翻訳ラジオ

若手の IT 翻訳者が書いています。

翻訳技術

「replicate」を「複製」でなく「再現」と訳すとうまくいくことがある

タイトルで完結する記事ですね。 辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしば…

「A More link is provided」 は IT 英語では文法ミスではない

単数・複数の観点から、「A」を削除して修正した「More links are provided」が正しいはずと思われるかもしれませんが、IT翻訳が対象とする分野では「A More link is ~」という形は適切な英文です。 The suggestion box displays a maximum of 25 results. I…

「If you fail to ~」を「失敗」という単語で訳すと不自然になりやすい

IT翻訳・ローカライゼーションの場では、用語集が提供されるせいで「1語1訳」という意識が知らず知らずのうちに生まれてしまうのかもしれません。 けれども「fail」=「失敗」というように条件反射的に訳すと、不自然な日本語を量産してしまう結果になりが…

「開始 > 実行の順にクリックして、cmd と入力し」という悲しいミス

「[開始]>[実行]をクリックします」という訳文、どこに修正点があるかピンと来ますか? 所要時間20秒ほどのアンケートを作成しましたので、よろしければ回答を行ってからこの先にお進みください。 2018年のはてなブログでどういう結果が出るのか…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:「must」の誤訳も意外と多いです

助動詞の「must」といえば、中学校でも習う基本単語ですが、実務翻訳・IT翻訳の現場では思わぬ誤訳をされてしまうこともしばしばです。 The validation error must be caused by a bug or a hacking attempt. node.js - Handling Mongoose validation errors…

まだ発生していない「consequence」の訳語は「結果」より「影響」の方がうまくいきやすい

「consequence(s)」の訳語としては「結果」がファーストチョイスになってしまいがちですが、IT翻訳の現場では、重大な影響を伴う操作について、次のように「consequence(s)」を事前に想定した上で判断してくださいという例文がしばしば見られます。 Consider…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:Evergreen (旧 Forest) の序章で品詞を極める

「英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編」で予告していた英文法編です。 そして、じゃじゃーん、『総合英語フォレスト Forest』とその後継とされる『総合英語エバーグリーン Evergreen』を購入しました。 しかし、わざわざ古本で Forest を…

「maintain a consistent brand identity」などでの形容詞「consistent」の訳語処理

英文法の方の記事も書いていきたいのですが、よい素材となる英文を見つけるのが難しいというのが一番のネックですね。 訳語の選択や翻訳技法の森はオープンエンドなので尻込みする部分もありつつ、ネタは豊富だし、原文を紹介しやすいということで、少し手を…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編

翻訳の話題においては、辞書や翻訳技法がいわば花形で、文法はどちらかといえば地味な存在かもしれません。 一方で、例えば翻訳者の成田あゆみさんは英文法の重要性について次のように述べています。 翻訳において必要な英語力とは、 「原文のすべての語の役…

実務翻訳の基礎を無料で学べるサイトといえばこれ: 佐藤洋一さんに学べ!

翻訳学校に通わずに、ゲームのローカライゼーション翻訳のオンサイトの仕事からキャリアをスタートした自分ですが、最初に手を付けたのがDHCのサイトで無料で公開されている、佐藤洋一さんの実務翻訳のコースでした。 その後の独習では、このブログでも『英…

『英文翻訳術』を読み返す(完)282ページ中最初の45ページが大切だという結論

これまで、はしがき、序章、第1・第2章ときて、終章まで残り20章あるのですが、この第2章までが読み返すうえで有益かなということで、唐突ですが今回簡単なまとめを行って最終回とします。 第3章の無生物主語や、第10・11・12章の形容詞と副詞は…

『英文翻訳術』を読み返す(3)動詞が隠れた名詞と、翻訳を開いたり凝縮する感覚

『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』を読み返すシリーズ、はしがき、序章ときて、今回は1章と2章を取りあげます。 1章 所有格を考える――名詞(1) 2章 「核文」と「変形」――名詞(2) この「核文」という考えを導入した章、翻訳技法書の中でもトップクラ…

『英文翻訳術』を読み返す(2)「頭から順に訳しおろす」は正義か?

前回は「はしがき」を取り上げた『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』ですが、今回は序章です。 blog.traradio.com 序章 語順の問題そのほか §1 原文の思考の流れを乱すな 文法の枠組みに入る前に、まず、すべての前提となる点をいくつか最初に書いておきたい。…

『英文翻訳術』を読み返す(1)翻訳者へのフィードバックの難しさ

翻訳学校などに通わずにローカライゼーション業界に飛び込んだ私が、初めて読んだ翻訳技術本が『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』でした。 仕事帰りのファミレスで色んな翻訳関係のオンライン記事を読み漁っていた当時、ISSのコラムで成田あゆみさんが「初心者…