id="3品詞識別の力試し解答編">3.品詞識別の力試し:解答編</h3>
<p>さて、wherein の後続節の動詞は見分けられたでしょうか。</p>
<p>simultaneously が副詞であることから blocks を動詞と判断して、「同時に遮断する・ブロックする」のような意味に解した方も多いかもしれません。</p>
<p>そうすると、「XYZ DataNodes stream data」が長い主語ということになり、blocks と三単現の s がつくことまで一見整合性がつきます。</p>
<p>(data は複数形では?、という方はこちら→<a href="http://www.ytrans.com/Jeff HP_26_091008.html" target="_blank">翻訳会社 | 山田翻訳事務所 | JeffのEnglish Tips| 第26回:「Data is」それとも「Data are」?</a>)</p>
<p>しかし、この解釈では、通常他動詞である block の目的語、「何を」遮断するのかという部分が文章から欠落していることになってしまいます。</p>
<p>block を自動詞と捉える道も残されていますが、ここではあてはまりません。</p>
<p> </p>
<p>いかがでしょう?</p>
<p>正解を述べてしまうと、実は <strong>stream</strong> が「XYZ DataNodes」を主語、「data blocks」を目的語に取る動詞だったんですね。</p>
<p>結構惑わされたという人も多かったのではないでしょうか。</p>
<p> </p>
<h3 id="4ニューラル機械翻訳の実力は">4.ニューラル機械翻訳の実力は?</h3>
<p> 最初に挙げたエキサイト翻訳も含め、2018年1月30日時点での自動翻訳結果をいくつか紹介してみますね。</p>
<p> </p>
<p>エキサイト翻訳<br />「XYZデータは、XYZ DataNodesストリームデータが複数のバックアップホストに同時に<span style="text-decoration: underline;"><strong>塞ぐ</strong></span>平行したストリームにバックアップされる。」</p>
<p> </p>
<p>Infoseek 翻訳<br />「XYZデータは、XYZ DataNodesストリームデータが複数の予備ホストに同時に<span style="text-decoration: underline;"><strong>ブロックする</strong></span>平行流れでバックアップされます。」</p>
<p> </p>
<p>Weblio 翻訳</p>
<p>「XYZ DataNodesストリームデータが複数の予備ホストに同時に<span style="text-decoration: underline;"><strong>ブロックする</strong></span>平行流れで、XYZデータはバックアップされます。」</p>
<p> </p>
<p>各翻訳サービスともに、ことごとく blocks を動詞だと解釈してしまっています。</p>
<p> </p>
<p>こうなると気になるのが Google 翻訳や Microsoft Translation などの最新のニューラル翻訳の精度ですよね。</p>
<p>次のような結果が得られました。</p>
<p> </p>
<p>Google 翻訳</p>
<p>「XYZデータは並列ストリームでバックアップされます。ここでは、XYZ DataNodesは<strong><span style="text-decoration: underline;">データブロックを</span></strong>複数のバックアップホストに同時に<strong><span style="text-decoration: underline;">ストリームします</span></strong>。」</p>
<p> </p>
<p>Bing 翻訳(Microsoft Translator)</p>
<p>「XYZ データは並列ストリームでバックアップされ、XYZ データは<span style="text-decoration: underline;"><strong>データブロックを</strong></span>複数のバックアップホストに同時に<strong><span style="text-decoration: underline;">ストリーミングします</span></strong>。」</p>
<p> </p>
<p>どちらも、stream が動詞であることがきっちり反映されたと感じられる訳文になってますよね。</p>
<p>正直、今回の記事を準備するうえで一番驚いたのはこのポイントでした。</p>
<p>いたるところで言われていると思いますが、ニューラル機械翻訳、すでにかなりの実力です。</p>
<p> </p>
<h3 id="終わりに収束できる閉じた学習事項としての文法">終わりに:収束できる・閉じた学習事項としての文法</h3>
<p>翻訳者にとって英文法は必要か?という問いから入って、 「原文のすべての語の役割を、論理的に言葉で説明できる」 状態への第一歩として IT 系の文章の品詞識別を行ってみました。</p>
<p>英文法には自信があるという方でも、stream が動詞であるという解釈にたどり着けた方は意外と少なかったのではないでしょうか。</p>
<p>これから、こうした誤りやすい・解釈ミスにつながりやすい文法事項を、翻訳技法や訳語選定の一歩手前の技術として少しずつ取り上げていければなあと考えています。</p>
<p> </p>
<p>ここで、なぜ英文法なのかという部分をもう少しだけ述べると、五文型や品詞の分類が典型的ですが、文法では考えうるオプションの数が閉じているという点が翻訳学習上のポイントだと思います。</p>
<p>構文も、数自体は多いですが、閉じれる学習項目だと思います。</p>
<p>これに対して、単語ごとの語法であったり、辞書的な意味という部分は、オープンエンドですよね。</p>
<p>まだまだキャリアの浅い自分にとってこのオープンエンドの領域に踏み出すのは荷が重いかなというのが一点。</p>
<p>そして、網羅できる・収束させられる・閉じれる内容をしっかり閉じることが、翻訳者としてスタートラインに立つ一つの近道なのではという思いから、英文法としばらく付き合ってみたいと思います。</p>
<p> </p>
<p> </p>
TransRadio
Watch の訳語は常に「視聴する」でよいのか問題: プロジェクト管理ツールの Trello
hatenablog://entry/8599973812341238302
2018-01-27T20:05:00+09:00
2018-01-27T20:05:00+09:00 ブログ開設当初ってこまごまとしたタスクが発生しますよね。 会社での導入検討も兼ねて、今回、プロジェクト管理のTrelloを一人で試してみてます。 (会社では Office 365 の Planner を使ってますが、本格運用ではないです) Trelloは、ツールとかチームの仕組みづくりについて勉強したくてちょくちょく覗いている Seleck なんかで見つけて気になっていたプロジェクト管理ツールです。 seleck.cc seleck.cc (画像はSeleck記事より) こんな感じでいわゆるカンバン方式でタスクを管理できます。 タスクの作成と移動が本当にシンプルに、サクッとストレスなくできると…
<p>ブログ開設当初ってこまごまとしたタスクが発生しますよね。</p>
<p>会社での導入検討も兼ねて、今回、プロジェクト管理のTrelloを一人で試してみてます。</p>
<p>(会社では Office 365 の Planner を使ってますが、本格運用ではないです)</p>
<p> </p>
<p>Trelloは、ツールとかチームの仕組みづくりについて勉強したくてちょくちょく覗いている Seleck なんかで見つけて気になっていたプロジェクト管理ツールです。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="SELECK [セレック]|生産性を高めるためのメディア" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fseleck.cc%2F" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://seleck.cc/">seleck.cc</a></cite></p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="無料&日本語化!「Trello」でタスク管理がラクになる!使い方・始め方を解説します | SELECK" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fseleck.cc%2F610" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://seleck.cc/610">seleck.cc</a></cite></p>
<p><a href="https://dvljqgv78zqdf.cloudfront.net/e7b66721-637a-4779-8607-3b78c64c2f26.jpg" class="http-image" target="_blank"><img class="http-image" src="https://dvljqgv78zqdf.cloudfront.net/e7b66721-637a-4779-8607-3b78c64c2f26.jpg" alt="https://dvljqgv78zqdf.cloudfront.net/e7b66721-637a-4779-8607-3b78c64c2f26.jpg" /></a></p>
<p>(画像はSeleck記事より)</p>
<p>こんな感じでいわゆるカンバン方式でタスクを管理できます。</p>
<p>タスクの作成と移動が本当にシンプルに、サクッとストレスなくできるところはかなり気に入っています。</p>
<p>また、個々のタスクの中に入ると、小さいチャットを展開できて、ぽんぽんコメントを投稿・追加できるところも個人的には二重丸ポイントです。</p>
<p>アイディアを膨らませたり、タスクを進めていく過程で進捗や分かったことを気軽にコメントとして残せるので。</p>
<p> </p>
<p>ですが、、1つだけ問題がありまして。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180127123853p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180127/20180127123853.png" alt="f:id:TransRadio:20180127123853p:plain" /></p>
<p>こちら、「視聴する」は相当に違和感がありませんか?</p>
<p>原文は「Watch」なんですけど、タスク管理とかチケット系とかでは「視聴する」が定訳なんですかね?</p>
<p>個人的には、「監視する」は硬すぎる・重すぎるので、「ウォッチする」や「ウォッチ対象に追加」、もしくは「自分をウォッチャーに追加」などを提案したいところですが。。</p>
<p>(「変更通知を受け取る」くらいのカスタマイズも可能ですが、そうすると他の箇所で「Watch・Watcher」関連の表現が出てきたときに整合性を取らなければならなかったりと、翻訳のメンテの負担が増えます。)</p>
<p>Trelloの中の人やTrelloに近い人、どうにかなりませんでしょうか?</p>
<p> </p>
<p>似たところでは「Recording」も鬼門ですね。</p>
<p>音声じゃなくてデータ記録なのに「録音」になってたり。</p>
<p>レコーディング記録の一覧へのリンクなのに「レコーディング中」と訳されてて、「えっ、いつレコーディング開始ボタンなんて押した?」と少しパニくったり。</p>
<p> </p>
<p>こういった事態を防ぐためにも、UIの翻訳のを依頼する際にはに是非、翻訳プロセス後に、スクリーンショット上でのチェック・レビューを設けた方がよいかと思います。</p>
<p>英語版のスクリーンショットの事前支給も悪くはないのですが、うまくやらないと翻訳者の負担がすごく大きいです。</p>
<p>テキスト検索できない画像を100枚超えて渡しても活用は難しいでしょう。</p>
<p>その辺、Crowdinなんかは一つの文ごとにスクリーンショットを添付して、不明点があればセンテンスに直接コメントを投稿してチャット的に解決できるので、UI翻訳のプラットフォームとして最近注目しています。</p>
<p>(大規模なドキュメントなんかの翻訳には、オンラインのプラットフォームよりローカルのCATツールの方が向いているかなあというのが現時点での印象です。)</p>
TransRadio
名詞の「Cross」は「十字」ですが、これを敷き詰めたときに適切な訳語は?
