翻訳ラジオ

若手の IT 翻訳者が書いています。

「replicate」を「複製」でなく「再現」と訳すとうまくいくことがある

タイトルで完結する記事ですね。 辞書にも「再現」という訳語は載っているのですが、IT翻訳では用語集での指定などで「複製」と訳す場面が多すぎるせいか、柔軟に訳してよい箇所でも「複製」を使ってしまい、不自然な日本語を生み出してしまうことがしばしば…

「Allow the file time to upload.」は文型を意識しないと誤訳する

「ファイル時間」と訳してもうまくいかないから「file time」をMSランゲージポータルで検索して、「ファイル時刻」が定訳かあ、などと進むと失敗するパターンです、今回は。 単独ではちょっと難しくても、次の文脈を見るとなんとなく意味が分かる方も多いか…

「A More link is provided」 は IT 英語では文法ミスではない

単数・複数の観点から、「A」を削除して修正した「More links are provided」が正しいはずと思われるかもしれませんが、IT翻訳が対象とする分野では「A More link is ~」という形は適切な英文です。 The suggestion box displays a maximum of 25 results. I…

「If you fail to ~」を「失敗」という単語で訳すと不自然になりやすい

IT翻訳・ローカライゼーションの場では、用語集が提供されるせいで「1語1訳」という意識が知らず知らずのうちに生まれてしまうのかもしれません。 けれども「fail」=「失敗」というように条件反射的に訳すと、不自然な日本語を量産してしまう結果になりが…

建築のように材料費に人件費をまぶせないから見積もりがシビアな翻訳業界

サイボウズ式の記事を集中して読んでいた時期に、発想にすごく衝撃を受けたのが、「納品をしない受託開発」、「月額定額のシステム開発」を行っているソニックガーデン社長の倉貫義人氏のインタビュー記事でした。 自分は建築業界について知識ゼロなのでその…

「開始 > 実行の順にクリックして、cmd と入力し」という悲しいミス

「[開始]>[実行]をクリックします」という訳文、どこに修正点があるかピンと来ますか? 所要時間20秒ほどのアンケートを作成しましたので、よろしければ回答を行ってからこの先にお進みください。 2018年のはてなブログでどういう結果が出るのか…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:「must」の誤訳も意外と多いです

助動詞の「must」といえば、中学校でも習う基本単語ですが、実務翻訳・IT翻訳の現場では思わぬ誤訳をされてしまうこともしばしばです。 The validation error must be caused by a bug or a hacking attempt. node.js - Handling Mongoose validation errors…

QA は翻訳品質を改善しない:体重計で体重を量るのと同じ

「他業種に学ぶ」カテゴリーの「翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?」という記事では、ソフトウェア開発の現場の話を通して翻訳の現場を客観的に眺められないかということを試してみました。 どうやら、QAというフェーズに、…

まだ発生していない「consequence」の訳語は「結果」より「影響」の方がうまくいきやすい

「consequence(s)」の訳語としては「結果」がファーストチョイスになってしまいがちですが、IT翻訳の現場では、重大な影響を伴う操作について、次のように「consequence(s)」を事前に想定した上で判断してくださいという例文がしばしば見られます。 Consider…

「~担当者」の英訳は「~ + er」で結構いける説:承認担当者は Approver とかね

「担当者」という日本語の英訳を求めて Web を検索する人は結構多いようです。 検索ですぐに見つかるページには「person in charge」や「personell」、「staff」、「representative」、「contact」、「owner」などの訳語が見つかるかと思います。 もしくは手…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:Evergreen (旧 Forest) の序章で品詞を極める

「英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編」で予告していた英文法編です。 そして、じゃじゃーん、『総合英語フォレスト Forest』とその後継とされる『総合英語エバーグリーン Evergreen』を購入しました。 しかし、わざわざ古本で Forest を…

「maintain a consistent brand identity」などでの形容詞「consistent」の訳語処理

英文法の方の記事も書いていきたいのですが、よい素材となる英文を見つけるのが難しいというのが一番のネックですね。 訳語の選択や翻訳技法の森はオープンエンドなので尻込みする部分もありつつ、ネタは豊富だし、原文を紹介しやすいということで、少し手を…

英日翻訳での解釈ミスを防ぐ英文法:品詞識別の力試し編

翻訳の話題においては、辞書や翻訳技法がいわば花形で、文法はどちらかといえば地味な存在かもしれません。 一方で、例えば翻訳者の成田あゆみさんは英文法の重要性について次のように述べています。 翻訳において必要な英語力とは、 「原文のすべての語の役…

Watch の訳語は常に「視聴する」でよいのか問題: プロジェクト管理ツールの Trello

ブログ開設当初ってこまごまとしたタスクが発生しますよね。 会社での導入検討も兼ねて、今回、プロジェクト管理のTrelloを一人で試してみてます。 (会社では Office 365 の Planner を使ってますが、本格運用ではないです) Trelloは、ツールとかチームの…

名詞の「Cross」は「十字」ですが、これを敷き詰めたときに適切な訳語は?

