コンフリクト、日本人は扱うのが苦手だという話もありますね。
ただ、意見の対立が生じたとき、「消耗させられるな、嫌だな」と捉えるか、「チャンスだ」と捉えるかで、気持ちの持ちようもずいぶん変わってくるのではないでしょうか。
ダイバーシティ・多様性の考え方にも通じるポイントですね。
自分がコンフリクトをポジティブに捉えられるようになったきっかけになった本から紹介します。
- 1.コンフリクトってネガティブなものなの?
- 2.「あっ、これってコンフリクトだな」と名前を付けるだけでも効果あり
- 3.綺麗ごとではない功利的な観点から
- 4.気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス
- 終わりに:コンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事
1.コンフリクトってネガティブなものなの?
タイトルだけからは想像がつかないかもしれませんが、コンフリクトに対する考えが明るくなったのは次の本がきっかけです。
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 17,859
Ⅳ 合意形成のスキル――まとめて分かち合う
2.協調的にコンフリクトを解消する
コンフリクトが創造性を生み出す
人と人とが集まって話をするとなると、必ずそこに意見や意識の食い違い(ギャップ)が生まれます。互いに関わり合いがなければ、ギャップがあっても何も問題ありません。しかし、意見を調整して共通の目標を達成しようとすると、そうはいきません。多くの場合、対立を生み出すもとになり、対立を解消しないと目的が達成できなくなってしまいます。
(中略)
初めに覚えておいてほしいのですが、コンフリクトは決して悪いものではありません。どちらかといえば、私たち日本人はコンフリクトを扱うのが苦手です。和を大切にするあまり、できるだけコンフリクトを避けようとします。有っても無いような態度をとったり、安易に妥協して対立をなくしてしまおうとしたりするのです。
しかしながら、これではせっかくのコンフリクトのよさが活きてきません。コンフリクトは、チームに新しい視点と緊張感を与えてくれます。コンフリクトを解消しようと、多面的な角度からアイデアが出され、ありとあらゆる選択肢が検討されます。そのおかげで、モレやヌケのない創造的なアイデアが生み出されていくのです。
ファシリテーターはコンフリクトを前向きにとらえ、それをプラスの価値へと転化していかなければなりません。
いかがでしょうか?
自分はこの一節を読んで、「コンフリクト、ありだな」と思えました。
個人的な事情になりますが、チームがちょっとぎくしゃくして、人生初の太田胃酸を飲みながら頑張っていた時期だったので、「コンフリクト、ありじゃん」と思えたことで気持ちを立て直せた部分がありました。
(だからか、釣りバカ日誌2の課長には少し感情移入しちゃうんですよね。太田胃酸飲んでることくらいしか共通点ないですが 笑)
2.「あっ、これってコンフリクトだな」と名前を付けるだけでも効果あり
タイトルで出落ちですが、コンフリクトの状況でどんどん気持ちが消耗しているときって、なにが原因かすら分かってないときとか、特定の個人にマイナスな感情を向けてしまっているときがあります。
それが「これってコンフリクトだったのか」と思えるだけでも、自分と相手を外から眺めるような視点を獲得できるはずです。
(とまでいうと大袈裟かもしれませんが 笑)
また、チーム内でも「今コンフリクトに入ったな」という認識を共通して持つことができ、しかも「それってチャンスだ」という気持ちを揃えることができれば、すごくチーム力が向上しますよね。
そして、こういうときは「コンフリクト」というカタカナ語の方が、重い意味がなく使えて便利かなとも思います。
3.綺麗ごとではない功利的な観点から
「みんな違ってみんないい」みたいな考え方は、メリットの有無の前に、小さな頃から押し付けられるせいでアレルギー反応が出てしまう人もいるかもしれません。
自分もどちらかというとそういうタイプです。
でも、いったん「自分の意見を押し通す」という部分を離れて、あるトピックについて、自分がマネージャーの立場で人を集めて意見を聞こうと思ったらどういう人を集めますか?
自分の中に密かな腹案があるような場合を除けば、当然、偏りすぎないように色んな人を集めますよね。
これなんですよ。
コンフリクトがあるって、この「色んな人を集めた」が実現している証拠なんです。
だから、「あっ、今チームとして強くなる素地がある」って思っていいんです。
逆に、「コンフリクト、嫌だな」という気持ちがある原因は、大きなゴールよりも自分の「我」を優先する気持ちが生じてしまっているせいかもしれません
4.気分を落ち着けてニュートラルに戻せるだけでも大きなプラス
「あっ、今コンフリクトだな」という状況認識をするだけで、 不思議なほど気持ちがフラットになるという効果があります。
翻訳やレビューなどの作業は、自分が未熟者のせいか、意外なほど感情面の波にスピードが左右されてしまったりします。
そうした波の揺れ幅を鎮める効果だけでも、「コンフリクト→資源」という発想の回路を持つことにはメリットがあるかなと思います。
メールベースのやり取りが多い翻訳関係の職種だと、コミュニケーションが変にこじれてしまったりするので、日々のストレスを減らす上でも、「あっ、今コンフリクト」メソッドを是非お試しください。
終わりに:コンフリクトを隠さないメリットにつながる関連記事
いくつか関連記事を紹介します。
3文で書くメソッドには「理由も添える」ことで、意見や立場・観点の違いをポジティブな意味で明確にする効果と、「3文に留める」ことで感情的にもつれさせない効果の両方があるかなと思います。
また、コンフリクトとは異なりますが、自分のWant、自分のHappyな方向を「伝える」ことはパートナーシップでもお仕事でも大切ですよね。
相手もエスパーではないので。
日本的な「阿吽の呼吸」が通じない相手だからこそ、日々のコンフリクトから受けるストレスを最小限に抑え、それをより大きなゴールで成果を出すための資源にしていきたいですよね。
最後に、自分の翻訳を客体化できているかというポイントは、意外と今回の話と重なるのかなと思いました。
いったん作成したプロダクトを客観的に見ることができるようになると、とても楽になります。「そのプロダクトの品質と自分の価値は無関係」と考えれば、プロダクトに何を言われても平気です。むしろ、プロダクトの欠陥を検出できることを望むようになります。
うん、やっぱり今回の内容と近い。
『ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない』は翻訳者の方が自分を客観視するのにちょうどよい本だと思うので是非!