hatenablog://entry/8599973812341095715
2018-01-26T21:11:58+09:00
2018-01-29T22:17:08+09:00 IT翻訳なのこれ?、と思われるかもしれませんがれっきとしたIT翻訳です。 Excelの円グラフなどで、各部分を塗りつぶす(Solid)ときのパターン名を翻訳するような場面を創造してみてください。 「十字模様」は不正解ですよ。 "十字模様"で画像検索すると、上のようなパターンに該当するようです。 敷き詰めたという表現で意図していたのは こちらになります。 こうした模様に適切かつ、チェック柄ほどくだけすぎていない表現といえば、そう、「格子」ですね。 関連する模様の訳語を追いかけていた時に、なるほどねとメモったのですが、個人的に興味深いのは「crosses」と複数形にするのでなく「cross」と単数…
<p>IT翻訳なのこれ?、と思われるかもしれませんがれっきとしたIT翻訳です。</p>
<p>Excelの円グラフなどで、各部分を塗りつぶす(Solid)ときのパターン名を翻訳するような場面を創造してみてください。</p>
<p>「十字模様」は不正解ですよ。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B075GDZYSP/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank"><img style="border: none;" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41NWoCiApIL.jpg" alt="エムール フリース生地 こたつ布団カバー こたつカバー 正方形 十字ネイビー" /></a></p>
<p>"十字模様"で画像検索すると、上のようなパターンに該当するようです。</p>
<p> </p>
<p>敷き詰めたという表現で意図していたのは</p>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180126211959"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180126/20180126211959.jpg" alt="cross-pattern.jpg" /></a></p>
<p> こちらになります。</p>
<p> </p>
<p>こうした模様に適切かつ、チェック柄ほどくだけすぎていない表現といえば、そう、「格子」ですね。</p>
<p>関連する模様の訳語を追いかけていた時に、なるほどねとメモったのですが、個人的に興味深いのは「crosses」と複数形にするのでなく「cross」と単数形のまま不定冠詞の「a」をつけずに模様の名前として抽象的に用いることで、日本語での「格子」にあたる模様を指示できることです。</p>
<p>英語っぽいなあと思います。</p>
<p> </p>
<p>ちなみに、IT翻訳で不明な用語が出てきたときに、最低限を確保するために真っ先に当たってみるサイトといえばこちら</p>
<p><a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language">マイクロソフト | ランゲージ ポータル</a></p>
<p>「cross」で検索をかけると「格子」もしっかり出てきました。</p>
<p> </p>
<p>ちなみに、こちらのMSの用語集で見つかる「cross」1単語の訳語はいくつくらいか想像できますか?</p>
<p>狙ったみたいですが、その数10個です。</p>
<p>交差、十字形、二段、Cross、十字、×マーク、クロス、格子、連係、クロスカントリー</p>
<p> </p>
<p>英語力、日本語力とはまた別に、リサーチ力や判断力も求められるIT翻訳の一面をお伝えできていれば幸いです。</p>
<p> </p>
<p>それと、<a href="https://www.microsoft.com/ja-jp/language">MSランゲージポータル</a>は、英日だけでなく、製品を絞り込んだうえで日英方向で引くこともできるので、海外の同僚などとメールしていて「○○」という機能をオンにしてほしいんだけどなんていうんだっけ?というときにも活用できます。</p>
<p>たとえば、「変更履歴」も元の英語はさまざまだったりしますが、Wordだと「Track Changes」function といったケースですね。</p>
<p>こちらも何かの折に是非活用してみてください。</p>
TransRadio
意見の対立(Conflict)を多面性への資源として活用してハッピーになる
hatenablog://entry/8599973812340875830
2018-01-25T22:54:16+09:00
2018-01-25T23:03:08+09:00 コンフリクト、日本人は扱うのが苦手だという話もありますね。 ただ、意見の対立が生じたとき、「消耗させられるな、嫌だな」と捉えるか、「チャンスだ」と捉えるかで、気持ちの持ちようもずいぶん変わってくるのではないでしょうか。 ダイバーシティ・多様性の考え方にも通じるポイントですね。 自分がコンフリクトをポジティブに捉えられるようになったきっかけになった本から紹介します。 1.コンフリクトってネガティブなものなの? 2.「あっ、これってコンフリクトだな」と名前を付けるだけでも効果あり 3.綺麗ごとではない功利的な観点から 4.気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス 終わりに:コンフリ…
<p>コンフリクト、日本人は扱うのが苦手だという話もありますね。</p>
<p>ただ、意見の対立が生じたとき、「消耗させられるな、嫌だな」と捉えるか、「チャンスだ」と捉えるかで、気持ちの持ちようもずいぶん変わってくるのではないでしょうか。</p>
<p>ダイバーシティ・多様性の考え方にも通じるポイントですね。</p>
<p>自分がコンフリクトをポジティブに捉えられるようになったきっかけになった本から紹介します。</p>
<ul class="table-of-contents">
<li><a href="#1コンフリクトってネガティブなものなの">1.コンフリクトってネガティブなものなの?</a></li>
<li><a href="#2あっこれってコンフリクトだなと名前を付けるだけでも効果あり">2.「あっ、これってコンフリクトだな」と名前を付けるだけでも効果あり</a></li>
<li><a href="#3綺麗ごとではない功利的な観点から">3.綺麗ごとではない功利的な観点から</a></li>
<li><a href="#4気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス">4.気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス</a></li>
<li><a href="#終わりにコンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事">終わりに:コンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事</a></li>
</ul>
<p> </p>
<h3 id="1コンフリクトってネガティブなものなの">1.コンフリクトってネガティブなものなの?</h3>
<p>タイトルだけからは想像がつかないかもしれませんが、コンフリクトに対する考えが明るくなったのは次の本がきっかけです。</p>
<div class="amazlet-box" style="margin-bottom: 0px;">
<div class="amazlet-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532110262/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank"><img style="border: none;" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41JQAFMN2JL.jpg" alt="ファシリテーション入門 (日経文庫)" /></a></div>
<div class="amazlet-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;">
<div class="amazlet-name" style="margin-bottom: 10px; line-height: 120%;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532110262/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">ファシリテーション入門 (日経文庫)</a>
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</div>
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> </div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;">日経文庫シリーズ、結構好きなんですが、早速引用しますね。</div>
</div>
<blockquote>
<p>Ⅳ 合意形成のスキル――まとめて分かち合う</p>
<p><strong>2.協調的にコンフリクトを解消する</strong></p>
<p>コンフリクトが創造性を生み出す</p>
<p>人と人とが集まって話をするとなると、必ずそこに意見や意識の食い違い(ギャップ)が生まれます。互いに関わり合いがなければ、ギャップがあっても何も問題ありません。しかし、意見を調整して共通の目標を達成しようとすると、そうはいきません。多くの場合、対立を生み出すもとになり、対立を解消しないと目的が達成できなくなってしまいます。</p>
<p>(中略)</p>
<p><strong>初めに覚えておいてほしいのですが、コンフリクトは決して悪いものではありません。</strong>どちらかといえば、私たち日本人はコンフリクトを扱うのが苦手です。和を大切にするあまり、できるだけコンフリクトを避けようとします。有っても無いような態度をとったり、安易に妥協して対立をなくしてしまおうとしたりするのです。</p>
<p>しかしながら、<strong>これではせっかくのコンフリクトのよさが活きてきません。</strong>コンフリクトは、チームに新しい視点と緊張感を与えてくれます。コンフリクトを解消しようと、<strong>多面的な角度からアイデアが出され、</strong>ありとあらゆる選択肢が検討されます。そのおかげで、モレやヌケのない創造的なアイデアが生み出されていくのです。</p>
<p>ファシリテーターは<strong>コンフリクトを前向きにとらえ、それをプラスの価値へと転化</strong>していかなければなりません。</p>
</blockquote>
<p>いかがでしょうか?</p>
<p>自分はこの一節を読んで、「コンフリクト、ありだな」と思えました。</p>
<p>個人的な事情になりますが、チームがちょっとぎくしゃくして、人生初の太田胃酸を飲みながら頑張っていた時期だったので、「コンフリクト、ありじゃん」と思えたことで気持ちを立て直せた部分がありました。</p>
<p>(だからか、釣りバカ日誌2の課長には少し感情移入しちゃうんですよね。太田胃酸飲んでることくらいしか共通点ないですが 笑)</p>
<p> </p>
<h3 id="2あっこれってコンフリクトだなと名前を付けるだけでも効果あり">2.「あっ、これってコンフリクトだな」と名前を付けるだけでも効果あり</h3>
<p>タイトルで出落ちですが、コンフリクトの状況でどんどん気持ちが消耗しているときって、なにが原因かすら分かってないときとか、特定の個人にマイナスな感情を向けてしまっているときがあります。</p>
<p>それが「これってコンフリクトだったのか」と思えるだけでも、自分と相手を外から眺めるような視点を獲得できるはずです。</p>
<p>(とまでいうと大袈裟かもしれませんが 笑)</p>
<p>また、チーム内でも「今コンフリクトに入ったな」という認識を共通して持つことができ、しかも「それってチャンスだ」という気持ちを揃えることができれば、すごくチーム力が向上しますよね。</p>
<p>そして、こういうときは「コンフリクト」というカタカナ語の方が、重い意味がなく使えて便利かなとも思います。</p>
<p> </p>
<h3 id="3綺麗ごとではない功利的な観点から">3.綺麗ごとではない功利的な観点から</h3>
<p>「みんな違ってみんないい」みたいな考え方は、メリットの有無の前に、小さな頃から押し付けられるせいでアレルギー反応が出てしまう人もいるかもしれません。</p>
<p>自分もどちらかというとそういうタイプです。</p>
<p>でも、いったん「自分の意見を押し通す」という部分を離れて、あるトピックについて、自分がマネージャーの立場で人を集めて意見を聞こうと思ったらどういう人を集めますか?</p>
<p>自分の中に密かな腹案があるような場合を除けば、当然、偏りすぎないように色んな人を集めますよね。</p>
<p>これなんですよ。</p>
<p>コンフリクトがあるって、この「色んな人を集めた」が実現している証拠なんです。</p>
<p>だから、「あっ、今チームとして強くなる素地がある」って思っていいんです。</p>
<p>逆に、「コンフリクト、嫌だな」という気持ちがある原因は、大きなゴールよりも自分の「我」を優先する気持ちが生じてしまっているせいかもしれません</p>
<p> </p>
<h3 id="4気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス">4.気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス</h3>
<p>「あっ、今コンフリクトだな」という状況認識をするだけで、 不思議なほど気持ちがフラットになるという効果があります。</p>
<p>翻訳やレビューなどの作業は、自分が未熟者のせいか、意外なほど感情面の波にスピードが左右されてしまったりします。</p>
<p>そうした波の揺れ幅を鎮める効果だけでも、「コンフリクト→資源」という発想の回路を持つことにはメリットがあるかなと思います。</p>
<p>メールベースのやり取りが多い翻訳関係の職種だと、コミュニケーションが変にこじれてしまったりするので、日々のストレスを減らす上でも、「あっ、今コンフリクト」メソッドを是非お試しください。</p>
<h3 id="終わりにコンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事">終わりに:コンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事</h3>
<p>いくつか関連記事を紹介します。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="英文メールを書くときに「フリーズ」しなくてよくなる一冊: 3文で書こう - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F13%2Fwriting-english-email" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/13/writing-english-email">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>3文で書くメソッドには「理由も添える」ことで、意見や立場・観点の違いをポジティブな意味で明確にする効果と、「3文に留める」ことで感情的にもつれさせない効果の両方があるかなと思います。</p>
<p> </p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="夜中にミルクを買ってきてと頼む大切さ: パートナーシップでもお仕事でも - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F17%2Fclarifying-your-wants" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/17/clarifying-your-wants">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p> また、コンフリクトとは異なりますが、自分のWant、自分のHappyな方向を「伝える」ことはパートナーシップでもお仕事でも大切ですよね。</p>
<p>相手もエスパーではないので。</p>
<p> </p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="翻訳者が日本語ノンネイティブのクライアントやPMとやり取りした例を公開してみるよ - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F23%2Fnon-native-client" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/23/non-native-client">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>日本的な「阿吽の呼吸」が通じない相手だからこそ、日々のコンフリクトから受けるストレスを最小限に抑え、それをより大きなゴールで成果を出すための資源にしていきたいですよね。</p>
<p> </p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか? - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F10%2Fobjectivity-translation-work" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/10/objectivity-translation-work">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p>最後に、自分の翻訳を客体化できているかというポイントは、意外と今回の話と重なるのかなと思いました。</p>
<blockquote>
<p><span style="color: #454545; font-family: -apple-system, BlinkMacSystemFont, 'Helvetica Neue', 'Hiragino Sans', 'Hiragino Kaku Gothic ProN', '游ゴシック Medium', meiryo, sans-serif; font-size: 15.2px; font-style: normal; font-variant-ligatures: normal; font-variant-caps: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; orphans: 2; text-align: start; text-indent: 0px; text-transform: none; white-space: normal; widows: 2; word-spacing: 0px; -webkit-text-stroke-width: 0px; background-color: #ffffff; text-decoration-style: initial; text-decoration-color: initial; display: inline !important; float: none;">いったん作成したプロダクトを客観的に見ることができるようになると、とても楽になります。「そのプロダクトの品質と自分の価値は無関係」と考えれば、プロダクトに何を言われても平気です。むしろ、プロダクトの欠陥を検出できることを望むようになります。</span> </p>