IT翻訳なのこれ?、と思われるかもしれませんがれっきとしたIT翻訳です。 Excelの円グラフなどで、各部分を塗りつぶす(Solid)ときのパターン名を翻訳するような場面を創造してみてください。 「十字模様」は不正解ですよ。 "十字模様"で画像検索すると、上…

意見の対立(Conflict)を多面性への資源として活用してハッピーになる

コンフリクト、日本人は扱うのが苦手だという話もありますね。 ただ、意見の対立が生じたとき、「消耗させられるな、嫌だな」と捉えるか、「チャンスだ」と捉えるかで、気持ちの持ちようもずいぶん変わってくるのではないでしょうか。 ダイバーシティ・多様…

翻訳者が日本語ノンネイティブのクライアントやPMとやり取りした例を公開してみるよ

英日翻訳者の納品物を受け取る相手が「日本語を分からない」という事態が生じるかもしれない近未来について考えてみました。 1.MLV (Multi Language Vendor) の進出 2.出版取次のように「日本国内の翻訳会社」のプレゼンスも低下する? 3.翻訳者とノン…

実務翻訳の基礎を無料で学べるサイトといえばこれ: 佐藤洋一さんに学べ!

翻訳学校に通わずに、ゲームのローカライゼーション翻訳のオンサイトの仕事からキャリアをスタートした自分ですが、最初に手を付けたのがDHCのサイトで無料で公開されている、佐藤洋一さんの実務翻訳のコースでした。 その後の独習では、このブログでも『英…

「猫盾」という中国語

「猫盾」という字面だけ見ると、 シャキーン まさにこの絵面が思い浮かぶと思うんですけど、中国語の口語表現ではもう一つ意味があるそうで、 人間が歩いていると猫がまとわりついてきて身動きがとれないというアノ状況も「猫盾」というそうです。 AT フィー…

機械翻訳の自社向けカスタマイズを回すときにお願いしたいたった1つのこと

翻訳者からエンジニアへのフィードバックは、JIRAなどのチケットシステムを使って、1依頼=1チケットで管理してください。 機械翻訳の出力を翻訳者に渡して、スタイルエラーなどの改善点をレポートにまとめてもらって、みたいなやり方は非常に効率が悪いで…

夜中にミルクを買ってきてと頼む大切さ: パートナーシップでもお仕事でも

一緒に住むことを決めた時に読み、入籍したときにもう一度読み返した本を紹介します。 すべてのパートナーシップ本にいえることだと思いますが、コミュニケーション全般に関する内容として、パートナーや家族、友人などとの関係だけでなく、仕事の場でも活用…

『英文翻訳術』を読み返す(完)282ページ中最初の45ページが大切だという結論

これまで、はしがき、序章、第1・第2章ときて、終章まで残り20章あるのですが、この第2章までが読み返すうえで有益かなということで、唐突ですが今回簡単なまとめを行って最終回とします。 第3章の無生物主語や、第10・11・12章の形容詞と副詞は…

『英文翻訳術』を読み返す(3)動詞が隠れた名詞と、翻訳を開いたり凝縮する感覚

『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』を読み返すシリーズ、はしがき、序章ときて、今回は1章と2章を取りあげます。 1章 所有格を考える――名詞(1) 2章 「核文」と「変形」――名詞(2) この「核文」という考えを導入した章、翻訳技法書の中でもトップクラ…

英文メールを書くときに「フリーズ」しなくてよくなる一冊: 3文で書こう

ローカライゼーションの現場に入る前、とある日系企業で、英語事務+日英翻訳・チェックのような仕事を担当したことがあります。 そのときに海外の翻訳会社と英語でコミュニケーションを取る必要が生じ、あわてて購入したのがこの一冊です。 通読した後もず…

『英文翻訳術』を読み返す(2)「頭から順に訳しおろす」は正義か?

前回は「はしがき」を取り上げた『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』ですが、今回は序章です。 blog.traradio.com 序章 語順の問題そのほか §1 原文の思考の流れを乱すな 文法の枠組みに入る前に、まず、すべての前提となる点をいくつか最初に書いておきたい。…

翻訳者として伸びる人、伸びない人: 自分と翻訳を切り離せてますか?

翻訳業界にいて少し考えないといけないのは、他分野におけるような定説、成熟した議論から導き出された見解のようなものがそれほど多くないという点です。 なので、他業種や隣接分野の事情にも目を通して、「ここは似てるぞ」という部分を探すのは大切かなと…

新宿伊勢丹のハイブランドに学ぶコミュニケーション

買い物の付き添いで、年末に 1 回、年始に 1 回、立て続けに新宿伊勢丹に足を運びました。 特に 2 階のバー・カフェのカウンターで休憩するのが気分がいいですね。新宿の中でお気に入りスポットです。 さてさて、化粧品、靴、バッグなどのいわゆるハイブラン…

『英文翻訳術』を読み返す(1)翻訳者へのフィードバックの難しさ

翻訳学校などに通わずにローカライゼーション業界に飛び込んだ私が、初めて読んだ翻訳技術本が『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)』でした。 仕事帰りのファミレスで色んな翻訳関係のオンライン記事を読み漁っていた当時、ISSのコラムで成田あゆみさんが「初心者…

プロジェクトの対義語とは?

翻訳会社やローカライゼーションの現場では、500ワード以下の小規模な案件でも、これを「プロジェクト」と呼ぶことが多いです。 役職としても、プロジェクト管理を行うプロジェクトマネージャーやプロジェクトコーディネーターが存在します。 一般的に思い浮…

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