</blockquote>
<p> うん、やっぱり今回の内容と近い。</p>
<p>『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774140198/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない</a>』は翻訳者の方が自分を客観視するのにちょうどよい本だと思うので是非!</p>
TransRadio
翻訳者が日本語ノンネイティブのクライアントやPMとやり取りした例を公開してみるよ
hatenablog://entry/8599973812340371443
2018-01-24T01:10:49+09:00
2018-01-24T01:36:25+09:00 英日翻訳者の納品物を受け取る相手が「日本語を分からない」という事態が生じるかもしれない近未来について考えてみました。 1.MLV (Multi Language Vendor) の進出 2.出版取次のように「日本国内の翻訳会社」のプレゼンスも低下する? 3.翻訳者とノンネイティブの依頼者が直接つながる未来 ちょっと休憩:翻訳者にもシステム開発での「要件定義」に近いスキルが必要? 4.ノンネイティブ向けに日本語翻訳者がコミュニケーションしている実例を公開 5.プロジェクト内の時期によってもベストなやり取りは異なる 終わり:日本回帰の動きの紹介とおすすめ本2冊 1.MLV (Multi Langu…
<p>英日翻訳者の納品物を受け取る相手が「日本語を分からない」という事態が生じるかもしれない近未来について考えてみました。</p>
<ul class="table-of-contents">
<li><a href="#1MLV-Multi-Language-Vendor-の進出">1.MLV (Multi Language Vendor) の進出</a></li>
<li><a href="#2出版取次のように日本国内の翻訳会社のプレゼンスも低下する">2.出版取次のように「日本国内の翻訳会社」のプレゼンスも低下する?</a></li>
<li><a href="#3翻訳者とノンネイティブの依頼者が直接つながる未来">3.翻訳者とノンネイティブの依頼者が直接つながる未来</a></li>
<li><a href="#ちょっと休憩翻訳者にもシステム開発での要件定義に近いスキルが必要">ちょっと休憩:翻訳者にもシステム開発での「要件定義」に近いスキルが必要?</a></li>
<li><a href="#4ノンネイティブ向けに日本語翻訳者がコミュニケーションしている実例を公開">4.ノンネイティブ向けに日本語翻訳者がコミュニケーションしている実例を公開</a></li>
<li><a href="#5プロジェクト内の時期によってもベストなやり取りは異なる">5.プロジェクト内の時期によってもベストなやり取りは異なる</a></li>
<li><a href="#終わり日本回帰の動きの紹介とおすすめ本2冊">終わり:日本回帰の動きの紹介とおすすめ本2冊</a></li>
</ul>
<h3 id="1MLV-Multi-Language-Vendor-の進出">1.MLV (Multi Language Vendor) の進出</h3>
<p>このブログを始めてよかったことの一つは、自分も翻訳関係の記事を読む機会が増えたことです。</p>
<p> いろいろな話題がありますが、MLV (Multi Language Vendor) ということばを目にする回数が、少しずつ翻訳界隈で増えているかもしれません。</p>
<blockquote cite="http://hsetoguchi.hatenablog.com/entry/2014/02/01/151736" data-uuid="8599973812340338534">
<p>大陸勢のMLV(多言語翻訳会社)による単価の切り下げが厳しく、翻訳会社としてもなかなか高額の単価は提示しにくい状況になってきているようです。</p>
<cite><a href="http://hsetoguchi.hatenablog.com/entry/2014/02/01/151736">東芝を辞めてDeNAを辞めて、フリーランスになって1年が過ぎました - hsetoguchiの日記</a></cite></blockquote>
<p> </p>
<blockquote cite="http://jacquelinet.hatenablog.com/entry/20130723/p1" data-uuid="8599973812340340712">
<p>最近では、私のところにくる翻訳の仕事のかなりの部分が、ソースクライアント→MLV→日本国内の翻訳会社→私という流れになっています。間にMLVが入っても入らなくても、直接の取引先である翻訳会社との仕事のやり方はほとんど変わらないのですが、時々MLVからのフィードバックというのを見せられて、これに合わせてくださいと言われて困ってしまうことがあります。なぜなら、フィードバックに書かれている推奨訳が変な訳だったりするからです。どのように変かというと、これまでにここに書いたような感じのものです。</p>
<cite><a href="http://jacquelinet.hatenablog.com/entry/20130723/p1">中間ベンダーによるレビューの意義 - IT翻訳者の疑問</a></cite></blockquote>
<p> 「IT翻訳者の疑問」では他にもいくつかMLVに言及のある記事がありました: <a href="http://jacquelinet.hatenablog.com/search?q=MLV">MLV の検索結果 - IT翻訳者の疑問</a> </p>
<p> </p>
<h3 id="2出版取次のように日本国内の翻訳会社のプレゼンスも低下する">2.出版取次のように「日本国内の翻訳会社」のプレゼンスも低下する?</h3>
<p>そしてもしかすると、日本における書籍の販売形態の変化(出版取次のプレゼンスの低下)と同じように、MLVと翻訳者の間にいる「日本国内の翻訳会社」のプレゼンスが低下する未来も近いのかもしれません。</p>
<p>これがポジティブな未来かそうでないかは分かりませんが、大きな変化になるであろうことは確かです。</p>
<p>そして、見逃せない変化として、翻訳者から納品物を受け取る相手が「日本語を分からない」という事態が今より広範に生じるようになるかもしれません。</p>
<p> </p>
<h3 id="3翻訳者とノンネイティブの依頼者が直接つながる未来">3.翻訳者とノンネイティブの依頼者が直接つながる未来</h3>
<p>少し前に検索で見つけてめちゃくちゃ面白かった記事が、自分のアプリをGengoという翻訳プラットフォームを使用して<span style="color: #555555; font-family: Lato, 'Helvetica Neue', sans-serif; font-size: 17.2px; font-style: normal; font-variant-ligatures: normal; font-variant-caps: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; orphans: 2; text-align: left; text-indent: 0px; text-transform: none; white-space: normal; widows: 2; word-spacing: 0px; -webkit-text-stroke-width: 0px; background-color: #ffffff; text-decoration-style: initial; text-decoration-color: initial; display: inline !important; float: none;">英語、中国語(簡体)、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、中国語(繁体)、韓国語、ポルトガル語、インドネシア語の9言語に翻訳したこちらの記事なのですが</span> <iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="gengoとScreenshotBuilderとfastlaneで、AppStoreのローカライズがめちゃくちゃ楽になった" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fumenon.com%2F2016%2F02%2F15%2Flocalize%2F" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://umenon.com/2016/02/15/localize/">umenon.com</a></cite></p>
<p>ここでうめもんさんから英語で「このスペイン語、メキシコのストアでそのまま使ってもいいかな?」と尋ねられてるスペイン語翻訳者や、 「すいません、ドイツ語だと長すぎて、こんな感じで二段落に収まらなかったんだけど、短くできないもんでしょうか?」と尋ねられてるドイツ語翻訳者に近い立ち位置に、日本語翻訳者も変化していくのかもしれませんね。</p>
<p>(うめもんさんはコストの観点から、韓国語と中国語以外、まず日英翻訳をかけて、それから英語原文で各国語に翻訳されたそうです。)</p>
<p> </p>
<h3 id="ちょっと休憩翻訳者にもシステム開発での要件定義に近いスキルが必要">ちょっと休憩:翻訳者にもシステム開発での「要件定義」に近いスキルが必要?</h3>
<p>翻訳者には良くも悪くも「よい翻訳」は翻訳者が決められる、という感覚があるのかもしれません。</p>
<p>でも、システム開発の現場で(といってもシステム開発職で就業したことないですが)「よい製品とは何か?」を開発側が勝手に決めて、「この機能は要件になかったですがあった方がよいと思って勝手につけときました。工数はこれだけ余計にかかりました」とかやったらおそらく大問題ですよね。</p>
<p>(余談ですが、友達とご飯に行って、システム開発関係での訴訟は金額がエグいという話を聞きました)</p>
<p>これまで、日本語の分かる翻訳会社の担当者とやり取りしていたから顕在化しなかった「要件定義」のすり合わせに近い部分が、知識量などのギャップが大きいノンネイティブの依頼者とやり取りするうえでは必要になってくるのかもしれません。</p>
<p>(また、この辺、翻訳という業務の種類にも関わりそうです。委託業務なのかとか。検収方法や時期は設定されているのかとか。こういう契約関係も一度しっかり勉強してみたいです)</p>
<p> </p>
<h3 id="4ノンネイティブ向けに日本語翻訳者がコミュニケーションしている実例を公開">4.ノンネイティブ向けに日本語翻訳者がコミュニケーションしている実例を公開</h3>
<p>実例そのままはさすがにまずいので、実例に近い類似例を作成しました。 </p>
<p>統計関連のソフトのローカライズで、今走りつつあるプロジェクトで、既訳から用語集の作成を依頼されたと想像してみてください。</p>
<p>担当者とやりとりするうちに、既訳内のブレ・不統一は、細かく報告しなくても、基本的に私の方の判断で数が多い方であったり妥当な方を用語集に登録すればよいという確認が取れました。</p>
<p>ただ、その上で、これはクライアントに確認とっておいた方がよいなというものが1件見つかりました。</p>
<p> 主な症状としては、continuous predictor の訳がぶれてるよ、という部分なのですが、なぜ既訳のブレが生じているのか次の表にまとめてみました。</p>
<p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:TransRadio:20180124001350p:plain" src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180124/20180124001350.png" alt="f:id:TransRadio:20180124001350p:plain" /></p>
<p>ノンネイティブの中でも、漢字が分かる担当者(中国、香港、台湾やシンガポールなど)じゃないと厳しいかなと思いつつ、色分けしてみたり。</p>
<p>要は、covariates≒continuous predictor なので同じ訳語を当てるのもよいのだけど、UIなので、predictor の訳語を統一するメリットもあるよという感じですね。</p>
<p>こういう、一長一短というケース、ブレやすいです。</p>
<p>なので、クライアントにしっかり背景も理解していただいたうえで、どちらがよいか決めてもらおうと考えたケースでした。</p>
<p>選択肢も箇条書きで、Plan A: covariates と同じ訳語を適用、Plan B: continuous と predictors を組み合わせた訳語を適用、と記載しました。</p>
<p>ちなみに、ここから、「1語に絞らないで文脈ごとに適用して」という方向に話が転ぶなどの可能性もありますが、その場合はそこから「この納期で文脈ごとの適用は、そこにばかり労力が集中して全体の品質が落ちます」などのやり取りに展開していくかもしれません。</p>
<p> </p>
<h3 id="5プロジェクト内の時期によってもベストなやり取りは異なる">5.プロジェクト内の時期によってもベストなやり取りは異なる</h3>
<p>ここでは、今走りつつあるプロジェクトの用語集作成過程での疑問点ということで、丁寧めなクエリの挙げ方をしましたが、last minute なら「えいやっ」で翻訳者判断を発揮して納品時に報告という場合もあるかもしれません。</p>
<p>でも、新人にとっては last minute に思える場面でも、ベテランのローカライゼーションスペシャリストは「次のあそこのフェーズか、最悪あそこでも修正入れれる」とか考えてたりするようです。おそろしい(いい意味で)。</p>
<p> </p>
<h3 id="終わり日本回帰の動きの紹介とおすすめ本2冊">終わり:日本回帰の動きの紹介とおすすめ本2冊</h3>
<p>どうでしたでしょうか?</p>
<p>こういう内容で本当に役に立つのかなという疑問もありつつ、割とおそるおそる書いてみました。</p>
<p>現場的にはホットな話題なのではないかとも思います。</p>
<p> </p>
<p>また、品質を求めるクライアントによる「日本回帰」という動きもあるようです。</p>
<p>翻訳の未来は単純に1点には収束しないだろうという見方には賛成です。</p>
<blockquote cite="https://terrysaito.com/2014/08/02/translated_in_japan/">
<p>最近、何社かの翻訳会社の方とお話しする機会があり、話題は自然と単価、と言うか業界の状況についての話しになるのだが、その中で感じているのは「日本回帰」。</p>
<p>コスト下げを狙って新興国の翻訳会社と手を組み、例えば中国の翻訳会社や翻訳者が翻訳を行う事で、翻訳コストを抑えようとする動きが業界的に加速しているのだが、最近では「翻訳の質」と「機密情報流出」の問題から、そういった新興国の翻訳会社、もしくは翻訳者へ翻訳を依頼する事を嫌うクライアントが出始めているようだ。</p>
<p>この世界も、多分、最終的には二極化すると思われるが、コスト、コスト…ばかりではないクライアントの存在を知る事ができたのは嬉しい限り。</p>
<cite><a href="https://terrysaito.com/2014/08/02/translated_in_japan/">翻訳の日本回帰 | 翻訳横丁の裏路地</a></cite></blockquote>
<p> </p>
<p>最後に、ノンネイティブのクライアントやPMとやり取りするうえでのおすすめ本を紹介させてください。</p>
<p>一冊目は次の記事でも紹介した『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799312219/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">関谷英里子の たった3文でOK! ビジネスパーソンの英文メール術</a>』</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="英文メールを書くときに「フリーズ」しなくてよくなる一冊: 3文で書こう - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F2018%2F01%2F13%2Fwriting-english-email" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/13/writing-english-email">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p> </p>
<p> もう一冊は、中国や大陸勢という言葉も出ていたので</p>
<div class="amazlet-box" style="margin-bottom: 0px;">
<div class="amazlet-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000286250/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank"><img style="border: none;" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51pojEnIe9L.jpg" alt="相席で黙っていられるか――日中言語行動比較論 (そうだったんだ!日本語)" /></a></div>
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> 中国のMLVの若い担当者に対しては、「要件や重要な情報は最初にすべて出せ」という気持ちを覚えることも多いかもしれませんが、たとえば次のようなことが書いてあります。</div>
<div>
<blockquote>
<p>中国の会話は将棋と同じである。「娘と息子、どっちがかわいい?」もそうだが、何か言われたら、 それに見合う内容の発話を返さなければ、会話にならない。</p>
</blockquote>
<p> この「将棋」というのは言い得て妙だなと思います。</p>
<p>一手ずつ指す中で、コミュニケーションによって、何事かを明らかにしていく感覚というか。</p>
</div>
</div>
<p> 大陸のやり取りのお作法にイラッとすることがあったら、こちらの第一章だけでも目を通してみてはいかがでしょうか?</p>
TransRadio
実務翻訳の基礎を無料で学べるサイトといえばこれ: 佐藤洋一さんに学べ!
hatenablog://entry/8599973812340012072
2018-01-22T22:38:53+09:00
2018-01-23T19:32:35+09:00 翻訳学校に通わずに、ゲームのローカライゼーション翻訳のオンサイトの仕事からキャリアをスタートした自分ですが、最初に手を付けたのがDHCのサイトで無料で公開されている、佐藤洋一さんの実務翻訳のコースでした。 その後の独習では、このブログでも『英文翻訳術』を読み返すシリーズで紹介した『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』と佐藤洋一さんの『コンピュータ翻訳入門』などを購入して読み進めたのですが、最初に佐藤洋一さんの翻訳ノウハウに出会えたのは自分にとって幸運だったなと思います。 相性というのも多分にあると思いますが、次のようなポイントが自分に合っていました。 英語力の高さを翻訳の基礎に置いている (=各分…
<p>翻訳学校に通わずに、ゲームのローカライゼーション翻訳のオンサイトの仕事からキャリアをスタートした自分ですが、最初に手を付けたのがDHCのサイトで無料で公開されている、佐藤洋一さんの実務翻訳のコースでした。</p>
<p>その後の独習では、このブログでも<a href="http://blog.traradio.com/archive/category/%E3%80%8E%E8%8B%B1%E6%96%87%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E8%A1%93%E3%80%8F%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%BF%94%E3%81%99">『英文翻訳術』を読み返すシリーズ</a>で紹介した『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480081976/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)</a>』と佐藤洋一さんの『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757406118/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">コンピュータ翻訳入門</a>』などを購入して読み進めたのですが、最初に佐藤洋一さんの翻訳ノウハウに出会えたのは自分にとって幸運だったなと思います。</p>
<p> 相性というのも多分にあると思いますが、次のようなポイントが自分に合っていました。</p>
<ul>
<li>英語力の高さを翻訳の基礎に置いている (=各分野の専門知識を前提とせず、専門知識はリサーチ力で補いつつ徐々に蓄積していくというモデル)</li>
<li>英日だけでなく日英と両方やることのメリットを述べている</li>
<li>習得に10年以上かかる職人技術としての翻訳技術ではなく、まず翻訳者として対価を頂いてお仕事をするスタートラインに立つことにフォーカスしている</li>
<li>方針やツール・ノウハウの数は、アウトプットの質がさほど変わらないなら少ないほどよいという原則が効いている (=無駄に辞書的・網羅的たろうとはしていない)</li>
<li>かといって当たって砕けろの根性主義ではなく、1つ1つのトピックの切れ味が鋭い</li>
</ul>
<p><br /> 前置きばかり長くなってもあれなので、早速各回へのリンクを掲載します(DHCのサイトでは<a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/bn.html">一覧ページ</a>にすべての回が掲載されているわけではないため、自分でURL内の数字を ±1する作業が必要になります)。</p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol1.html">実践・実務翻訳のコツー中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol2.html">実践・実務翻訳のコツ(第2回)ー中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol3.html">実践・実務翻訳のコツ(第3回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol4.html">実践・実務翻訳のコツ(第4回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol5.html">実践・実務翻訳のコツ(第5回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol6.html">実践・実務翻訳のコツ(第6回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol7.html">実践・実務翻訳のコツ(第7回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol8.html">実践・実務翻訳のコツ(第8回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol9.html">実践・実務翻訳のコツ(第9回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol10.html">実践・実務翻訳のコツ(第10回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol11.html">実践・実務翻訳のコツ(第11回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol12.html">実践・実務翻訳のコツ(第12回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol13.html">実践・実務翻訳のコツ(第13回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol14.html">実践・実務翻訳のコツ(第14回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol15.html">実践・実務翻訳のコツ(第15回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol16.html">実践・実務翻訳のコツ(第16回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
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<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol23.html">実践・実務翻訳のコツ(第23回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol24.html">実践・実務翻訳のコツ(第24回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol25.html">実践・実務翻訳のコツ(第25回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol26.html">実践・実務翻訳のコツ(第26回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol27.html">実践・実務翻訳のコツ(第27回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p><a href="http://www.edu.dhc.co.jp/pro_study/jitsumu/vol28.html">実践・実務翻訳のコツ(第28回)−中上級へチャレンジ!|英語の資格を仕事に活かす【DHC総合教育研究所】</a></p>
<p>各回のポイントも入れようかと思いましたが、ネタばらしになってしまうのでやめました。</p>
<p>リンク集代わりにこのページをお気に入りに入れてもらうのもよいかと思います。</p>
<p>進め方としては、ただ読むだけではなく、手元にノートを置いて各回の短い課題に対して自分で訳文を書いてから模範訳と説明を確認するというのがお勧めです。</p>
<p>しっかりと記憶に残す・体得するうえで「驚く」、「自分のできなさに気付く」ことは非常に大切だと思います。</p>
<p> </p>
<p>またこうした無料で読めるコースや連載エッセイは、各翻訳学校のサイト内などにひっそり埋もれていたりするので、そういったものを求めている方は、是非どんどん探してみてください。</p>
<p>自分の場合は佐藤洋一さんがファーストコンタクトで本当によかったのですが、相性もあるかと思うので、ご自身のしっくりくる翻訳者を見つけてそれについていくというのが何よりも上達を速めてくれるはずです。</p>
<p>(そして、そういった無料のコンテンツ探しだけで満足するようなら、それはそれで「自分は翻訳をお勉強してみたかっただけなんだな」と分かってよいかもしれませんしね 笑)</p>
<p> </p>
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;">現在絶版のようなので、 古本が苦手という人にはちょっと厳しいかもしれません。</div>
<div>もう少しコンパクトなサイズで再版されないかなあ。</div>
<div> </div>
<div>また、英日翻訳よりも技術系の日英翻訳の方に自分が向いているのではないかと考えている方には、次の2冊の方をお勧めしたいと思います。</div>
<div>軽めの本に見えて結構すごいです。</div>
<div>1時間当たりの翻訳スピードを大事な指標と見なしているのもお勧めポイントの一つです。</div>
<div> </div>
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</div>
</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> </div>
</div>
</div>
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TransRadio
「猫盾」という中国語
hatenablog://entry/8599973812339268384
2018-01-20T12:50:24+09:00
2018-01-26T21:13:02+09:00 「猫盾」という字面だけ見ると、 シャキーン まさにこの絵面が思い浮かぶと思うんですけど、中国語の口語表現ではもう一つ意味があるそうで、 人間が歩いていると猫がまとわりついてきて身動きがとれないというアノ状況も「猫盾」というそうです。 AT フィールド的な全方位型 cat shield ですね。 スターの数だと、はてなハイクの猫写真に軽くブログが負けてるので、頑張ってブログもいい記事を書いて読者を増やしていきたいですね。 フクくん ハルくん ChromeのWeb開発者向けの検証画面を表示させて、ブログの改善点を指摘してくれるフク。
<p>「猫盾」という字面だけ見ると、</p>
<p> </p>
<p><span style="font-size: 200%;"><strong>シャキーン</strong></span></p>
<p><a href="http://f.hatena.ne.jp/TransRadio/20180120110334"><img src="http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/T/TransRadio/20180120/20180120110334.png" alt="cat-shield.png" /></a></p>
<p> </p>
<p>まさにこの絵面が思い浮かぶと思うんですけど、中国語の口語表現ではもう一つ意味があるそうで、</p>
<p>人間が歩いていると猫がまとわりついてきて身動きがとれないというアノ状況も「猫盾」というそうです。</p>
<p>AT フィールド的な全方位型 cat shield ですね。</p>
<p> </p>
<p>スターの数だと、はてなハイクの猫写真に軽くブログが負けてるので、頑張ってブログもいい記事を書いて読者を増やしていきたいですね。 </p>
<p><a href="//english.blogmura.com/english_interpreter/ranking.html" target="_blank"><img src="//english.blogmura.com/english_interpreter/img/english_interpreter88_31.gif" alt="にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ" width="88" height="31" border="0" /></a><br /> <a href="//blog.with2.net/link/?1949274:2111" target="_blank"><img title="翻訳ランキング" src="https://blog.with2.net/img/banner/c/banner_1/br_c_2111_1.gif" /></a></p>
<p>フクくん </p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180117/20180117100654.jpg" /></p>
<p> </p>
<p>ハルくん</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180116/20180116083728.jpg" /></p>
<p> </p>
<p>ChromeのWeb開発者向けの検証画面を表示させて、ブログの改善点を指摘してくれるフク。</p>
<p><img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/T/TransRadio/20180112/20180112234553.jpg" /></p>
TransRadio
機械翻訳の自社向けカスタマイズを回すときにお願いしたいたった1つのこと
hatenablog://entry/8599973812338833962
2018-01-18T23:23:24+09:00
2018-01-18T23:34:31+09:00 翻訳者からエンジニアへのフィードバックは、JIRAなどのチケットシステムを使って、1依頼=1チケットで管理してください。 機械翻訳の出力を翻訳者に渡して、スタイルエラーなどの改善点をレポートにまとめてもらって、みたいなやり方は非常に効率が悪いです。よろしくありません。 以下の詳細は、英日方向のローカライゼーションで、2社のMT評価・フィードバックを担当した経験からくるものです。 日本企業の多くが必要とする日英方向だと、勝手が異なる部分もあるかもしれませんが、共通する部分もあるかもしれないと思い、箇条書きで書いていきます。 ・翻訳者は依頼主が想像する以上に納品物でのスタイルでの統一に神経を使って…
<p>翻訳者からエンジニアへのフィードバックは、JIRAなどのチケットシステムを使って、1依頼=1チケットで管理してください。</p>
<p>機械翻訳の出力を翻訳者に渡して、スタイルエラーなどの改善点をレポートにまとめてもらって、みたいなやり方は非常に効率が悪いです。よろしくありません。</p>
<p> </p>
<p>以下の詳細は、英日方向のローカライゼーションで、2社のMT評価・フィードバックを担当した経験からくるものです。</p>
<p>日本企業の多くが必要とする日英方向だと、勝手が異なる部分もあるかもしれませんが、共通する部分もあるかもしれないと思い、箇条書きで書いていきます。</p>
<p> </p>
<p>・翻訳者は依頼主が想像する以上に納品物でのスタイルでの統一に神経を使っています。</p>
<p>なので、自社の翻訳案件を担当する翻訳者の生産性を上げたいなら、機械翻訳の出力からスタイルエラーが少なくなるようにチューニングを施すことは有力な手段です。</p>
<p>(もし、「スタイルエラー」がスペース有の「スタイル エラー」と混ざってても、「フィルタ」と「フィルター」が混ざってても気にしないよということであれば、その旨、翻訳会社から末端の翻訳者まで全員に伝わるように周知してあげましょう。逆に、その辺混ざるのが嫌なのに、スタイルガイドなどが未整備なら、最低限のルールだけでも決めてあげましょう。スタイルガイドがないと、一部の良心的な翻訳者が、既訳の山からルールを類推するという不毛な工数が翻訳のたびに発生します。)</p>
<p> </p>
<p>・英日ローカライゼーションの現場の話ですが、機械翻訳の出力の改善点として20個くらいチケット作成しました。</p>
<p>そのうち10個くらいが実際に改善されて、残りの10個についても、正規表現などでトライしている姿が見えたので納得感がありました。</p>
<p>翻訳者の仕事って、納品後の最後の姿まで見届けられることは結構レアなので、1つ1つのフィードバックについてエンジニア側での対応を最後まで知れたのはすごくよかったです。</p>
<p>海外ドラマ「クローザ―」でも、事件の「クロージング」まで見届けて初めて人は次に進めるのだ、と言ってました。</p>
<p>チケット型の管理じゃないと、翻訳者からのフィードバックを求めるたびに同じような修正依頼が出て、エンジニアの側でも貴重な時間を無駄にしてしまうと思います。</p>
<p> </p>
<p>・別の会社では機械翻訳の出力へのフィードバックをdocにまとめろといわれて、結局1つのアイテムも改善されないというひどい結果が出ました。</p>
<p>最初に、docを読むのがエンジニアなのか、クライアント側のマネージャー層なのかとか、対象読者や目的を確認しなかった自分も悪かったのですが、これはひどかった。</p>
<p> </p>
<p>・チケットに依頼をまとめる形なら、エラーが出ているセグメントをすべて列挙する必要もなく、サンプルとして1セグメントだけ挙げればよいので翻訳者の側も楽ちんです。</p>
<p>エラーの出ているセグメントの出力、本来想定される出力、エラー内容の説明、とかをとりあえず翻訳者は記入すればよい。</p>
<p>それに、docで渡されたらエンジニアの側で疑問点や不明点が出てもその後のフォローアップなどやる気も起きないかなと想像しますが、チケットなら、気軽にコメント返せますよね。</p>
<p>「ここどうなってんの?」ってエンジニアが気軽に聞いてくれる前提なら、翻訳者も最初のチケット作成で肩肘張りすぎずに済むので、ここでも省力化が働きます。</p>
<p>また、担当エンジニアチームの中でもリクエストに応じて得手不得手があるようで、正規表現ならこの人、みたいにアサイン替えをしやすいのもチケットのメリットだと思います。</p>
<p> </p>
<p>・こういうタスクに向いてる翻訳者の資質ですが、おそらく</p>
<p>ーある程度、正規表現とか、エンジニアの側がこのエラーどうやって解決するのかなとか想像できた方がよい。</p>
<p>ーでも、空気読めすぎる翻訳者だと、自分が「解決できそう」と思う修正しか挙げなくなる可能性があるので、「直るかは分からんが直ったら嬉しいぞ」というエラーも挙げれる人がよい。</p>
<p>ー打率感覚というか、あらゆるエラーをなくすことが目的ではなく、機械翻訳に対する人間の修正(ポストエディット)の所要時間を減らすことが目的だと理解できる人がよい。</p>
<p>ーあと、エンジニアの時間も貴重だと分かってて、再現性の低いエラーよりも、細かいけど頻出のエラーなどを優先できる人だとよい。</p>
<p>ーエンジニアが日本人でない可能性も十分にあるので、その場合は英語で、日本語ノンネイティブの相手に求めている修正内容を簡潔かつ十分に伝達できた方がよい。</p>
<p> </p>
<p>・上記の方向性で作業してもらうためにも、翻訳者に、事前に使用する機械翻訳エンジンの性質などを1時間くらいでレクチャーしておくとなおよしです。</p>
<p>JIRAのチケットでフィードバックを管理してくれた方の会社はこの辺も抜かりなく、自分もかなり勉強になりました。</p>
<p>文法解析+辞書型なのか、統計的アプローチなのか、両者の折衷か、もしくはニューラルなのか、などですね。</p>
<p>タイプによって、どの辺をエンジニアが修正(=エンフォース)できるかも変わってくるので。</p>
<p> </p>
<p>・それと、副次的な効果として、翻訳者は基本的にポストエディットが好きではなかったり、ポストエディットで期待される内容の多さに対する不満を持っている場合が多いと思います。</p>
<p>そういう翻訳者にこうしたMT評価に参加してもらって、1つ1つのリクエストのクロージングまで見届けてもらうと、「これだけしっかり対応してもらって実装できないならしゃーない=こっちがポストエディットで頑張ってみるか」みたいな、納得感からくるモチベーションアップも期待できるかもしれません。</p>
<p> </p>
<p>こちらのニュースが出たこともあり、機械翻訳のチューニングのサイクルを回す上でのポイントをまとめてみました。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="職場の英語力をTOEIC900点相当に引き上げる日英双方向の機械翻訳サービスをリリース" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fprtimes.jp%2Fmain%2Fhtml%2Frd%2Fp%2F000000002.000026875.html" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000026875.html">prtimes.jp</a></cite></p>
TransRadio
夜中にミルクを買ってきてと頼む大切さ: パートナーシップでもお仕事でも
hatenablog://entry/8599973812338553746
2018-01-18T01:13:23+09:00
2018-01-18T01:13:23+09:00 一緒に住むことを決めた時に読み、入籍したときにもう一度読み返した本を紹介します。 すべてのパートナーシップ本にいえることだと思いますが、コミュニケーション全般に関する内容として、パートナーや家族、友人などとの関係だけでなく、仕事の場でも活用できる部分があるかなと思います。 ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた (知的生きかた文庫) posted with amazlet at 18.01.17 ジョン グレイ 三笠書房 売り上げランキング: 794 Amazon.co.jpで詳細を見る 文庫サイズで、重すぎないところが…
<p>一緒に住むことを決めた時に読み、入籍したときにもう一度読み返した本を紹介します。</p>
<p>すべてのパートナーシップ本にいえることだと思いますが、コミュニケーション全般に関する内容として、パートナーや家族、友人などとの関係だけでなく、仕事の場でも活用できる部分があるかなと思います。</p>
<p> </p>
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<div class="amazlet-detail">ジョン グレイ <br />三笠書房 <br />売り上げランキング: 794</div>
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<div>文庫サイズで、重すぎないところがいいですね。</div>
<div>「男は火星から、女は金星から~」というキャッチフレーズの方に覚えがあることがある人も多いかもしれません。</div>
</div>
<p> </p>
<p>内容に入る前に2大おすすめポイント</p>
<p>・原著の出版が1992年、25年以上前なのである意味古典! そこがいい。</p>
<p>パートナーシップについて述べた本の内容に、100%同意できる可能性は限りなく低いです。</p>
<p>パートナーシップに抱くイメージは、個人の育った環境に大きく左右されるそうですからね。</p>
<p>そうすると、最近出版された本であればあるほど、自分と同時代人だという意識が働く分、自分と異なる主張にはイライラさせられてしまいます。</p>
<p>その点、この本は、1951年生まれのアメリカ人のおっさん(失礼。)が25年以上前に書いた本だし、しかもあちらはキリスト教圏で家庭に関する考え方も違うし、ということを考えると、あまりイライラせずに読み進めることができます。</p>
<p>自分の癪に触る部分はさっと読み飛ばして、メリットがありそうなところだけを受け入れるという使い方をしやすいのではないでしょうか?</p>
<p> </p>
<p>・訳者が大島渚さん</p>
<p>あの映画監督の大島渚さんです。文章も非常に読みやすいです。</p>
<p>大島渚さん自身、人生相談の名回答者として知られていたようですね。パートナー関係の話題にも強かったのではないでしょうか。</p>
<p>『ベスト・パートナーになるために』というタイトルの本を読むのはちょっとハードルが高いという人でも、「いやあ、訳者が大島渚さんでさあ。大島渚監督の映画、観たことある?」なんて話題のすり替えが効く本書なら、本棚に置けるはずです。</p>
<p> </p>
<p>さて、内容ですが、おそらく読み進めていくと、どこかで聞いたことあるなあという既視感を常に覚えるのではないかと思います。</p>
<p>パートナーシップに関する話題や、いかに愛される女性になるかといったトピックは、ネットニュースなどの読み物でも人気ですからね。</p>
<p>また、本書自体がパートナーシップ本の大先輩ということもあり、いろんな部分がコピペさらながら今まで拡散してきたという事情もあるのかなと思います。</p>
<p>婚活関係のアドバイスなどでも、本書に似た内容を目にすることがあります。</p>
<p> </p>
<p>というわけで、そいういう既視感のありそうなところを紹介しても、あまり生産的ではないかなと思い、一箇所、割と驚きをもって読めるところをピックアップしたいと思います。</p>
<p>夜中のミルクの話です。</p>
<p>登場箇所は、本書の中でも後半部の「第6章 男に自信をつける”女のひと言、会話の仕方”ー”男のやさしさ”を上手に引き出すテクニック」になります。</p>
<p>「上手に引き出すテクニック」という部分が的確かなと思います。</p>
<p>要は、自分が求めていることを明確に伝える、アサーティブになる、ということに近いのかなと思いますが、第6章では次のようなセクションが続きます。</p>
<blockquote>
<p>手始めに”待つ”のをやめる</p>
<p>①もっと抵抗感なく男性に「YES」と言わせる方法</p>
<p>ここに気を付ければ、もっと気軽に”ひと肌”脱いでくれる</p>
<p> 1 タイミングを選ぶこと</p>
<p> 2 命令するような態度・口調で頼まない。頼み事は決して命令ではない。</p>
<p> 3 用件は短く。説明が長いほど抵抗感が増す</p>
<p> 4 そして分かりやすく。変に回りくどい言い方はさける</p>
<p>こんな間接表現では真意が通じない</p>
<p>男はみんなこの”言い方”にカチンとくる</p>
<p>②より多くのことを要求して手に入れる方法</p>
<p><strong>相手に”選択の自由”を与えた方がNOと言われにくい</strong></p>
<p>こうすれば男の”許容範囲”はグンと広がる</p>
<p>無理して「YES」と言っているうちは、まだ”他人の関係”</p>
<p>③あなたの要求を通すための”究極のテクニック”</p>
<p>感謝されると、男はここまで素直になれる</p>
</blockquote>
<p>どうでしょうか? 私の方で太字にした「<strong>相手に”選択の自由”を与えた方がNOと言われにくい</strong>」という部分に興味を持った方は、これがまさに夜中のミルクの話になります。</p>
<p> </p>
<p>少しだけ解説すると、男性に頼みごとをするときに「<strong>タイミング</strong>」が大切で、タイミング次第で男性の「<strong>抵抗感</strong>」が大きく違ってくるというのは、本書の大きなテーマと関わっています。</p>
<p>著者の言葉を借りると、男性はすぐ何かに熱中したり、ストレスが許容量を越えた時に「心の穴の中に閉じこもる」ことがあるそうです。なので、こういうタイミングで話しかけるのはよろしくない。</p>
<p>また、子供みたいですが、「今やろうとしてたのに」というタイミングで「ゴミを捨ててきて」と頼むのもよろしくない。</p>
<p>男性は、「ゴミを捨ててきて」の裏に「あなたはどうせ自分からはゴミ捨てなんてしてくれないだろうからもう一度言うわね」のようなダブルミーニングを感じ取って、「信頼されてない」と感じてしまうそうです。</p>
<p> </p>
<p>次に、「間接表現を避ける」、「用件は短く。<strong>理由は尋ね返されたときだけ</strong>(しかも短く)伝える」という部分ですが、これはかなり有効だなと感じます。</p>
<p>自分なりの言葉で言い換えると、要件を、シンプルに、「私がこれをやって欲しい」とか「あなたがこれをやってくれたら私はハッピーだ」という、「私」発のポジティブなかたちで言い切るということだと思います。</p>
<p>「この前も私が担当したから~」みたいな<strong>「あなたがこれをやるべき」という理由付けは省いて、</strong>「あなた、これ、やる、私、ハッピー」で伝えた方がよいということですね。</p>
<p>これはチームで仕事をするうえでも大切だと思います。</p>
<p>チームの目的が、できるだけみんながハッピーなやり方で成果を出すことだとするなら、成果の部分は明確でも、個々人で何がどうなればハッピーかというのは口に出さなければ伝わらないですからね。</p>
<p>「あなたがやるべき」という形でこっそり「私が嬉しい」をしのばせるより、「これをやってもらえたら私が嬉しい」で細かくお願いごとをしあうことが、チーム力を高める一つのコツだと思います。</p>
<p>正当化できるお願いかどうかが重要ではないんですよね。「私がハッピー」=「チームの一員がハッピー」になるという情報をまず発信して、相手のYES・NOを聞いてみるというのが重要だと思います。</p>
<p>要求の自己検閲には反対!</p>
<p> </p>
<p>これらのポイントを押さえた上で、次がいよいよ「<strong>相手に”選択の自由”を与えた方がNOと言われにくい</strong>」です。</p>
<blockquote>
<p>たとえ彼があなたの要求に対して「NO」と答えても、あなたの愛情は変わらないということを彼に認識させることである。あなたから示される、より深い要求に対して「NO」と答えることが可能であると感じた時、彼はその要求に対して、より積極的に「YES」と答えるようになる。男性というものは「NO」と答える自由が与えられれば与えられるほど、快く「YES」と答えたくなるものだということを肝に銘じておこう。</p>
<p>女性にとっては、彼に自分の要求をいかにうまく伝えるかと学んでいくことも大切だ。しかし、相手の「NO」という答えをいかに受け入れていくかを学ぶことも同じように大切である。</p>
</blockquote>
<p> ロジックには賛成できないところもありますが、相手がYES/NO両方の答えを返せるお願いをするということには大賛成です。</p>
<p>相手がYESと言わざるをえないお願いって、まず第一に相手もすごくよい気分はしないですよね。そうなる前、YESでもNOでも答えられて、第3の道を考ることもできる状況でもってきてほしかったというのが正直なところでしょう。</p>
<p>また、YESと言われる可能性が高いかどうかは、推測ベースになってしまうので、実際にお願いしてYES/NOの回答をもらった方が精度も高いし、スピード感もありますよね。</p>
<p>さらに、YESと言われる可能性が高いお願いしかできないとすると、お願いの幅自体がすごく狭まりますよね。</p>
<p>「回答としては当然NOもありえる」というかたちで相手のNOを許容できれば、他から見れば「とんでもない」みたいなお願いもできるようになって、それは各人がハッピーになれる可能性を高めるはずです。</p>
<blockquote>
<p>もし、あなたが男性に何か頼みごとをした時、彼から拒否されることを快く認め、理解を示してあげられるようになれば、彼はそのことをしっかりと心に刻み込んで、次の機会には喜んで助けてくれるようになるだろう。</p>
<p>だが、その一方で、もし、あなたが遠慮をしすぎて自分の要望をすべて犠牲にし、何も意思表示をしなければ、彼には自分があなたからいかに必要とされているかが永久に伝わらない。「前回は自分の拒否を気持ちよく受け入れてくれたから、今回こそ引き受けよう」などという気持ちが湧いてきようがないのだ。何の意思表示もされずに、どうしてあなたの本心が読み取れるのか?</p>
<p>あなたが愛情と思いやりを込めた気持ちで相手の心の扉をたたき続けるうちに、彼はしだいにその"許容範囲"を広げていき、「YES」と答える確率を高めていくのである。この段階になれば、あなたは彼にもっと新しいことを要求できるようになる。</p>
</blockquote>
<p>「<strong>あなたが愛情と思いやりを込めた気持ちで相手の心の扉をたたき続けるうちに</strong>」、いいフレーズですね。</p>
<p>「パートナーだから当然」、「チームだから当然」、「社内だから当然」という心を取り払って、営業担当のような気持ちで、NOの可能性も受け入れた上で、「扉をたたく」ことはすごく大切だなと思います。</p>
<p> </p>
<p>文字数が今の時点で4000文字に達したようで、夜中のミルクの話を詳しく引用するのはやめようと思います。</p>
<p>ただ、これまでの流れでお分かりのように、夜中に相手が寝る直前に「ミルクを買ってきて」と頼むのは、NOと返される可能性が高いお願いです。</p>
<p>くれぐれも、こういう質問を、相手を試すようなかたちで使ってはダメです。</p>
<p>でも、今ミルクがあればハッピー、という気持ちから生まれたお願いとしては、夜中にミルクを買ってきてと扉をたたくことは、積極的に「あり」だと思う次第です。</p>
<p> </p>
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<p>古典として一定の距離感を保って読めること、大島渚さんが翻訳者なこともお勧めポイントです。</p>
TransRadio
『英文翻訳術』を読み返す(完)282ページ中最初の45ページが大切だという結論
hatenablog://entry/8599973812338275173
2018-01-17T00:50:29+09:00
2018-01-17T00:50:29+09:00 これまで、はしがき、序章、第1・第2章ときて、終章まで残り20章あるのですが、この第2章までが読み返すうえで有益かなということで、唐突ですが今回簡単なまとめを行って最終回とします。 第3章の無生物主語や、第10・11・12章の形容詞と副詞は、ほぼほぼ品詞転換の話だと思うんですよね。 また、第7・8章の関係代名詞は、ほぼほぼ「頭から訳しおろす」の話です。 第5章の人称代名詞の省略と、第13章の動詞の時制については、ちょっと好みが分かれるかなということで、論じてみる自信がないです。 第14・15章の受動態のところと、第18・19章の直接話法を生かす・掘り起こすという部分は単独でめちゃくちゃ面白いで…
<p>これまで、<a href="http://blog.traradio.com/entry//2018/01/08/translator-feedback-review">はしがき</a>、<a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/11/translation-word-order">序章</a>、<a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/15/noun-verb-conversion">第1・第2章</a>ときて、終章まで残り20章あるのですが、この第2章までが読み返すうえで有益かなということで、唐突ですが今回簡単なまとめを行って最終回とします。</p>
<p> </p>
<p>第3章の無生物主語や、第10・11・12章の形容詞と副詞は、ほぼほぼ品詞転換の話だと思うんですよね。</p>
<p>また、第7・8章の関係代名詞は、ほぼほぼ「頭から訳しおろす」の話です。 </p>
<p>第5章の人称代名詞の省略と、第13章の動詞の時制については、ちょっと好みが分かれるかなということで、論じてみる自信がないです。</p>
<p>第14・15章の受動態のところと、第18・19章の直接話法を生かす・掘り起こすという部分は単独でめちゃくちゃ面白いですが、実際に本を手にとって読むほうがよいかなと思います。ブログで付け足すことがないです。</p>
<p>他の章は演習などですね。</p>
<p> </p>
<p>なので、これまでの3回の『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480081976/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">英文翻訳術</a>』を読み返すシリーズで整理できたことをまとめてみます。</p>
<p>・品詞転換などの個別のテクニックはオプション出しの道具。それに対して「頭から訳しおろす」や「英語を核文に開く=読みほどく」といった安西先生の主張は、この方針に従うことで、個別のテクニックが後から自然とついてくるような普遍性がある。</p>
<p>最初に紹介した通り、<a href="https://haken.issjp.com/articles/careers/a_narita_17">ISSのコラム</a>で成田あゆみさんが</p>
<blockquote>
<p>翻訳の技法を説明しようとすると、話が異常に細かくなりがちなのですが、そうなる一歩手前で説明を止めているため、さまざまに応用できる普遍性があります。 </p>
</blockquote>
<p> と述べているのは、ドンピシャですね。成田さん、すごい。</p>
<p>そして、品詞転換などの個別のテクニックは価値判断と切り離されているのに対して、「頭から訳しおろす」と「英語を核文に開いて日本語に翻訳する」という方針については、そうした方がよりより英日翻訳になりやすい、という価値判断が行われていることが特徴的でした。</p>
<p>これ、賛成できると思いますけどね。</p>
<p> </p>
<p>・ただし、「頭から訳しおろす」などの翻訳の方針を、評価基準と誤解すると弊害が大きいよということは確認しました。</p>
<p>ある翻訳がよくないと指摘するときに、その理由として「頭から訳しおろしてないから」と述べるのは論理が転倒しています。</p>
<p>翻訳のよしあしは、原文の英語をどう加工したかという方法とは独立に、訳文自体(と英語との対応)で述べうるはずです。</p>
<p>また、「頭から訳しおろす」や「核文に開いて翻訳する」という方針は、そうすることでさまざまな個別の翻訳テクニックが自然と躍動しだす、そうしたメリットとセットになって主張されていたことも重要かなと思います。</p>
<p>ただ信じろ、とは違うわけですね。</p>
<p> </p>
<p>うーん。品詞転換などの各種の翻訳技法がツールやアプリケーションだとしたら、「頭から訳しおろす」や「核文に開いて翻訳する」などの方針は、そうしたツールやアプリケーションを駆動するための基本OS、プラットフォームのような位置にあるのかなと思います。</p>
<p> </p>
<p>是非、この機会に英文翻訳術を手に取ったり再読したりして、英日翻訳のOS・プラットフォームを導入・アップデートして頂ければと思います。</p>
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<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> 文庫というのが嬉しいですね。本当に</div>
</div>
TransRadio
『英文翻訳術』を読み返す(3)動詞が隠れた名詞と、翻訳を開いたり凝縮する感覚
hatenablog://entry/8599973812337943130
2018-01-16T01:04:45+09:00
2018-01-17T00:24:07+09:00 『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』を読み返すシリーズ、はしがき、序章ときて、今回は1章と2章を取りあげます。 1章 所有格を考える――名詞(1) 2章 「核文」と「変形」――名詞(2) この「核文」という考えを導入した章、翻訳技法書の中でもトップクラスにユニークかつためになる箇所で、初めて読んだときにもかなり印象深かったです。 この1・2章で書かれている内容、ほとんど「品詞転換」というアイディア(翻訳者の方にはおなじみかも)でも言い換えられると思うのですが、品詞転換よりももう一段奥行きのあることを述べていると思います。順にみていきましょう。 His failure to fullfill th…
<p>『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480081976/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)</a>』を読み返すシリーズ、<a href="http://blog.traradio.com/entry//2018/01/08/translator-feedback-review">はしがき</a>、<a href="http://blog.traradio.com/entry/2018/01/11/translation-word-order">序章</a>ときて、今回は1章と2章を取りあげます。</p>
<blockquote>
<p>1章 所有格を考える――名詞(1)</p>
<p>2章 「核文」と「変形」――名詞(2) </p>
</blockquote>
<p> </p>
<p>この「核文」という考えを導入した章、翻訳技法書の中でもトップクラスにユニークかつためになる箇所で、初めて読んだときにもかなり印象深かったです。</p>
<p>この1・2章で書かれている内容、ほとんど「品詞転換」というアイディア(翻訳者の方にはおなじみかも)でも言い換えられると思うのですが、品詞転換よりももう一段奥行きのあることを述べていると思います。順にみていきましょう。</p>
<blockquote>
<p><strong>His failure</strong> to fullfill the promise made the voters suspicious.</p>
<p>→ He failed to fulfill the promise, and that made...</p>
<p>彼は公約を実行しなかった。そこで有権者も彼を信用しなくなった。</p>
</blockquote>
<p>冒頭を「公約を果たすことの失敗が~」などとカチコチに訳さずに、「彼は~に失敗した」と「failure」という名詞を「fail」という動詞として「読みほどいて」あげてるんですね。</p>
<p> ものすごく個人的な好みかもしれませんが、私が一緒に仕事をしたいなと思う翻訳者は、この「failure」という名詞を見て、そこにあるアクション感覚というか、「fail」という動詞とのつながりをしっかり感じ取っている人です。</p>
<p>翻訳技法書でいうと、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757406118/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">コンピュータ翻訳入門</a>などの佐藤洋一さん(同名の英語学者がいらっしゃいますが翻訳者の)や、<a href="https://www.amazon.co.jp/s/ref=as_li_ss_tl?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias=stripbooks&field-keywords=%E5%AF%8C%E4%BA%95%E7%AF%A4&rh=n:465392,k:%E5%AF%8C%E4%BA%95%E7%AF%A4&linkCode=ll2&tag=transradio-22&linkId=d7490457c5915386343449ce8be8412b" name="amazletlink" target="_blank">富井篤さん</a>などの本ですね。動詞由来の名詞を特に大切にして、それを軸に翻訳技法を構築されているなと感じます。</p>
<p>1章の内容は、ほとんどこのような名詞から動詞への品詞転換がメインです。</p>
<p>その上で、この重要テクニックを広くナイダの「核文」と「変形」という理論的な光で捉えなおした2章がめちゃくちゃ面白いんです。</p>
<p>二重引用になりますが、ざっくりいうと、ナイダは、生成文法の研究に依拠しながら</p>
<blockquote>
<p>変形文法がもたらしたもっとも意義深い洞察の一つは、全ての言語には6~12ぐらいの基本構文があるだけであり、それらの基本構文(核文)に変形という操作を加えることによって、他のすべての複雑な文が作り出される、ということである。 </p>
</blockquote>
<p> と述べているそうです。「本当か?」という疑問はもっともですが、ここは野暮を言わずに前提としてまるっと受け入れてしまいましょう。どんなに複雑な文も、核文というブロックから成り立っているということですね。しかも、このブロックは単語とは異なり、核文というブロックが変形しながら組み合わさっているということです。</p>
<p>では、これがどう翻訳に役に立つのか? 次の箇所がめちゃすごいんです。またまた二重引用ですが、</p>
<blockquote>
<p>翻訳者の立場から見て、すべての言語に核文があるという事実よりも重要なのは、<strong>複雑な表面構造に比べて、その底にある核文のほうが、諸言語間で合致する要素がはるかに多いという事実である</strong>。 </p>
</blockquote>
<p> すごくないですか? この部分のすごさは、「品詞転換」という技法と比べてみると分かります。「品詞転換」は個人的には大好きですが、これは価値中立的というか、あくまでオプション出しの技術なんですよね。名詞を動詞に「転換できます/転換してもよいですよ」というだけなんです。</p>
<p>品詞転換自体からは、転換した方がよいかどうか?、またどの方向に転換するとよいか?、という判断は出てこない。</p>
<p>これに対して、安西先生は一歩踏み込んでいて、複雑な文を「核文」に開いていく方がよい、なぜなら核文の方が翻訳しやすいからだ、という方向で主張を行っています。</p>
<p>ナイダの主張として</p>
<blockquote>
<p>従って、核文のレヴェルまで文の構造をバラバラにして還元したほうが、容易に、しかも文意をゆがめることなく、A言語からB言語へ転移することができるのである。 </p>
</blockquote>
<p> という箇所まで安西先生は引用しています。</p>
<p>そして、「his failure」という句の中に「He failed」という文を見ることを、「句のうちに文を見る」、「読みほどき」といったかたちでまとめています。</p>
<p>もう一度強調しますが、「品詞転換」にはどちらがよいという方向性・価値判断はないのに対して、よくも悪くも「読みほどき」は一歩踏み込んで価値判断をしているところがポイントです。</p>
<p> </p>
<p>これを若輩者ながら、自分の現場感覚で別の観点からまとめなおしてみます。</p>
<p>「読みほどく」という感覚、すごくよく分かるんですよね。そして、これは「英語」を「日本語」に読みほどいているのではなくて、「英語1」を「英語2」に読みほどいて、それを翻訳しているんですよね。</p>
<blockquote>
<p><strong>His failure</strong> to fullfill the promise made the voters suspicious.</p>
<p>→ He failed to fulfill the promise, and that made...</p>
</blockquote>
<p> ということは前掲の英文で、上の文は「凝縮した英文」、下の文は「開いた英文」ということになります。</p>
<p>そして安西先生の主張は「開いた英文」を経由した方が翻訳しやすい、ということです。</p>
<p>ただ、ここで、対応する日本文の方にも「凝縮した日本文」と「開いた日本文」があるのではという視点を導入してみたいと思います。</p>
<p>この「凝縮した日本文」の感覚は、自分が字幕翻訳に近いかたちでテキストの長さの制限のあるゲーム翻訳に携わっていた経験から得られたものかなと思います。</p>
<p> </p>
<p>たとえば、「Who killed that lady?」という英文を字幕で翻訳するとき、発話のスピードにもよりますが1秒前後だと「犯人は?」みたいに凝縮した訳をしないとダメですよね。</p>
<p>「句のうちに文を見る」の逆で「文のうちに句を見る」必要が出てきます。</p>
<p>もう一個例を出すと、「How could she kill that lady?」は場面次第では「凶器は?」と訳せます。</p>
<p>この2つは、英文が開いていて、日本文を凝縮させたパターンですが、英語自体が凝縮している場合もあります。</p>
<p>刑事ものっぽい例文ばかりですが「Jane Doe」というフレーズは、身元不明の女性の遺体を指す言葉ですが、字幕翻訳なら状況に応じて「被害者」などの凝縮した日本語で受けていく必要があります。</p>
<p> </p>
<p>海外ドラマなどからも例文を借りつつ、「凝縮した(≒引き締まった)」と「開いている」という特性は、英語の中にも、日本語の中にも存在するということを述べてみました。</p>
<p>最後に、この道具立てを使って少し大きめの主張をすると、「読みほどく」というやり方は、あらゆる言語の翻訳というよりはむしろ、「英日翻訳」でうまくいきやすい方法だと思います。</p>
<p>理由は、英語がどちらかといえば「凝縮」寄りで、日本語がどちらかといえば「開き」気味の言語だからです。</p>
<p>もう少し別の角度から述べると、長く複雑な文を作る主な方法が英語と日本語では異なっていて、日本語は長く複雑な文を作るときに基本的には「~して、~して、~して」とだらだらっと続けるんですね。文を句に凝縮せずに、だらだらっと文を重ねていくんです。</p>
<p>それに対して英語は、「He failed」を「his failure」のように動詞→名詞の転換を軸に、冠詞と前置詞や関係代名詞などの文法の強力な力を借りながら、文をただつなげるというより、文を凝縮させ引き締めながら長く複雑な文を「構築する」という印象があります。</p>
<p>なので、凝縮気味の英語モードの英語を、日本語モードに翻訳するときは、安西先生のいうように「読みほどく」という方法が、他言語の翻訳以上にぴたっとはまる。</p>
<p>そういうことを考えています。</p>
<p> </p>
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TransRadio
英文メールを書くときに「フリーズ」しなくてよくなる一冊: 3文で書こう
hatenablog://entry/8599973812336816780
2018-01-13T10:11:06+09:00
2018-01-18T01:14:07+09:00 ローカライゼーションの現場に入る前、とある日系企業で、英語事務+日英翻訳・チェックのような仕事を担当したことがあります。 そのときに海外の翻訳会社と英語でコミュニケーションを取る必要が生じ、あわてて購入したのがこの一冊です。 通読した後もずっと会社のデスクにおまもりがわりにしのばせ、今も自宅の本棚の一番よい位置に置いています。 関谷英里子の たった3文でOK! ビジネスパーソンの英文メール術 posted with amazlet at 18.01.13 ディスカヴァー・トゥエンティワン (2014-05-23)売り上げランキング: 5,555 Amazon.co.jpで詳細を見る 著者の関谷…
<p>ローカライゼーションの現場に入る前、とある日系企業で、英語事務+日英翻訳・チェックのような仕事を担当したことがあります。</p>
<p>そのときに海外の翻訳会社と英語でコミュニケーションを取る必要が生じ、あわてて購入したのがこの一冊です。</p>
<p>通読した後もずっと会社のデスクにおまもりがわりにしのばせ、今も自宅の本棚の一番よい位置に置いています。</p>
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</div>
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<div class="amazlet-footer" style="clear: left;"> </div>
<div>著者の関谷英里子さんはNHKラジオの「入門ビジネス英語」を担当されていましたが、その中にも本書に通じるような英文メールのミニレッスンが含まれていました。</div>
<div>もしかすると、『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396316887/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">同時通訳者の頭の中</a>』を書かれた人ですと紹介した方が、ぴんとくる方も多いかもしれません(文庫版が出ていたのでそちらにリンクしました)。</div>
<div>現在はサンフランシスコに拠点を置かれていて、ブログも更新されています。</div>
<div>
<p><iframe class="embed-card embed-webcard" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="同時通訳者関谷英里子サンフランシスコ・シリコンバレー生活" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fameblo.jp%2Fpremierlinks%2F" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://ameblo.jp/premierlinks/">ameblo.jp</a></cite></p>
</div>
<div>さて、本題に入ると、『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KF80D68/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">たった3文でOK! 英文メール術</a>』には、シーンごとに分けた50個のテンプレートも含まれてはいるのですが、メールが必要な状況に応じて辞書的に引くというよりは、一冊通読して関谷さんメソッドを体得するというのが個人的なお勧めです。</div>
<div>翻訳と通訳のお仕事を比べると、辞書の使用が典型的ですが、翻訳者はリアルタイムでのアウトプットを求められない分、自分の「外」に自分の能力を拡張できるアイテムを持つことができます。</div>
<div>ただし、英文メールの技術については、通訳的に、自分の内側に体得し、しっかりと自分のものにした方がよいと思います。</div>
<div>なぜなら、英文メールは、翻訳のように作品を作り上げるというよりは、相手のいるコミュニケーションだからです。</div>
<div>毎回テンプレート文を参照し直すというのでは書いている自分もストレスですし、レスポンス力も低下してしまいます。 </div>
その点、『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KF80D68/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">たった3文でOK! ビジネスパーソンの英文メール術</a>』は、最初の2章 (約30ページ) を読むだけで、関谷さんの述べる英文メールの基本方針に馴染み、いくつかのNG項目を把握することができます。</div>
<div class="amazlet-box" style="margin-bottom: 0px;">
<div>その上で、残りの50個のテンプレートを応用編のように読んでいくというのがお勧めの使い方です。</div>
<div> </div>
<div>「3文メール」というのも、関谷さんオリジナルではないと思いますが、いいですよね。</div>
<div>こういう制約は、「3文で書く」と数字を受け入れることで、創造性を刺激してくれると思います。</div>
<div>こんなに長くなるってことはメールの用件が複数になってるから2通に分けた方がいいかな(特にCCの多いスレッドで複数の話題が飛び交うと大変なので2通に分けた方がよいです)とか、細かい話はドキュメントにして添付したり Sharepoint とかクラウドのメモに上げた方がよいかなとか、工夫に向けたアイディアが出ますよね。</div>
<div> </div>
<div>また、多言語ローカライゼーションの現場では、「阿吽の呼吸」のようなものに頼りすぎず、日本語リンギストとしての考えを日々のコミュニケーションの中で明確にしていくことが大切だと思います。</div>
<div>この辺りでも、メールを自分の主張2文で終えるだけでなく、+1文して日本語話者・翻訳者としては当たり前のことでも「理由」を書いてあげるというのは大切なコミュニケーションです。</div>
<div>「たくさん言った」を読み飛ばされて伝わらない可能性とともに、「言わなかった」から伝わらない、も当然ありますからね。</div>
<div>スケジュール調整などでも、ただ自分の希望を伝えるだけでなく、理由も書き添えてあげるのが、相手の納得感や信頼感を得る近道です。</div>
<div>(こういう「理由」を「言い訳」のように感じずに、オープンに書いた方がよいと思います。たとえば、「猫の急な病気による通院」は半休申請の立派な理由だと思います)</div>
<div> </div>
<div>3文を超えたときにコミュニケーションを一工夫するヒントも、1文や2文のメールに+1文してチームワークを高めていくヒントも、両方手に入ります。</div>
<div>関谷さんの <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KF80D68/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">ビジネスがうまくいく「3文メール」テクニック</a>を是非お試しください!</div>
</div>
TransRadio
『英文翻訳術』を読み返す(2)「頭から順に訳しおろす」は正義か?
hatenablog://entry/8599973812336404126
2018-01-11T23:39:41+09:00
2018-01-14T14:44:13+09:00 前回は「はしがき」を取り上げた『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』ですが、今回は序章です。 blog.traradio.com 序章 語順の問題そのほか §1 原文の思考の流れを乱すな 文法の枠組みに入る前に、まず、すべての前提となる点をいくつか最初に書いておきたい。その第一は、原文の思考の流れを乱すなということ――つまり、もっと具体的にいえば、原文で単語や句の並んでいる順序をできるだけ変えないで、頭から順に訳しおろしてゆくように心がけるということである。 さて、この「頭から順に訳しおろしてゆく」という部分、私は賛成です。 でも、この部分、どれくらいの強さで受け取ればよいのか、どういう位置づけで…
<p>前回は「はしがき」を取り上げた『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480081976/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)</a>』ですが、今回は序章です。</p>
<p><iframe class="embed-card embed-blogcard" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" title="『英文翻訳術』を読み返す(1)翻訳者へのフィードバックの難しさ - 翻訳ラジオ" src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.traradio.com%2Fentry%2F%2F2018%2F01%2F08%2Ftranslator-feedback-review" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://blog.traradio.com/entry//2018/01/08/translator-feedback-review">blog.traradio.com</a></cite></p>
<p> </p>
<blockquote>
<p><strong>序章 語順の問題そのほか</strong></p>
<p><strong>§1 原文の思考の流れを乱すな</strong></p>
<p>文法の枠組みに入る前に、まず、すべての前提となる点をいくつか最初に書いておきたい。その第一は、原文の思考の流れを乱すなということ――つまり、もっと具体的にいえば、原文で単語や句の並んでいる順序をできるだけ変えないで、<strong>頭から順に訳しおろしてゆく</strong>ように心がけるということである。</p>
</blockquote>
<p> さて、この「頭から順に訳しおろしてゆく」という部分、私は賛成です。</p>
<p>でも、この部分、どれくらいの強さで受け取ればよいのか、どういう位置づけで心に刻めばよいのか、ちょっとその辺が不明瞭だと思いませんか?</p>
<p>「心がけ」という部分だけを見ると、「そうするとよいことがあるかもね」くらいに読めます。</p>
<p>ですが、節タイトルの「原文の思考の流れを乱すな」に引きずられると、これは原理原則、翻訳の最重要ルールのようにも読めちゃいますよね。果たしてどうなんでしょうか?</p>
<p> </p>
<p>最初に断ると、この記事では、安西先生の意図がどこにあったかという問いの立て方はしません。</p>
<p>自分が実務翻訳の現場で働いていてしばしば意識する「英語の語順に沿って訳しおろしてゆく」というやり方を、どう捉えると副作用が少なくて済むかなという風に考えてみます。</p>
<p>実は、このブログを開設して『英文翻訳術』を読み返すというシリーズものをやってみようと考え付いてから数日、この「訳しおろす」問題が自分の中で宿題になっていました。</p>
<p> </p>
<p>ワンクッション置くと、安西先生が「原文の思考の流れを乱すな」のようにやや強めのトーンで書いてしまっているのは、受験英語の英文和訳を仮想敵にしてるからかなあとは勝手に想像しました。</p>
<p>そのうえで安西先生は、英語の文章というものは、まず抽象的に言い切って、読者に「ふむふむそれで?」ということを期待させて、その期待に応えるような形で進んでいくという「思考の流れ」をもつというようなことを指摘しています。</p>
<p>なので、「訳しおろす」とその「思考の流れ」を翻訳でも再現できるのですね。</p>
<p>「頭から順に訳しおろすことを心がける」というのは、単独の信条などではなく、そうしたメリットありきの主張なわけです。</p>
<p> </p>
<p>このメリットを少し別の角度から自分なりに述べなおすと、英語ってまず不定冠詞 (a/an など) で名詞を登場させて、それを定冠詞 (the) で受けながら展開させていくんですよね。</p>
<p>さらに、定冠詞で受けるときに毎回同じ名詞を使うと幼稚に響くので、最初に「a gun」と書いたら、次は「the weapon」と受けるようなことがよくあります。</p>
<p>訳文がこういう不定冠詞、定冠詞での情報の流れに沿っていないと、翻訳の過程でちょっとした工夫が必要になったりします。</p>
<p>たとえば「Drag a master server to the left column in order to enable the server.」という英文を「そのサーバーを有効にするために、マスターサーバーを左の列にドラッグします。」と、訳文で初めて出てきた「サーバー」に「その」が付いていて変です。</p>
<p>また、「サーバー」と広く述べた後に、「マスターサーバー」と狭く限定する流れもここではおかしいでしょう。</p>
<p>なので元の訳文の語順を活かすと「マスターサーバーを有効にするために、左の列にドラッグします。」などが好ましかろうという話になります。</p>
<p>ここで、それならばいっそ「マスターサーバーを左の列にドラッグして、有効にします。」の方が変な小技を使わない分すっきりする、という話なわけです。</p>
<p>「頭から順に訳しおろす」には、やはりメリットがあるんですね (ちょっと落とし穴もあるので、すぐに戻ってきます)。</p>
<p> </p>
<p>その他に、実務翻訳の現場で見逃せないメリットとして、頭から訳しおろした方が、英語と日本語の対応を確認するのが簡単、という事実があります。</p>
<p>翻訳者自身が誤訳や訳抜けがないかチェックするうえでも、第三者のレビュアーがチェックするうえでも、これは大きなメリットです。</p>
<p>さらに、翻訳メモリの使用が必須のローカライゼーションの現場では、英語と日本語の対応が見やすいというメリットは倍増します。</p>
<p>英語原文の一部だけが改訂されたようなケースで、翻訳メモリに登録された訳文のどこを変更すればよいか、一目で分かりやすいということですからね。</p>
<p> </p>
<p>ただし、常に「マスターサーバーを左の列にドラッグして、有効にします。」でうまくいくかというと、そうは問屋がおろさないんですよね。</p>
<p>これは「Drag a master server to the left column in order to enable the server.」という目的用法の to 不定詞を結果用法的に訳したのですが、IT翻訳の現場で操作がオプショナル (任意、必須ではない) ときにこの訳をしてしまうと、誤訳または誤解を招く表現になってしまうわけです。</p>
<p>どいういうことかというと、マスターサーバーを有効にすることが実はすごく危険な操作だったと仮定しましょう。</p>
<p>そうすると、ほとんどのユーザーは特殊な条件下でしかこの操作を行う必要はないはずです。</p>
<p>ところが、「マスターサーバーを左の列にドラッグして、有効にします。」という訳文では、あたかもこの操作が必須のもののように響いてしまいます。</p>
<p>なので、そうしたオプションの操作については「マスターサーバーを有効にする場合は、左の列にドラッグします。」などと訳し戻す方がよいわけです。</p>
<p> </p>
<p>具体例も出しながら進めてきて、「頭から順に訳しおろす」を金科玉条のように考えると、いろいろ不都合が出そうだぞということは分かってきました。</p>
<p>では、「頭から順に訳しおろす」は忘れてしまった方がいいのでしょうか?</p>
<p>個人的には、翻訳時の心がけ、としては依然として有効だと思います。</p>
<p>何が一番まずいかというと、「頭から順に訳しおろす」を訳文への評価の基準にしてしまったり、訳文が適切であることの保証のように考えてしまうことだと思います。</p>
<p> </p>
<p>レビュアーによる翻訳への修正・フィードバックには、エラーの分類や重大度、修正理由などが求められることが多いですが、実はその場でしばしば、訳文の流れが原文に沿っていないことを「修正理由」に書いてしまうことがある気がするんですよね。</p>
<p>これがまずいと思います。</p>
<p>「頭から順に訳しおろす」は、あくまで、訳文を生み出すときの心がけ、試すといいことあるかもよ、くらいの位置に留めた方がよいと思います。</p>
<p>そして元の翻訳と修正案の差は、「頭から順に訳しおろしているか否か」とは独立に述べられるはずなんです。</p>
<p>その差を独立して言語化せずに、「頭から順に訳しおろしているか否か」を修正理由に挙げるのは、やはり間違っていると思います。</p>
<p> </p>
<p>「頭から順に訳しおろす」は、いわば翻訳者という料理人が使う包丁みたいなものなんですよ。</p>
<p>包丁に触れなくても、Aという料理よりBという料理がうまい理由は言えるはずなんです。</p>
<p>そこを誤魔化して、「Aはこの包丁を使っていないから駄目だ、Bの方がうまい」と書くのはダサいですよね。</p>
<p> </p>
<p>この、翻訳を生み出す時の指針・心がけを、翻訳への評価基準にしてしまうという勘違いは、語順の問題以外にも発生してそうだなというのが書き終えた今の感想です。</p>
<p> </p>
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TransRadio
翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?
hatenablog://entry/8599973812336068730
2018-01-11T00:31:46+09:00
2018-01-11T00:31:46+09:00 翻訳業界にいて少し考えないといけないのは、他分野におけるような定説、成熟した議論から導き出された見解のようなものがそれほど多くないという点です。 なので、他業種や隣接分野の事情にも目を通して、「ここは似てるぞ」という部分を探すのは大切かなと思い、昨年の後半からそういう本を意識して読むようにしてきました。 今回の記事で紹介するのも、そうやって見つけた本の中の一冊。ドキッとしちゃうタイトルですよね。自分もドキッとして購入しちゃいました。 ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人 【第二版】 (技評SE選書) posted with amazlet at 18.01.10 荒井 玲子 技術評論社 売り…
<p>翻訳業界にいて少し考えないといけないのは、他分野におけるような定説、成熟した議論から導き出された見解のようなものがそれほど多くないという点です。</p>
<p>なので、他業種や隣接分野の事情にも目を通して、「ここは似てるぞ」という部分を探すのは大切かなと思い、昨年の後半からそういう本を意識して読むようにしてきました。</p>
<p>今回の記事で紹介するのも、そうやって見つけた本の中の一冊。<br />ドキッとしちゃうタイトルですよね。<br />自分もドキッとして購入しちゃいました。</p>
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<div>どういった人が伸びるのか、伸びないのか、翻訳者にも通じる部分が多いと思います。</div>
<div>詳しい個々の内容は、実際に本を手に取って素直に読み進めていただければと思いますが、是非紹介したいなと思ったのは、「いったん作成したプロダクトと自分の価値は無関係」と思える人の方が、伸びるという部分です。</div>
<div>これ、翻訳者向けに言い換えると、「翻訳へのフィードバックに傷付かなくなって一人前」になるのかなとも思います。</div>
<div>成果物としての翻訳と自分が切り離せていて、翻訳を客観的に議論の遡上に上げることができ、そこでのフィードバックから感情的な打撃を受けない、という状況ですね。</div>
<div>
<blockquote>
<p>レビューの場で自分の書いたものを他人から批判された場合、嫌な気持ちになりますか?</p>
<p>(この)質問に「はい」と答えた人は、自分が作成したものと自分自身に依存性があります。客観的に見ることがうまくできていません。このタイプの人は、自分の作成されたものを批判されると、自分が批判されたのと同じように感じてしまいます。このタイプの人にとって、レビューは恐怖の場です。自分をレビューされているのと同じだからです。 </p>
</blockquote>
<p> いかがでしょうか? ソフトウェア開発者に向けて書かれた文章ですが、翻訳の現場にもまるっと当てはまるのではないでしょうか? そして、ここで述べられている「依存」は、言葉というものを扱う翻訳ではより表面化しやすいのではないかという気もします。</p>
<p>IT 翻訳やそれをひっくるめた産業翻訳・実務翻訳の現場でも、文のリズム、たとえば読点の打ち方を非常に細かく指摘する方がいますが、読点ってある面、その人の呼吸なんですよね。</p>
<p>呼吸=文体、といってもよいですが。</p>
<p>読点の打ち方に以上にこだわる人は、要は、「俺の・私の呼吸と同じタイミングで呼吸せよ」という要求を行っている人に近いのではと勝手に思っています。</p>
<p>かくいう自分も、読点やリズムの面での違和感を感じやすい=自分の文の癖が強いタイプのレビュアーですが、そこがフィードバックの中心にはならないようにかなり気を遣ってはいます。</p>
<p>話が逸れましたが、翻訳した文章に対してフィードバックを受けることは、自分の呼吸、息遣いに対してフィードバックを受けるようなもので、最初はやはり辛いと感じる方も多いと思います。</p>
<p>でも、子離れや親離れならぬ、納品した翻訳との翻訳離れは、早くなった方がハッピーになりやすいと思います。<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774140198/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">荒井さん</a> もこう書いています。</p>
<blockquote>
<p>いったん作成したプロダクトを客観的に見ることができるようになると、とても楽になります。「そのプロダクトの品質と自分の価値は無関係」と考えれば、プロダクトに何を言われても平気です。むしろ、プロダクトの欠陥を検出できることを望むようになります。</p>
<p>(中略)</p>
<p>プロダクトに客観性を持っている人は、実際に納品するのはソフトウェアや設計書であって、作成した人を納品するわけではない、ということを理解しています。したがって、レビューでプロダクトの欠陥が検出された場合、その技術者の思考は「では、どうすればその欠陥や問題は解消できるのだろうか」ということに移ります。そこでいろいろなアイディアによる検証ができるのです。「どうすればよいのか」と考え、ディスカッションすることは、非常に創造的で楽しいものです。</p>
</blockquote>
<p>これは完全に賛成です。</p>
<p>「非常に創造的で楽しい」、いわゆる「moment」がずっと続くことはないと思いますが、でも減点法になりがちな翻訳の現場で、加点法の一瞬を見つけ出せたとき、自分は大きな喜びを感じます。</p>
<p>そして、自分が加点法で評価されるグラウンドを見つけることは、収入の面でもプラスだと思っています。</p>
<p> </p>
<p>ちょっと脱線気味でしたね。</p>
<p>『<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774140198/transradio-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人</a>』は非常に面白い本なので、「翻訳メモリを利用したいわゆる改定翻訳も、ソフトウェア開発者にとっての保守タスクと考えれば新しい見え方をするのでは?」というテーマで近いうちにもう一度触れてみたいなと思います。</p>
</div>
</div>
TransRadio